ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

‘Useful Idiots’日本版 

ガザのハマスイスラエルの戦闘状態は(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20121117)、現在も緊迫化、硬直化しているようですが、それにしても現在の日本では考えられないほどの常軌を逸した状態です。
2012年11月21日日本時間12時25分(午前)時点の、イスラエル国防軍の広報によるアナウンスです。

IDF ‏@IDFSpokesperson
Update: Over 800 rockets fired from #Gaza hit Israel in the past week - 162 during the last day alone
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そして、欧州の宥和政策メディアによって、「公平に」両者の言い分を伝える、ないしは「弱者の味方」路線の偏った(あるいは誤った)報道が、主流の(「一流」「リベラル」「高級紙」と引用する日本側が呼称していることもある)メディアで流されているのに対して、イスラエルアメリカの保守派は、その間違いを暴露するレポートを公表しているようです。ダニエル・パイプス先生が、フランス語による一読者からの必死の訴えに対して、公式サイト上で「まだアメリカの方が健全ですよ。よかったらこちらで公表してはいかがですか」とアドヴァイスされていた数年前のコメントを思い出します。
数日前、パイピシュ先生もかつて出演されたカナダの保守系番組では、非常におもしろいニュース映像がありました。結局のところ、世界各国で「イスラエルは攻撃をやめろ」とデモをしている親パレスチナ派の「人権」「平和」「ムスリム」団体は、実は本当に訴えているというよりは、むしろ、国際メディアのカメラを意識して演技しているようなのです。
まだ学生か院生か、卒業して間もない妙齢の若いきれいなお姉さんが、マイクを持って質問に回りました。すると、その一人が振り返って「あんた、どこの組織?どのテレビ局?」と尋ねるのです。一瞬、戸惑った彼女が、同行のカメラマンをちょっと振り返って指示を仰ぐような表情になり、思い切って「○○」と答えると、「あちゃぁ、あそこはダメだ。答えられないね」と言いました。
つまり、保守なら保守路線で一貫した方針を貫いていると、デモっている側にも一種の強制力を与える一方で、いかにも寛大で宥和精神に満ちた「リベラル」を装っているメディアに対しては、それ相応の見返りがあるということの示唆です。(‘Useful Idiots’ を思い起こさせます(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20111217)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20111227)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120120)。)
週末にも、欧米各国のテレビ番組を英語で見ていた主人が、「アメリカのフォックスニュースが、一番はっきり伝えていて、おもしろいね」と言いました。「リベラルだと、両者の言い分がごちゃごちゃになっていて、これまでよくわからなかったけど、ユーリがいつも家で言っていることと合わせて、やっと自分で判断できるようになった」と。アメリカ東部に計4年間住んでいた主人でさえ、こうなんですから、世間一般の理解浸透に時差が生じるのも、やむを得ないというところでしょうか。
こういう時、論文書きそっちのけで、とりあえずは混沌とした自分の考えや感情を整理し、近い将来の分析や情勢判断に利用するためにも、このブログを書き続けてきてよかったな、と思います。

ハマスやガザの状況を文書で見ると(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120228)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20121101)、非常に閉ざされた環境(心理的にも物理的にも)の中で、極めて単純化されたスローガンやイデオロギーを朗々と繰り返していることがわかります。「もう、ガザはエジプトに返す」と言いたいイスラエル人の気持ちは、充分に共感できます。

