ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

どこから道が逸れたのか

うっとうしいのですが、極めて深刻かつ重要だと思うので、日本国における早急の抜本的な知的回復および日本人全員の信用を早急に取り戻すために、10日ほど前のブログ(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140315)の続きを。

『朝日アエラ』(http://dot.asahi.com/aera/2014032600015.html
「論文よく読んでいない? 小保方さん博士号にも疑惑」
(更新 2014/3/26 11:30)


(前略)
 博士の学位は、研究者の「免許証」といわれる。博士であれば一般に、専門の知識や技能、研究者に必要な作法を身につけているとみなされる。有力大学の博士号だと、高いレベルで研鑽を積んだ優秀な人物と思われやすい
(中略)
▽全体約100ページの冒頭20ページが、米国立保健研究所(NIH)のウェブサイトの文章とほぼ同じ
▽参考文献リストが、他人の論文の文献リストとほぼ同じ
▽細胞の画像が、民間企業のウェブサイトの画像とそっくり
 こうなるともち上がるのが、きちんと審査したうえで学位を出したのか、という疑念だ。
(中略)
「論文をよく読んでいないとしか思えません」
(中略)
背景には、1990年代から政府が進めた「大学院重点化」の影響がうかがえる。
(中略)
 欧米に比べて少ない博士を増やし、とりわけ科学技術の国際競争力を高めることを狙った政策。小保方さんが博士課程に進んだ08年度は、同課程の学生数は約7万4千人に上り、30年前に比べ4倍近くに増加した。
(中略)
 その結果、定職につけない博士号取得後の研究者(ポスドク)の大量発生とともに、博士の質の低下も指摘されるようになった。以前なら博士課程に進めなかった学生が多数、進学するようになったためとされる

