「人間学」を学ぶという月刊誌『致知』は、9月1日で創刊満40周年とのことである。以下に、二つのメーリングリストから抜粋を。
特に、「褒めて育てよ」の弊害を実感してきた者にとって(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20071104)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20110122)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120225)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140331)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20150830)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20171002)、下記の指導術は昔を思い出させ、大変に気持ちよく読めた。「可愛い子には(一人)旅をさせよ」は妥当なのである。
「叱って育てる極意──シンクロの名伯楽・井村雅代の指導術」
・叱るコツは3つある
・叱る裏には責任があります。それはしっかり自覚しなければいけません。
・私もできることなら褒めて勝たせたいですよ。でも残念ながら難しい。褒めたらその子は、これくらいでいいんだって思い込んでしまうんです。NGを出して、もっともっとってさらに上を求めるのは、その子の可能性を信じているからなんです。
・この子たち一人ひとりにものすごい可能性がある。
・ちょっと褒めたらデレデレ緩んできたんです。これはあかん! と思ってまた叱りましたけど、最後までそんなことを繰り返していましたね。
・やっぱり人というのは、追い込まれて追い込まれて、もっともっとって求められるところから、本当の力って出るんじゃないでしょうかね。
1つは現行犯で叱ること。
2つ目が直す方法を教えること。
3つ目がそれでOKかNGかをハッキリ伝えることです。
・伸びる人材に共通する「心の才能」
・人の言葉を信じてくれること。やっぱり心にシャッターを下ろす子はダメです。
・人の話を聞く時は、耳で聞き、頭で聞き、心で聞かないとダメなんですね。耳で聞いてても心のシャッターを下ろしてる子はあかん。
・それはその年になるまでの教育環境にも大きく左右されますね。人間は信じるに値するという考えのもとに育てられたかどうかです。
・もう一つ大事なのが「心の才能」です。
・自分で限界を決めないこと。できないことにぶつかった時に心の才能のある子は、もうムリだと考えるんじゃなくて、「あぁ私の努力が足りなかったんだ。だったらもっと努力しよう」と素直に思って、一ミリでも自分を高めようとする。
・この頃、とみに思うのは諦めるのはいつでもできるということ。だから諦めたらあかん、諦めたらもう終わりだって。でも、そこで頑張り続けたらそれが当たり前になる。当たり前になったらまた前にいくんです。
・だから自分で限界を決めたらダメ。自分の可能性を信じなさい。
・心の才能があって、心のシャッターを開けていたら、人って変われますよ。そして、そういう自分を助けてくれる人は世の中にいっぱいいるんです。
(部分抜粋引用終)
「大空襲のど真ん中を生き抜いた料理研究家」
辰巳 芳子(料理研究家)
『致知』2018年9月号
連載「生涯現役」P100
・料理研究家として93歳のいまも全国を駆け回る辰巳芳子さん。
──昔はどこの家庭にも神棚があるのが当たり前でした。
・それはとても大事なことで、神仏を念じる心を持たせることは、その子の人生を助けます。
・私、戦争末期の大空襲の時に、そのど真ん中にいたんですよ。2時間あるかないかの間に500キロの爆弾が、90発も一気に落っこちてきた。なぜ90発だと言えるかっていうと、空襲が終わった後に爆弾の落ちた穴を数えて歩いたからです。
──よくご無事でしたね。
・私は防空壕の中で伏せていましたけど、爆風が風を切る音ってすごいものです。それこそナンマンダブじゃないですけど、私はマリア様を念じて、空襲が終わるのをひたすら待っていました。
・私のすぐ隣に名古屋大学の物理学者が伏せていらしたけど、がくがく震えているだけでした。それこそ物理学者であれば、爆風をどう避ければいいか、物理学的に考えて助けてくれるかと思っていたけど、全然ダメでしたね。
──辰巳さんのほうが、よほど腹が据わられていたようですね。
・震えていなかったのは私ともう一人、義侠心溢れるお爺さんだけでした。その方は防空壕の扉が飛ばないように、必死になって扉に張りついてくれていたんです。
・やはりそういう時に本当の裸の姿の人間が出てくる。つまり覚悟の決まっている人と決まっていない人の差ですよね。自分中心に考えるのではなくて、自分を空っぽにして「ナンマンダブ、ナンマンダブ」と念じることができる人は、どんな状況にあっても何とか持ちこたえられると思いますね。
・なぜこういう話をするかと言うと、いまは国際情勢が厳しいだけに、爆弾が落ちてくるかどうかは別にしても、私たち日本人が不測の事態に直面する可能性は十分にあると思うんですよ。
・ところが、この国はどこまで行っても持たざる国です。資源が乏しい。その中にあって持とうとすれば持てるもの、それが米と大豆です。これは日本人の勤勉さによって、何とか維持していかないと国を支えることができません。
・その2つがあれば、日本人はどんな苦労だって乗り越えていけるだろうと私は思っている。だからこそ、私は「良い食材を伝える会」を立ち上げ、「大豆100粒運動」を続けてきたんです。ですから「大豆100粒運動」に関して言えば、大豆のことなら任せてくれっていう人間を5万人はいるようにしておきたいですね。
──50万人ですか。
・土を見て、豆を手にした時に、豆なら蒔けるじゃないかって思える人間が5万人いれば、それが国を落ち着かせられる。これなのよ、私の狙いは。
・若くして大病を患いながらも料理研究家としての道を切りひらいてこられた道のりを、お父様の思いでも(ママ)交えて語られています。
(部分抜粋引用終)