ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

ユーラビアは幻想に過ぎない

今日立ち寄った近所の図書館で、“Newsweek”(20 July 2009)(英語版)を読んでみたところ、いわゆる「ユーラビア」(Eurabia)が神話だということ、すなわち、実現不可能性を示唆する記事が掲載されていました(William Underhill,‘Why fears of a Muslim takeover are all wrong', pp.30-33)。
「ユーラビア」は、Bat Ye'or氏お得意の論説だったはずです(参照:2008年7月8日−7月13日・2009年7月4日付「ユーリの部屋」)。他にも、移民とムスリムの高い出生率が2025年までにヨーロッパ人口の4割を占めるようになるだろう、と言われています(p.31)。また、スペインとドイツでは、昨年の調査によれば、半数がムスリムに否定的見解を持っているとのことです(p.32)。現在のヨーロッパの諸政府は、ほとんど全く中道右寄りになっており、ムスリムのトルコはヨーロッパ連合では歓迎されていないというメッセージを強化しているそうです(p.32)。
しかしながら実際には、ヨーロッパのムスリムは、増えたとしても2025年までに3800万人という全人口の10%以下に留まり、出産率もヨーロッパに滞在する期間が長くなるにつれ、下がっていくだろうということです(p.33)。そして、そもそもムスリムは統合されているのではなく、言語や出身背景からも、相互にコミュニケーションすら難しいことも多いのだそうです。例えば、英国のパキスタンムスリムとフランスのアルジェリアムスリム、ドイツのトルコ系ムスリムとベルギーのモロッコ出身のムスリムの意思疎通は困難だとか(p.33)。だから、ムスリムがヨーロッパ人を凌駕して、土地を占領することなど考えにくい、という内容でした。

派生的に、中国のウイグル族の問題も懸念されるところです。1990年代前半にマレーシアに住んでいた頃、マラヤ大学ウイグル族の舞踊会が開かれました。どこでどのように知ったのか、せっかくのチャンスだからと一人で見に行きました。すると、クアラルンプールの漢方医院で知り合った華人男性が声をかけてきたのです。
その華人男性も漢方の先生も、華人よりマレー人の方が好みに合っていたそうで、漢方医は娘さん3人と共に、その後まもなくイスラーム改宗したと聞きました。多分、私の名を呼んだ男性も、お医者さんの手引きでムスリムになったのではないかと想像されます。舞踊会に来ていたのは、ほとんどがマレー人かインド系ムスリムでしたから、とても印象に残っています。ウイグルの女性は色が白くて、ロシア風の衣装に近く、とても優雅に舞いや踊りを披露してくれました。私にとってのウイグルは、マレーシアで観覧した舞踏会なのです。