ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

米国・中東・日本の役割

今朝の日経新聞(電子版)より。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO28742980Z20C18A3SHA100/?n_cid=NMAIL007


ボルトン氏は意見が同じなら心強い擁護者になってくれる。しかし、そうでなければ用心するがいい。彼は議論に勝つためなら何でもやるすぐにカッとなる性格で、部下にとても厳しい国家安全保障会議(NSC)チームには不幸なことになるだろう」


日本の立場を考えず、米国の安全保障だけに資する取引に動けば恥ずべきことだ。同盟国を扱う正しいやり方ではない。米議会とも調整が欠かせない。
リチャード・アーミテージ氏)

(部分抜粋引用終)

日本経済新聞 朝刊
https://www.nikkei.com/article/DGXKZO28887210S8A400C1TCR000/?n_cid=NMAIL007


「中東混迷どう読み解く(複眼)」
上村司氏/小林弘裕氏/冨田浩司氏
時論・創論・複眼
2018年4月3日


中東ではサウジアラビアとイランの盟主争いにイスラエルが絡み予測不能なトランプ米政権が混迷に拍車をかける。東西世界の結節点にある地政学の要衝の行方をどうみるか。中東に駐在する3人の大使に読み解いてもらった。


■サウジ・イラン対立


上村氏「サウジ、危機感を強める」/小林氏「イランの脅威はイラク
 

――サウジアラビアとイランの対立が深刻になった経緯と、今後の情勢に及ぼす影響をどうみますか。


上村氏:両国関係は良い時代と悪い時代を繰り返してきた。1979年にホメイニ師を中心とするイスラムシーア派の聖職者らが主導したイラン革命」で、親米のパーレビ王朝が倒れたのが転機となり、対抗するサウジなどのスンニ派連合が81年に湾岸協力会議(GCC)を結成した。イラクフセイン政権の崩壊や民主化運動「アラブの春」などの動乱を経て、この4〜5年は緊張が高まった。2016年にサウジがシーア派指導者を処刑して関係悪化が加速した。
イランを懸念するメッセージが明らかなのが新しいサウジの体制の特色といえる。アブドラ前国王からサルマン現国王になり、指導層もムハンマド皇太子へ若返り、改革の流れにある過去3年のイエメンへの介入は異色で、中東情勢への危機感が表れている。


小林氏:イランの安全保障上の脅威はイラクであり、サウジを直接的な脅威とは考えていない。イランは若年層の失業など経済が苦しく、安保問題ばかりに力を注いでいられない。シリア介入もイランの重荷になっている。


冨田氏:イスラエルでは、中東における脅威はイランとの見方が主流だ。「敵の敵は味方」と考えて中東和平にサウジを取り込めば、問題が解決しやすくなるとの見方がある。一方で、イランが核武装することに対抗しサウジが核武装することへの懸念もある。
 

――サウジの経済改革「ビジョン2030」の課題は何でしょうか。


上村氏:最近のサウジ経済は芳しくない。消費が回復せず、失業率も高止まりする。ビジョン2030は女性・若者の社会参加や「脱・石油」が柱だが、その人たちが改革を支持していることに注目すべきだ。首都リヤドだけでなく、地方でも改革に興奮している。汚職を理由とした王族らの拘束など荒々しい政策に目が向きがちだが、国民の高い支持は安心材料だ。
国営石油会社サウジアラムコの上場も、政府は着々と準備している。世界でも過去最大規模の上場のため慎重に検討しているようだ。上場できなければ、ビジョン2030のエンジン役となる政府系基金PIFが機能しなくなる。上場の時期はまだわからない。


――イランの安定は保たれていますか。


小林氏:昨年末から今年初めにかけて反政府デモが相次ぎ、首都テヘランにも飛び火した。ただ、09年の総選挙後の大規模なデモに比べ、動員数は少なかった。今回は主導する中心人物もおらず、影響は限定的だろう。イラン革命から40年近くたち、人口構成や価値観も変わったロウハニ政権は各方面からの不満にうまく目配りしており、今は政権が安定している。


