ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

髪の話

先日、ようやく決心して、初めて髪の毛を染めてみました。いえ、茶髪じゃありません。黒く染めたのです。大学入学後、初めてパーマをかけた頃のことを思い出します。これで晴れて、灰色っぽくまだらになりつつある頭頂部の髪の色が気にならなくなりました。若い頃に戻った気分です!

前から、染めようかどうしようか迷っていたのですが、今の美容師さん達は、私よりも若い男性だからか、「早く染めないとみっともない」とか言って強く勧めるようなことはしません。むしろ、「まだ、そんなに白髪が目立たないですよ」「染めると髪の毛傷みますからね」などと慰めて(?)くれたぐらいです。

20代は、どんなシャンプーやトリートメントを使っても、ずっと、髪の毛が逆立つようにボワボワで、どうしてもまとまらなかったのが悩みといえば悩みでした。しっとりと落ち着いたつやのある髪など、夢のまた夢。美容院で「パーマをかければ落ち着く」と言われ、その通りにしたら、ますます髪が傷んで、ボワンボワン…。まあ、向こうも商売ですからね、何とでも言いますよ。当時の私は、あまりにも簡単に人の言うことを信じ過ぎました。

マレーシアにいた頃は、今と違って白髪の悩みはありませんでしたが、その代わり、「染めているの?」と誰からも聞かれるほど、毛先と頭頂部の髪の色が違っていました。頭頂部は栗色っぽい黒髪だったのに、毛先にいけばいくほど、茶色がかっていたのです。親しくしていたインド系の女性が、私の結婚後にマレーシアで再会した時、「あら、髪の色が落ち着いてきたわね。黒くなってきた。ヘルシーになった証拠よ。前はいつも茶色っぽかったから。それはストレスのせいなのよ」と言いました。自分では、それほどストレスがかかっているとは知りませんでしたので、彼女の言葉をありがたく思いました。

2002年放映という、五嶋みどりさんの「絆」を5年後の今年、テレビで見ていたら、拒食症からの病み上がり直後に、ベルリンフィルとの共演で、舞台に立ったみどりさんの髪型と当時の私の髪型とがそっくりで、びっくりするやら懐かしいやら…。みどりさんは、肩の下まで髪をのばし、前髪だけを取分けてピンで留めるヘアスタイルだったのですが、きっちり整えたはずでも、産毛が立っているような後れ毛が、全部逆立っているような感じだったのです。まさに私もそうでした。ヘアスプレーをかけてブラシで整えても、十分ほどするともう、静電気を起こしたように髪全体が逆立っていました。

髪の毛は精神状態や心理を如実に表わすと聞きます。あの頃のみどりさんが、回復したとはいえ、まだ病み上がりで緊張状態にあったのと同様、私も毎日、なぜだか緊張ばかりしていたのだろうと思います。なんせ当時は、気がつくと、いつも両手を固く握りしめて汗ばんでばかりいましたし、コンタクトを入れた両目が常に血走っていましたから…。

初めてパーマをかけた日のことは、今でもよく覚えています。「ストレートの髪型だと子どもっぽいのではないか。大学生ならもう同い歳で社会人の人もいる。早くパーマをかけて大人の仲間入り(?)をしなさい」など、今から考えれば何ら根拠のないことを母が言い出したので、美容院に行きました。母は、自分の世代と同じクルクルと巻いたサザエさん風の髪型になって私が帰ってくるものと思い込んでいたようです。けれども、美容院で言われたのは、「若い人は、軽くカールがかかるような、ドライヤーで後ろに流せるような方が普通ですよ」とのことで、前髪だけ軽くパーマをかけてもらいました。帰宅すると母の開口一番、「パーマなんてかかっていない!お金がもったいない!かけ直してもらいなさい!」でした。

しばらくして母は、テレビで若いタレントを観察したり、町に出た時、私と同じ年頃の女の子達の頭を眺めたりして、ようやく遅ればせながら納得できたようです。「今は、私達が娘だった頃と違うパーマのかけ方をするんだ。今の若い子は、皆うちの娘みたいな格好をしているんだ」と。まったく、第一子という存在は、往々にして親の犠牲になるものです!

独身の頃、要求がましい結婚相手と生活を共にするようになったらどうしよう、と要らぬ心配ばかりしていました。例えば、毎朝、夫よりも早く起きてきちんと化粧をして、髪の毛も毎月パーマをかけてぴっちり整え、いつ誰がドアベルを鳴らしても恥ずかしくないような格好をしているべき、という指示を出すような人だったらどうしよう、というわけです。

「大丈夫、そういう外見だけを気にする人は、そもそも一緒になろうなんてはじめから思わないんだから」ということは、誰も言ってくれませんでした。結婚生活は、独身時代よりも、もっと窮屈で大変だという話ばかり聞かされていましたから。
だから、主人には大感謝なのです。「パーマなんてかけなくていいよ。そのままでも充分だよ。化粧もしなくていい。むしろ、つやつやの素肌でにこにこ笑っている方がよっぽどいいよ」。おかげさまで、美容院代は随分助かりましたし、髪の毛もいつの間にか落ち着いてきました。

ヒジキやわかめや白ごまをたくさん食べて、マッサージをして、毎日逆立ちをすれば、白髪はなくなると、ある健康本に書いてありましたが、私にはあまり効果がなかったです。妹なんて、20代後半頃からもう白髪が出ていました。一方、主人はほとんど白髪なしです。主人の母も、主人の父すなわち夫に当たる方を亡くした時には、一時期髪の毛が真っ白になったそうですが、私達が結婚する頃は、かなり黒々と戻っていました。
結局のところ、食べ物や鍛錬の成果じゃなくて、遺伝と環境の問題ですね。