イラン情勢について前大使は...
前イラン大使として20年以上をイランと関わって過ごされた方の日本記者クラブでの映像を見ました。前回のブログ(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130109)の続きになります。
要点を挙げますと....。
・今のイランは農村開発が進んでいること。シャー時代とは大違いに発展している。
・西側の報道は一方的であること
・政府レベルでは対米関係は厳しいが、国民レベルではアメリカの寛大さに惹かれていること
・非常に教育熱心で優秀で誇り高い人々であること。ペルセポリスの長い伝統。
・旅行好きで留学熱も高い(マレーシアの大学を目指す人も増える)
・社会変化に伴い、ペルシャ語の変化も大きいこと
・井筒俊彦先生が言われたように幻想的で超現実的(シュールレアリズム)で極めて論理的な人々であること
・イランのメディアからは、いろいろなヒントが得られた。タブーや批判もたくさんあるが、即事実としてではなく、ヒントとして使える。自分の見通しを持つためにはいい手段。どこまで信用するか。物事はそれほど単純ではない。事実とは思わず。
・マフディの再臨信仰は強い
・日本以上に司法の力は強い
・経済制裁は効いている
・大国の抑圧下にある国は助けるというスタンス
・友好国のイランと同盟国のアメリカとの間で、日本の立ち位置をどうするか?少しは骨のあるところを見せるか?イランの核問題については、安易な妥協はしない。懸念する点では日本はアメリカと同じ立場で、対話と制裁とはいうものの、意味あるアプローチは言うは易く行なうは難し。技術協力と文化交流のある日本は、アメリカとイコールではない。しかし、比重は政治と経済が中心となろう。
・イランの情報省の話として、オバマ再選前に「イスラエルが単独でイラン攻撃することはない」とのこと。オバマはイランと戦争する気はない。いずれにせよ核施設は残る以上、国内の自己の位置づけに傷がつくことを気にするタイプのネタニヤフはどうするか。
(以上)
大使でいらっしゃると、お話は明快で穏やかなのですが、質疑応答の場になると、気難しく厳しい表情で見通すような視線で見つめられていたことと、必ずレジュメの裏にメモを取っていらした姿が印象的でした。お話そのものはバランスがとれていて、日本の公としての立場や見方が参考になりました。
(余談)
・日本は世界に必要とされる国になれ。スイス・シンガポール・イスラエルと水面下での事実上の連携を結ぶべき。日本も情報を提供できればいい。自らの立ち位置を見極めること。日本は粛として世界の中で尊敬され、最低限、必要とされて生きていくことを目指すこと。日本からでしか提供できないものを安定して出す。(メーリングリストより)