AERA  2014年3月31日号より抜粋

ちょうど私の場合は、「大学院重点化」直前に海外に出たので、これには該当しません。しかしながら、人様の悪口は極力避けたいものの、社会情勢を鑑みるに、あまりにも非常識かつ無教養だと思われた経験談をブログでも公表してきました(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20101105)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130906)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20131218)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140305)。だから、本件は氷山の一角であって、事態はもっと深刻だと長年感じてきました(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20091125)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20091130)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120507)。
一例としては、こちらは国内にまともな一次資料も指導教授も受け入れ機関も見つからず、自分で貯めた貯金を下ろして必死な思いでいるのに、隣で冷笑的に「なんちゃって研究者ですから」と自称していた同世代の男性。確か、2000年より前だったと記憶してます。「なんちゃって」という言葉の意味がわからなかったので憮然として聞いていましたが、素地はこの頃から醸成され始めたのだと考えています。そう言えば、その人は「ずっと研究者やるのも格好いいかな、と思って」などと甘いことを平気で口にしていました。格好いいから研究するのではない!問題が存在して、困っている人がいるから、解決を目指して広く深く背景と原因を調べて追求するのが研究です!
私の場合、もうかれこれ十五年以上も、iPS細胞に期待をかける若年性難病患者を抱え、患者友の会にも連なっているので、本件には総理宛に抗議文でも書きたいほど。安倍総理の精力的な活動には、細部を別として、方向性としては概ね賛同しています。また、山中教授のことは尊敬しています(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20111130)。でも、本件にまつわるいい加減な税金の使われ方には憤然としますし、先端科学と名が付いているだけで、凡そ話し方や服装から、三十路とは思われぬほど教養に欠けた(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140315)、高校生みたいなおままごとをテレビの映像で見せつけられて、最初から不信感を持っていました。
上記の「高いレベルで研鑽を積んだ優秀な人物と思われやすい」というのは、実は「優秀ではない」という含意ですね?でも本人達は(私の周囲では)、30代でも「私は学者なので」と堂々と自信たっぷりに自負されていますが...(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20080220)。昔なら、「十年早い!」と雷を落とすおじさんがいてくれたのですけれども。
第一、日本は熟慮の末、独自のやり方を採用して、後から欧州にうらやましがられてきた国だったはずじゃありませんか?移民政策だって、難民受け入れ政策だって、排他的だと悪口を言われていたのに、結局は今頃になって人口問題で困っている欧州知識人から「日本は自分から外に出て行った。賢い」「実に巧妙な移民・難民政策をしてきた」(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130522)と褒められているじゃないですか?
だから、学位だって人まね猿まねをすべきではなかったのです。「博士を増やし」たから、「国際競争力を高める」ことにはならないのです。だって、そんなに短期間で博士号に至る人が簡単に増やせるならば、もっと最初から「欧米」と肩を並べていたはずでは?それだけの人材がいなかったから、博士が少なかったのでしょう?そして、それでもきちんと世界第二位の経済力を、しばらく前までキープしていたじゃないですか?飛び抜けた天才や独創性の高い人なら、最初からアメリカかどこかに移住して日本には帰って来ないですよ。中間層の平均値が相対的に高いのが日本社会の特徴で、大学は全然駄目でも、小学校から高校までの基礎教育は充実していて質が高く、それが社会の安定と繁栄と治安の良さを生んでいる、という評判だったのでは?
欧米の人達だって、その日本の特徴を知っていたからこそ、何とか付き合ってくださっていたのでは?安倍総理だって、大卒の資格しかなくても、ちゃんと初の非アメリカ人として、ハーマン・カーン賞の受賞の誉れに預かり(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20131026)、アメリカ有数の保守系シンクタンクからも「ミスター安倍のリーダーシップは素晴らしい」と堂々と褒められていたじゃありませんか(http://pub.ne.jp/itunalily/?search=20519&mode_find=word&keyword=CSIS)。それで充分なのだと思うのです。
それと、「欧米の大学は日本と違って厳しい。すごく勉強させられる」などと今でも知っているかのように抜かす人がいますが、少なくともアメリカに関しては、ダニエル・パイプス先生から「ここもひどい劣化だよ」とメールでこぼされたことがあります(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130519)。教授だったお父様のリチャード先生は「1970年代までに、ハーヴァード大学は中西部の州立大学のようになった」と記されています(“Vixi”p.111)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120505)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120521)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130312)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130629)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130630)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130712)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130923)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20131020)。それに、アメリカでは、博士号取得者が多過ぎて大学に就職できないどころか、奨学金の返済にも困っているという話さえ、随分前から聞いていました。
これほどはっきりしているのに、どうして後発組の日本が欧米のまねをする必要があったのでしょうか?
古いノートを見ていたら、「今は、大学なんかより民間の企業研究所の方が、よほどいい研究をしている」と助言されたことが書いてありました(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20091219)。内情を知らない人が、学歴玉の輿みたいな感覚でずるずると大学院まで居座ってしまったのではないでしょうか?「入院ごっこ」などと自分達で呼びながら(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20091218)。地に足をつけて真面目に生きている世間の納税者は、誰も大学に残っている人が偉いなんて思っていないのに....。
だから、日本の大企業が博士号取得者を敬遠するというのには、決して国際情勢から遅れているというのではなく、現実をしっかりと見つめていると、「とても採用できない」ほど、非常識な人や無能な人が博士号取得者には目に付いたということなのだろうと思うのです。主人も「もう、東大クン、何とかならないかなぁ」とぼやいていた時期がありましたし(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20091217)、社会に出たら、出身校や学歴は不問。仕事ができる奴はできる。駄目な奴は駄目。これがはっきりしているのだそうです。世の中に出てから、どれほど自分で勉強して学び取って、仕事に生かしていくかが勝負なのであって、資格を取ったからといって即就職に結びつくなどとは、夢見心地もいいところです(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130402)。
もちろん、目に見えない天井の壁はあるでしょうし、最初から給与体系の差違もあるでしょう。ただ、それもこれも、分をわきまえて工夫して生きていくことで、何とか充分に幸せな暮らしができると信じています。
日本のよいところは、そこにあったはずなのですが....。