ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

研究発表のこと 本のこと

ここ数日の間に届いた書籍は、次の通りです。

・『国際聖書フォーラム2007講義録日本聖書協会(編) 2007年
・藤原藤男(編著) 『藤森豪勇と南洋開拓伝道』キリスト新聞社 1977年

わ!「ユーリの部屋」で、何度か「国際聖書フォーラムについて書きます」と宣言していたものの、ついに予想が実現してしまいました。講義録出版が私の感想より早く出現したのです!ま、いいか???専門分野に関わることは書けたのだし、なんて...。勉強机にフォーラムのファイルを並べて、書く内容を毎日考えてはいたのですが、結構、聖書について語るということは、難しいですね。真面目に考えれば、ですけれども。
『講義録』はありがたかったのですが、ちょっと残念だったのは、当日スクリーンで見せていただいた写真や絵画などの資料が、あまり掲載されていなかったことです。著作権の問題があるので、仕方がないとあきらめるしかありません。

そういえば、先日の学会では、主人が「理系だと、予稿集があるなら、あとはパワーポイントだよ。その方がコピー代もかからないし、プリントが欲しい人には、後からメール連絡して渡せばいいし」と言っていたのですが、実際には、少なくとも私の出席した会場では、受賞者以外、レジュメをコピーして配布する形式でした。

何部用意すればいいかわからなかったので、受付で荒井献先生の奥様にうかがったら「あら、言われてませんでしたっけ?」とのことで、思わずギクッ。レジュメって60部用意すると、結構かさばるんですよね。初めての学会なので、第一日目の様子を見てレジュメ内容を調整しようと思っていたのですが、懇親会後、ホテルに戻って少し休み、それから机に向かって手直しをしてから、コピーを取るためコンビニに行くのも、割合時間がかかります。(間に合うかな)などと緊張するのも、こういう時です。また、コピー機によっては汚れが出てしまうため、再度ホテルに戻ってホワイトで修正して、コピーを続ける、ということもあります。

論文直前の文章化したフルペーパーは、私の場合、作ったことがありません。なぜなら、文章にしてしまうと、発表の時は読み上げるしかなく、語法やら何やら、細かいことまで注意されるのが、聞いてくださる方全体にとって、あまり意味のないことと思うからです。ですから、常に箇条書きにレジュメを作ります。そして、資料編として別紙を添付するのが私のやり方です。
数年前までは、人前に出た時に上がって言葉が出なくなったら困るからと、話す内容をすべて書き出した草稿を事前に作っていましたが、この頃はやめました。23,4の時から、国内外の外国人に対する授業などで、文化の異なる人々に話す訓練を施されてきた経験が、案外今でも有効だと実感できたからです。舞台度胸というのか、開き直りというのか、歳のせいか、最近では(何なりとご批判ください、どうぞ!)という気分になってきました。また、初めて聞いてくださる方のために丁寧に説明しようとすると、続けて聞いている人から「それはぁ、こっちはもうわかってるからぁ」などと言うコメントがあったこともあり(←本当はそういう人に限ってわかっていないのですが)、やめてしまいました。
その代わり、箇条書き以外に話すことを、色ペンでレジュメの余白に予めメモしておきます。このメモのために、レジュメはびっしりになりますが、まあ、これぐらいは仕方ありません。
普段の私は、主人以外、ほとんど会話のない生活をしているのに、人前で公的な話をする場となると、突然、ツルツルと言葉が出てくるところは我ながら不思議です。なぜなのかはわかりません。ホテルの部屋や自宅で、多少は話す練習をしますが、自分のテーマで、表現したい焦点が定まってくると、自然に言葉になるのは、うれしいものです。
主人に言わせると、「パワポを使わないなんて、おっくれてるぅ!」ということらしいのですが、機械慣れしていなくて時間を無駄にするよりは、無難に紙媒体で済ませた方が賢明だと思います。先月の新渡戸シンポでも、ある発表者が、たった15分しか持ち時間がないのに、パワポでゴタゴタしてしまい、結局は焦って「後はホームページを見てください」と締めてしまったのは、非常に残念でした。
そういえば、以前の口頭発表の時、アメリカのコネティカット州にあるハートフォード神学校所蔵の一次資料を写真で示そうと思い、ノートパソコンを持っていったのですが、早めに出て行って準備をしていたら、司会者が「僕、パソコン壊すの怖いんで...」とか何とか言い出して、こっちの操作をかえってまごつかせた経験があります。
まぁ、文系の人って、機械音痴が多いのかもしれませんね。パワポの方が、確かにわかりやすいのですが、その‘わかりやすさ’が、かえってくせ者でもあったりして...。

藤森豪勇と南洋開拓伝道』の本は、シンガポールマレー半島の状況がかなり詳しく書かれていて、興味深く思いました。どうしてこの本を知ったのかと言えば、マレーシア神学院(Seminari Theoloji Malaysia)の図書館アシスタントであるインド系男性が、先週の初め頃、タイトルをローマ字綴りで書いて、その英訳があるかどうか、私にメールで尋ねてきたからです。その場では、「これから東京で研究発表があるから」と返事をしたのですが、早速インターネットで調べてみると、東京の古本屋さん2件が所有していることがわかったので、安い方に連絡して、購入したというわけです。
このように、私のリサーチは、思いがけないところからさまざまな関連情報が入ってきて、プロセスそのものはとても楽しいです。2002年の2月に、大分で研究会があった時、私の発表を京大名誉教授の坪内良博先生(現:甲南女子大学学長)が大激励してくださり、「いやぁ、女性は強い。こういう人の方が、かえっておもしろい研究ができるんだよな」とお隣の立本成文先生(京大名誉教授で、現在は中部大学教授)におっしゃっていました。突然の思いがけないお褒めの言葉に驚きましたが、同時に、大変うれしく光栄に思いました。多分、「業績作り」を意識するよりは、のんびりマイペースで問題意識を追究した方が、独自性のある研究にはなるでしょう。ただし問題は、それだけの金銭的・時間的・体力的・精神的余裕があるかどうか、ということです。結局のところ、気力と持続力がモノをいうのですから。

ショスタコーヴィチの本二冊とCD三枚を借りてきました。それについては、また別途書こうと思います。「国際聖書フォーラム」よりは気楽に書けるので、約束は守れるでしょう、たぶん。あ、それから昨夜は、限定割引制度の締切直前に、ハイフェッツのCDを注文しました。楽しみ!