■米トランプ政権接近


上村氏「投資で関係蜜月に」/小林氏「核合意継続の意志」
――トランプ米政権との接近を、サウジとイスラエルはどう受け止めているのでしょうか。


上村氏:サウジと米国の関係はオバマ前政権下で冷え切っていた。アラブの春や(イランの核開発制限の見返りに欧米が経済制裁を解いた)イラン核合意を巡り、米国とアブドラ前国王の下でのサウジの方針が一致しなかったためだ
米国が軍を引き揚げる動きを加速した結果、中東には力の空白が生まれ、相対的にロシアやイランの影響力が強まった。ところがトランプ政権の誕生で米サウジ関係は急速に回復した。首脳会談やサウジによる巨額の軍事装備品の購入、IT(情報技術)投資など、両国は政治・経済で蜜月の関係にある。


冨田氏:イスラエルオバマ政権下で最も難しい時期を経験した。今のトランプ政権との関係は「わが世の春」のようにも見えるが、懸念はある。トランプ政権の政策は予測が難しいうえ、米国ではユダヤ教徒の7割が野党・民主党を支持しており共和党の)トランプ政権のイスラエル支持の姿勢は異例といえる。中長期的に関係がどうなるのか注意して見る必要がある。


――トランプ政権はイランとの核合意の破棄を検討しています。


小林氏:5月中旬に節目を迎える。穏健派のティラーソン前国務長官らに代わって対イラン強硬派が政権中枢に入り、トランプ大統領の判断が見通しづらくなった。そもそもイランが欧米との核合意に乗ったのは、外資導入を通じて経済を浮上させたかったからだ。進んでいない事業もあるが、経済的な利益が見込める限りは、現行の枠組みを続ける意思がある。


上村氏:サウジのムハンマド皇太子は自らの核保有には否定的だが、イランが核武装するなら対抗するとほのめかしている。核合意が破棄されれば、核開発競争の懸念から両国関係は一層悪化するだろう。


――5月にも開かれる米朝首脳会談はイラン核合意にどう影響しますか。


小林氏:米朝間の問題がイランに与える影響は小さい。イランの関心は隣国との関係で、アジアの動きは参考程度に見ている。
 

冨田氏:イスラエル北朝鮮問題の動向に関心を持っているのは確かだが、イランの核開発を取り巻く環境にどう影響するかは見通せる段階にはない。


■米大使館エルサレム移転


冨田氏「和平案提示難しく」/上村氏「サウジ、認めぬ立場」
 ――トランプ政権はイスラエルの米国大使館をテルアビブからエルサレムに移すと宣言しました。


冨田氏:移転は間違いないが、米国の在外公館の安全基準を満たし、大使館の機能をすべて移すには2、3年かかる。だが5月のイスラエル建国70周年は象徴的なタイミングだ。すでにエルサレムにある総領事館に最低限の安全対策を施し、米国大使が週の何日か執務し、移転プロセスが始まったと宣言するのではないか。


――パレスチナはどう反応しますか。


冨田氏:治安への影響は予断を許さない。抗議行動も起きるだろう。ただ2000年代初めのインティファーダ(反イスラエル闘争)の時代に比べると状況は変わった。イスラエルのテロ対策が進化し、テロ犠牲者も大きく減った自治政府にとってもパレスチナイスラム原理主義組織ハマスが勢力を伸ばし、過激派組織「イスラム国」(IS)のようなグループが流入するのは困る。イスラエルは治安維持のために武器に近いものも供与するなど、ここ数年は自治政府と治安協力してきた


――中東和平の行方は。


冨田氏:トランプ米大統領が言及した、中東和平の「世紀の取引」の中身が見えてこない。1993年に交わした「パレスチナ暫定自治宣言(オスロ合意)」に基づく、イスラエルパレスチナ国家の2つの国家が共存する枠組みの推進は、トランプ政権の誕生以前から膠着状態にある。
トランプ政権は他のアラブ諸国を巻き込んだり、ヨルダン西岸の経済開発に重点を置いたりするなど、新しい発想で考えているとの観測はある。問題はエルサレムの扱いを先に表明した結果、仮に新しいアイデアがあっても、パレスチナ側が交渉にもどってくるハードルが上がってしまったことだ。提案が整っているかどうかとは別に、その提案を今出せるのかという問題に直面している。


