ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

楽しさではなく質の向上を...

さて、昨日は、マレーシアから無事、週刊新聞『ヘラルド』と月刊誌『カトリック・アジア・ニュース』が届きました。
ヘラルド』(1 March 2009, Vol.16, No.07)の方は、おとなしく指示に従い、第一面の右肩上に太字で“UNTUK AGAMA KRISTIAN”キリスト教用)と表示してあります。しかし、すぐその下の記事には、「マレーシア国内の三種の新聞『カトリック・サバ』『今日のカトリック』(サラワク)『ヘラルド』(全国版)が、国内治安法の監視下にある」という大見出しが出ています。そして、‘Allah'の用語使用が古くからこの地域のキリスト教伝統であったことを証拠づける一例として、1894年にマレーシアで使用されていたというローマ字版マレー語の祈祷書(古い綴りと文法が用いられている)の写真も添えられています。
予想された通りとはいえ、なんだかなあ、という印象しかありません。月刊誌の方は、最近では、社会政治面の記事がめっきり減り、もっぱら外国のカトリック記事の転載および、マラヤリ系2世の私の友人ともう独りの博士号取得者が、少し執筆している程度です。それも、カトリックの信仰面が前面に出る内容となっています。1990年代の方が、読み応えがあっ...(以下省略)。
とりあえず、国内の出版物に関しては、事をやたら荒立てず、規定にあえて背くようなことをせず、表示で済むのであれば、できる限り穏便に済ませたいですね。そして、新聞記事は聖書翻訳とは違うのだから、「主なる神」のような表現を除き、できる限り「主」(Tuhan)にとどめるようにして、今まで以上に、内容の充実を図り、質の向上をめざしたいところです。
こういう時だからこそ、マレーシアのクリスチャン達に是非ともお勧めしたいのが、BK(参照:2008年3月29日・3月30日付「ユーリの部屋」)。マレーシアの高校2年生(17歳)が、高等教育を受けるための資格となるSPMという大事な全国統一国家試験で、せっかく「聖書知識」(Bible Knowledge, BK)という科目が設置されたままになっているのだから(これも、クリスチャン指導者達の働きかけと、内閣にいるクリスチャン政治家の尽力によるものです)、英語力がつくというおまけつきでもあり、がんばって教会内の「塾」でも学習してほしいところです。しっかりした聖書の知識を身につけ、イスラームとの共通項と相違点をきちんと学んでほしいです。少数派だからこそ、がんばってほしい。間違っても、「クリスチャンが混乱する」などと、マレー当局に申し立てするようなことはあってはなりません。

ところで、昨日、スペイン語とドイツ語の復習をしていて、随分、文法理解に混乱が入ってきたなあと、がっかりしました。もっとも、20代に身につけたものなので、練習問題で間違えても、すぐに直せるのですが、初見ですらすら文が出てこないのが、悔しいところです。これもそれも、1990年代にNHKラジオ講座でもはやった「楽しく学習しましょう」というチンタラムードの一部反映でもあります。(←人のせいにするな!)ドイツ語など、文学やドイツリートをしっかりと学ぶより、「現代のドイツ」をあるがままに暴露するかのような内容や、若者向けの流行歌や「全部できなくてもいいんですよ。少しずつやっていきましょう」などという「おだて」がよく講師から出てきて、やる気がなくなっていました。テキストを買っても、開かずに聞き流すだけの年も続いたかと思います。だって、易し過ぎて....。
もちろん、何度かNHKに葉書を送って意見しました。「テレビの講座は、外国語に関心を引き寄せるためのものだから、若いタレントを使って楽しくやっていてもいいだろう。でも、ラジオ講座を聴き続ける人達の背景や目的を考えてほしい。今では、インターネットもあり、教材も増え、外国語学習の場も、大学以外に多くの機会があることは事実である。しかし、地方在住者や忙しい暮らしを送っている人にとっては、とりあえず学び続けるのにラジオ講座が一番、あるいは唯一、というケースもあるのだ。外国文化のよきものを学び吸収することで、自己向上に役立てたいと考える人もいる。だから、いつまでも初級レベルを繰り返して、‘楽しく’しないでほしい」。
それが功を奏したのかどうか、うれしいニュースが!2008年度の「アンコール講座」もよかったのですが、来年度から、ラジオのドイツ語講座に小塩節先生が再登場されるのです!それも、教養高い名言や音楽を取り上げてくださるようです。
やはりこうでなくては...。一ヶ月分のテキストは安くて薄くて、一見、これだけじゃね、と思わされますが、繰り返し続けていくうちに、そこそこ文章が読めるようになってきて、聞き取れるようになってくるのですから、やはり、人気取りや講師の偏った趣味で押し通すのではなく、長期的に見て、真に文化向上に結びつくようないい番組を放送していただきたいものです。
今のラジオ・ドイツ語講座の講師である清野智昭先生も、「一時期、日本のマンガのドイツ語版にはまっていましたが、最近は『初心に還れ』でHesseやKafkaをよく読んでいます。」と書かれていました。そりゃそうでしょう。若い一時期に楽しむなら、きっかけとしては利用できる漫画も、それだけでは大人の教養とは言い難いですからね。某国の現首相を見てくださいな。雄弁な立証じゃないですか。