ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

後のお楽しみに

週末には、毎年恒例の研究大会が開かれます。今回は大阪市立大学で開催されるということだったので、一大阪府民として、本当に久しぶりに訪問することにしました。多分、これが二回目になるでしょう。(ちなみに、先月のICUも二回目でした。)
研究発表や学会出席のために、これまで、国内各地の諸大学を訪れることができ、大変に視野が広がりました。一方で、正直なところ、この年齢になると、新幹線や飛行機に乗ってホテル宿泊する必要がない、というだけでも、ずいぶん気分的に楽だということにも気づかされました。初めての場所は、やはり緊張するということです。ましてや、発表者ならば、レジュメコピーの段取りや荷物など、気を遣います。
発表の準備に専念したいところですが、ちょっとここで一休み。私の場合、資料そのものは何年も前から集めてあるものの、気が乗ったところで一気に仕上げるタイプらしいことに、最近ようやく気がつきました。今、発表後の楽しみを考えながら作業しています。
さて、その楽しみとは...。
「おい、こら、鳩ぽっぽ!」と揶揄され、仕分け作業や沖縄基地や母子の資金管理をめぐる問題などで、さんざん非難を浴びている昨今の首相および元大臣の家系話です。
今朝も我が家の話題に上りましたが、百数十年ほど前までは、勝山藩三浦家の臣下として「同僚」であったはずの鳩山家と主人の母方の実家F家(プラスおばあちゃんのご実家T家)とが、どうしてここまで違ってきてしまったのか、その秘訣を知りたいと思ってしまったのです(参照:2009年11月16日付「ユーリの部屋」)。主人によれば、田舎のおじいちゃんは、「F家は、ご領主さまに狐退治を命ぜられたから、狐に祟られたんだ」とか、およそ校長まで務めた人の発言とは思えないような非科学的な弁明を思いついて、無理矢理納得しようとしていたそうです。私の見るところ、どうも鍵は、家系に連なる女性にあるような...。あ、でも田舎のおばあちゃんは、大変なしっかり者でした。
もっとも、知ったからといって、今更どうにもなりませんが、近現代史とはいわずとも、少なくとも世間の勉強にはなるかと思います。ともかく、日ソ国交を成し遂げた一郎氏に関する書物を、何冊か借りて読むつもりです。もうファイルも作ってあります。
今年10月上旬に滞在したシンガポールで、インド系のタクシー運転手さんが、「新しい日本の首相の奥さん、ええなあ。宇宙と交信したとか何とか、おもしろい発言する人で、ああいうの、オレ、好きだなあ」と、陽気に話しかけてきたことを思い出します。(へぇ、そういう風に見られているのか)と、新鮮でした。国内の新聞だけでは窺い知れない側面だと思いました。
そういえば、シンガポールのDは、今回の政権交代のポイントが、吉田茂首相と鳩山一郎首相の孫同士の闘いであったことを知りませんでした。「え!祖父も首相だったの?」と驚いているので、(おいおい、シンガポールの新聞よ、日本の悪口ばかり書いていないで、そこんとこもしっかり報道してくださいね)と。

もう一つの楽しみは、注文したAnthony Reid教授の新刊書が届くことです(参照:2009年10月22日付「ユーリの部屋」)。
そう言えば昨晩は、ミーンズ夫妻(参照:2009年5月14日・5月15日付「ユーリの部屋」)のご長男の新刊書が届いたのでした。(ミーンズ夫妻とご長男夫妻については、先月、ICUでのキリスト教史学会において(参照:2009年11月25日付「ユーリの部屋」)、パワーポイントで説明させていただきました。)この本は、上記と同じ10月に、マラヤ大学書店で見かけたのですが、重そうだったのであきらめ、帰国後に注文したのです。
Gordon P. Means, "Political Islam in Southeast Asia", Lynne Rienner Publishers, Boulder/London, 2009.

マラヤ大学書店で購入した関連書には、次のようなものがあります。
William R. Roff, "Studies on Islam and Society in Southeast Asia", NUS Press, Singapore, 2009.

この本は、レジ係のマレー人のおばさんが、わざわざ指さして、「これは新しい本。いい本だよ」と、マレー語で教えてくれました。確かに、厚みが若干違います。
William Roffと言えば、『マレー・ナショナリズムの起源』の著者として、既に言及済みです(参照:2009年7月4日付「ユーリの部屋」)。

両者は、似たようなテーマを扱っているようですが、視点も立脚点も少し異なり、私にとっては相補関係にあるところが勉強になります。しかし、共通項として重要なのは、お二人とも名誉教授でいらっしゃるのに、これほどのページ数の本を書き上げるだけの気力と情熱を、今も持ち続けていらっしゃる点です。やはり学者たるもの、かくあらねば!