ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

‘前近代的’発想と知的水準

幾つかの図書館のお世話になっている者として、返却期限の厳守は、無論、大事なことだと思っています。
ただ、同一の本を借りるにしても、例えば大学図書館ならば三ヶ月も借りられたのが、近所の公立図書館だと、二週間が期限で、一度だけ延長できるので、最大一ヶ月ということになります。気晴らしや暇つぶしに読んでいるのではないため、一ヶ月といってもすぐに期限が迫ってしまいます。それ以上続けて借りようとすると、「他の利用者の迷惑になるので、期間を置いてからにしてください」などと注意されたこともあります。(ほとんど誰も借りていない本だったつもりなんですけれど。)

特に、専門に近い本は、コピーを取ったり、ノートを作ったりしながら読んでいて、毎日、それなりに忙しく過ごしています。タイマーをかけて、狭い家の中を走り回っている日々。
近所の図書館は、買い物ついでに立ち寄れるのが最大の魅力。町内の本では間に合わず、大阪府立図書館の本を予約することが大半ですが、この頃、返却催促の電話がいささか意地悪というのか、図書館法の見地に照らし合わせても、(ちょっとそれはないんじゃないの?)というような、前近代的発想が垣間見えます。
今日は、時間には間に合ったのですが、言われたのは、「(あなたが)一人遅れると、今後、町内全体が府立図書館から借りられなくなる」ということです。
「今後は、遅延日数の間、借りられなくなる」とか、「しばらく図書館利用停止」という、個人に対するペナルティならばわかるとしても、そんな全体責任を負わせるような馬鹿げた話は、近代国家における公立施設の在り方としては考えられないと思い、早速、帰宅後、大阪府立図書館に電話で問い合わせてみました。
もちろん、係の女性のお答えは「大阪府立図書館としては、公共図書館の返却遅延に関して、特に決まりを設けているわけではありません」「こちらは、個人情報を保持していないので、遅延状況については把握していません」という、極めて‘常識的な’ものでした。
「相互利用機関の図書館で、一人の遅延によって、図書館の利用者全員に迷惑が及ぶという事例はありますか」と尋ねたところ、「そういう話は聞いたことがありませんが、自治体によっては、もしかしたらあるのかもしれません。こちらではわかりかねます」との由。
府立図書館のような大きな組織では、利用者にもいろいろなケースがあるはずなので、対応はある程度、幅を持たせて柔軟性があります。
結局のところ、女心は狭いもの。きちんと真面目にお仕事をしているつもりなのかもしれませんが、海外も含めて、いろいろな図書館を利用してきた者にとって、あたかも意地悪なお姑みたいに、いちいち理不尽なことでチクチク注意されていたら、全く不愉快です。

一体、誰のための公共図書館なのか。もしも係の対応一つで、利用意欲が減退したとするならば、全体として知的水準の低下による損失に関する責任の所在はどこに求められるべきなのか。(第一、こちらは高い税金を払わされているのに)という反感を招き、双方にとって益なしと考えなければなりません。

町内図書館には、「利用者の声」のようなファイルが作ってあり、以前、ちょっと覗いたことがありますが、何とも辛辣な意見が町内からも出ているんだなと、我ながら、自分自身の「寛大さ」にかえって驚いたことがあります。矛盾していると思ったのは、「借りた本をなくしました」と申し出ていた若い女性に対しては、やさしい対応をしていたのに、私のように、買い物袋を提げて、走って返しに来る者には、目くばせでうすら笑いをしながら、係の人が応じることです。
一体全体、公共の本を紛失するのと、ギリギリ走って返却に来る者と、どちらのケースが社会的に深刻なのでしょうか?
以前、友人から聞いた話で、真偽のほどは不明ですが、何やら、借りた本のバーコードを切り取って自分の所有物にしてしまう事例なども、世の中にはあるそうです。
私など、以前、図書館に立ち寄るついでに、空き缶やペットボトルの回収ボックスにも行くつもりで、図書館から借りた本と一緒にエコバックに入れていたら、「本の端が3ミリほど濡れている」ということで、「弁償の可能性があります」と脅し(?)をかけられました。後日、ご丁寧にも「よ〜く注意しておいてください」と、‘お叱り’の電話を受けた主人は、「やっぱり女性だなぁ」と笑っていました。弁償も何も、単にちょっと数分、日光に照らしておけば、すぐ乾くものであって、しみなんて最初からついていたようなコベコベの、随分古くて、ほとんど誰も借りていないような本なのに、何をまた、と呆れます。
自然の豊かな静かで小さな町で、それなりに気に入っているのですが、こういうことがあると、(やっぱり都会に住みたいなぁ)と思ってしまいます。

誤解なきよう、これまでの私の利用状況を述べた拙文は、次の「ユーリの部屋」をご参照ください(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20071003)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20100413)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20100702)。