――サウジは大使館移転をどう受け止めているのでしょうか。


上村氏:サウジとイスラエルは同じ陣営といえる。だがイスラムの盟主を自任するサウジにとり、イスラム教第三の聖地エルサレムの帰属問題は、イランの要素とは違う視点で考える必要があるサウジとイスラエルの関係が急速に改善するとは考えていない
 

エルサレムを首都と認めたトランプ氏の発言は受け入れられない、との立場は崩していない。イスラエルパレスチナ国家の樹立を認めるなら、アラブ諸国イスラエルと関係を持つとした「アラブイニシアチブ」を(02年に)提案したのはサウジだ。2国家共存を原則に、エルサレムの地位は話し合いで解決し、難民のパレスチナへの帰還を決着させる基本的な立場は変わっていない。
(聞き手は松尾博文、黄田和宏)


〈アンカー〉日本、信頼向上で仲介役を


中東の最前線に立つ大使たちの言葉が映し出すのは複雑に絡み合う構図の変化だ。それを読み解くには流動化する世界の時代認識と、その下での中東の位置付けの理解が必要となる。


同席した中東調査会の斎木昭隆理事長(元外務次官)は「世界は大きな節目にある。欧米の影響力が低下する一方、ナショナリズムポピュリズムが台頭している。政治指導者は明確な方向性を打ち出せず、様々な地域で不安定が表面化している」と、中東も世界を覆う変化のうねりの中にあるとの見方を示す。


3人の大使も指摘したように、今日の中東混迷の出発点として、米国の政策の変化や影響力の低下、そのはざまで生じた「力の空白」は無視できない。一方、長期化するシリア内戦の収拾や拡散するイスラム過激派への対処、世界有数の産油国であるサウジとイランの緊張緩和などには、国際社会の役割が不可欠だ。


斎木氏も「中東の安定が世界の安定に重要なのは疑いない」と強調する。


中東の安定のため、日本は何ができるのか。中東諸国と伝統的に良好な関係を築いてきたことが強みなのは確かだろう。「中東各国との2国間関係を強化し、日本への信頼を高める」(斎木氏)といった地道な努力は、「友人」に対して時に耳が痛いことを直言するためにも大切になる。


ただし、イラン核合意の破棄やエルサレムへの大使館移転を強行しようとするトランプ米政権に対しては、いったい誰が物を言うのか。築き上げてきた中東との関係を同盟国である米国と共有し、丁寧に説明するといった姿勢は、これから一段と重要になる。
編集委員 松尾博文)

(転載終)

The Atlantichttps://www.theatlantic.com/international/archive/2018/03/john-bolton/556346/


A Short Guide to John Bolton's Government Career
The incoming national-security adviser has advocated for war with North Korea.
by Krishnadev Calamur
23 March 2018


・Bolton was a regular on Fox News, where he called for aggressive postures toward North Korea and Iran. Bolton, like Trump, is also a critic of multilateral institutions, international agreements, and free trade, and an advocate for a foreign policy based on what he sees as exclusively American interests.


・Bolton served in government as a political appointee in the Reagan and George H.W. Bush administrations. He served at the U.S. Justice Department, the U.S. State Department, and the U.S. Agency for International Development in a variety of positions. His hawkish views on foreign policy won him many admirers (as well as critics).


・He did not win many admirers among U.S. allies during this time, with U.K. officials, in particular, seeing him as an obstacle to negotiations with difficult countries like Iran and Libya, and persuading Bush to keep Bolton off the negotiating teams.


・Bolton, in his memoir, Surrender Is Not an Option, made clear what he thought about the State Department: “State careerists are schooled in accommodation and compromise with foreigners, rather than aggressive advocacy of U.S. interests, which might inconveniently disrupt the serenity of diplomatic exchanges, not to mention dinner parties and receptions.”


・Bolton was a longtime critic of the United Nations.


・Bush named him to the UN post as a recess appointment. Bolton served in the position for about a year before stepping down.

(Excerpt)
では、「日本の降伏文書」は選択だったのですか?