ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

マレーシア情勢について

マレーシアのキリスト教会への放火事件は、治まるどころか、日ごとに増えているようです。国内の教会に対して、治安上の厳戒態勢をとったものの、あるニュースによれば、今日で8件目の被害が出たとのこと。しかも、元来はサバ州サラワク州先住民族を中心に伝道が開始され、その後、半島でも開拓が進んだ教派の、セレンバンにある教会だったので、それには少しびっくりしました。
発端は、マレー語での神の名‘Allah'が、ムスリムにとっては「神聖で異教徒は犯すべからず」なのに、2009年大晦日高等裁判所の判決では、クリスチャンもマレー語では使用してもよい、ということになったために、一部のムスリムの怒り爆発、ということらしいです。もっとも、ナジブ首相をはじめとする、ムスリム指導者層のある人々は、この破壊行為に断固反対の意思表明を公にしましたし、政府も、壊された教会の賠償金を支払う旨、申し出たそうです。また、多くのNGOが、教会を守るべく警護などをかって出てくれたらしく、これは心温まる報道でした。
前にも書いたように、毎日、ワードに落としてあります。もう300ページ以上にもなり、昨晩はさすがに、少し疲れました。眼が疲れるというよりは、その内容に辟易している、というのが実情です。驚くべきことに、これまで被害にあった教会は、名前は知ってはいても、これまで参与観察で中に入ったことのない教会ばかりです。
今、それらのニュースをブログ上で列挙することは差し控えたく、マレーシアの関係者にも、そのように伝えてあります。
先程、買い物から帰宅すると、テレビでBBCニュースを見ていた主人が、「さっきマレーシアの教会攻撃のこと、報道していたよ」と、教えてくれました。ネット上の写真に似たようなものですが、さすがに大型テレビの画面で見ると、迫力が違います。
これまで、この種のニュースは、エジプトやイラクパキスタンインドネシアが中心で、対比モデルとしてマレーシアが挙がっていたように思います。しかし、その見方に私は与することができず、さりとて、あまりストレートに情報を出すのも、ムスリム寄りあるいはムスリムの研究者が、この日本にも増えてきている現状から、いささかはばかられた経緯があります。
と同時にやっかいなのは、そのようなこちら側の‘苦心’や‘苦渋’を知ってか知らずか、人前で「はっきり全部出しなさい!あんた、知っているんでしょ!何で黙っているの?わかっているくせに!それじゃ、論文になりません!あなたは、だから、いつまでたっても大学の先生になれないのよ!」などと、非難してくる勘違い教授もいることで、これには、腹立たしさを通して、脱力呆然とします。
一言申し添えれば、今回の教会破壊事件は、今に始まったことではなく、過去にも何度か間歇的に発生しています。その時には、今ほど大々的にインターネット上で公知する習慣がまだなく、在マレーシアのアメリカ大使館や人権団体などが、キリスト教ネットワークと併行して、文書にまとめて公刊したりしていました。もちろん私も、1990年4月の赴任直後に、地元の教会関係者から「あの教会では、かくかくしかじかの事件があった」などと聞いていましたので、今回のことで、初めて仰天したわけでもありません。むしろ、(あ、やっぱりやりましたね)程度です。