ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

しっとりした情感あふれる演奏

今朝メールボックスを開くと、シンガポールの友人から「新インフルエンザがひどいってニュースで聞いたけど、そっちは大丈夫?」と便りが来ていました。「もちろん大丈夫」と返事を認めましたが、こういうやり取りはとてもうれしいものです。
さて、今日借りてきた本は、天満敦子さんの『わが心の歌:望郷のバラード文藝春秋2000年)です。故レオニード・コーガンに師事されたことのある実力派ですが、輝かしいコンクール受賞歴の割には、なかなか演奏機会に恵まれない時期もあったということを、朝日新聞朝刊の連続小説で高樹のぶ子氏による「百年の預言」の連載直後に、どこかで読みました。家で孤独な練習の日々が続いていたとのこと。ところが、かの小説によって、一躍主人公のモデルとして、脚光を浴びるようになったとか。もう10年も前のことです。ちなみに、天満敦子さんの父方の叔母様が、津田塾大学の元学長先生だったそうです。
CDも同時に借りてみました。『天満敦子:祈りⅡキングレコード2008年)で、聴いてみると、有名な小曲が次々と流れ、なんともたっぷりした情感あふれる演奏でした。
これだけ弾けても、日の目を見ない日々もあったなんて、最近の10代20代のヴァイオリニスト達が頻繁にテレビでも演奏が放映されるのを見たら、嫌な気分にもなるでしょうか。天満敦子さんのことを知った時期には、私自身がそれほどヴァイオリン曲に夢中ではなかったこともあり、演奏家の流派などの違いにもあまり気づきませんでした。
そういえば、図書館で立ち読みした日経新聞には、前橋汀子さんが江口玲氏をピアニストに迎えて、ようやく録音した曲があるという記事が掲載されていました。完璧主義の前橋さんにとっては、以前、同じ曲を録音した時にはどこか気に入らず、公表には至らなかったとのこと。でも、満を持して、というのか、江口氏と共演してみたら、何とも柔軟な解釈と高度な技術で、一挙に話が進んだとか。さすがは江口玲氏。二度もお目にかかれて、しかもホームページへの書き込みにも応対していただき、感謝しています。
他に借りたCDは、次のようなものです。
・『メンデルスゾーン:ヴァイオリンとピアノのための協奏曲 二短調/モーツアルト交響曲第38番 ニ長調 k.504「プラハ安永徹(ヴァイオリン)市野あゆみ(ピアノ)アンサンブル金沢(オーケストラ)Walter Classics2005年
・『マリンバヴィルトゥオーゾ神谷百子/池上英樹マリンバ本島阿佐子(ヴォーカル)Philips2002年
若いうちに有名になって世界中を飛び回る忙しい演奏活動になるよりも、このような「一見地味な」演奏家の方が、しっとりとした演奏を聴かせてくださるので、本来はこうでなければならないのだろうとは思っています。