さて、来月しばらくお休みをいただくために、今、残りの訳文に取りかかっていますが、時間を置いて何度も見直した上で、提出時はとりあえず(これでよし)と思っていても、何本か同類のテーマがたまってくると、検索時に、用語の小さな不統一やちょっとしたミスや、(その分野の専門家ならば、多分そうは訳さないだろうな)という点に気づきます。その場で(あ、しまった!)と思っても、その他で忙しかったりしてしばらく放置しておくと、新たな資料が見つかって(やっぱり私の方が正しかった)と判明することもあるので、なかなかやっかいです。
基本は原文にできる限り忠実に、ということですが、表記が分かれる固有名詞などについて、日本側の資料をある程度広く見ておかないと、それぞれのイデオロギーやニュアンスの違いが出ないので、最初は非常に時間がかかりました(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120821)。
そもそも、パイプス論調そのものが、日本では一部で否定的に批判(というよりも悪意ある誤解)があったぐらいなので、まずはその解明から始まり、パイピシュ先生の特徴を把握し、どうやって日本側に日本語で効果的に伝えられるか、自分でも試行錯誤しつつ、多くを学びつつ、ここまで来たという感じです(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120819)。
このブログに率直に書いていることはパイピシュ先生にも最初からお伝えしてあり、ずっと前から了解済みです。むしろ喜んでいただいているようです(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20121003)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20121108)。ともかく、私の路線は、公明正大で事実に基づく記述を心がけること、陰謀論など一切存在しないこと、戦略家ではないので、ストレート過ぎるかもしれないが、自分なりの持ち味を出そうとしていること、などです。
昨日も、訳文が既に数言語上がってしまっている最近の論考文に、こちらから指摘をさせていただきました。「アラビア語の特徴や綴り式を知ってはいますが、日本語では書き分けなければならないので、訳文には(ママ)を添えました」「写真のキャプションと本文とが不一致の箇所があります」。
すると、ガザ問題で超多忙なはずのパイピシュ先生から、時間はいつも以上にかかりましたが、ちゃんと丁寧なお返事が届きました。
間違いに気づいてくれて、すごいね。ありがとう!直したからね」。
注意深い仕事を、どうもありがとう」。
内容に夢中になると、表記の不統一に気づかないままになり、日本語表現に囚われ過ぎると、どこかぎこちない文章になったりします。小さなメモ帳に逐一、気づいた点を列挙していますが、今年3月頃のメモを繰ってみると、我ながら(相当進展した)と感謝したくなります。同時に、パイピシュ先生とのメール交換や訳文作成を始めてから、英語に関して、定番の冠詞と前置詞と時制の問題に加えて、中学生レベルの単純な表現の使い分けが案外に難しく、確認をしないといけないことに愕然としています。
あるいは、もしかしたら細か過ぎるのかもしれません。ただ、インターネットで情報検索が楽になった一方、単に他者のコピペで済ませているサイトと、自分なりの生き様に裏付けられた文章とでは、違いが歴然とすることがますます鮮明になり、むしろ今後は、その相違で勝負することが肝要ではないか、と思うのです。
先月、来京されたA.B.イェホシュア氏のことを、パイピシュ先生が「馬鹿げた識見を持つ馬鹿げた男さ」と酷評していたのを(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20121005)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20121007)、今回のガザ紛争を見るにつけ、まざまざと思い出します。もちろん、パイピシュ先生に軍配が上がるのは言うまでもありません。
これを閉じようとしたら、日本語メーリングリストが届きました。一部抜粋をここに掲載いたします。

2012年 11月 19日(月)
イスラエルユダヤ人で今回のガザ攻撃を支持する人は84%。しかし、今後、地上戦を行うことに賛同する意見は30%だった。(H)


2012年 11月 20日(火)
*CNNが米国で行なった世論調査で、イスラエルの自己防衛権を認め、ガザ攻撃を支持する意見が57%に達した。(H)
*EU27カ国の外相が、ガザでの戦闘を今すぐやめるよう呼びかけ。イスラエルの自己防衛は、つり合った範囲にすべきだと主張。(P)


2012年 11月 21日(水)
*ガザからの砲撃により兵士と民間人が死亡。テルアビブ近郊ではアパートがミサイルの直撃を受け大きな被害イスラエル側の死者は5人に、ガザ側の死者は戦闘員を中心に約130人に達した。(H,P)
*ニューヨークでは反イスラエルと親イスラエルのデモ。イスラエル派はタイムズ・スクエアに、親イスラエル派は7番街に集結。(Y)

(抜粋引用終)

上記のEUからの「つり合った範囲」という表現がおかしくて笑えてきます。つまり、「イスラエルはやり過ぎだ」というのでしょう。人の気持ちも知らないで...。Useful Idiots!