公式ブログ『国際インテリジェンス機密ファイル』メーリングリストより。
春田真『黒子の流儀:DeNA不格好経営の舞台裏』
春田真氏は、30歳で住友銀行を辞め、2000年にDeNAに参加。財務戦略や上場準備を担当。2011年、会長に就任、同年12月に横浜DeNAベイスターズ取締役オーナーに就任。2015年、DeNA取締役を退任。
・本書は、DeNAの創業者・南場智子さんの本『不格好経営』の舞台裏的な位置づけで読んでいただけたらと思う。
・M&A案件というのは、そこに何らかの縁があれば順調に進むケースが多い。論理的に説明することは難しい。企業買収や合併には、そうした要素が大きく働いたりするから不思議なものだ。相手との縁がなければ、こちらがどれだけ欲しても実現できなかったりする。
・その存在感や影響力たるや、同規模のビジネスのみならず、それを大きく上回る規模のビジネスをはるかに凌駕する。これが日本社会に根付く野球という文化の大きさなのだと改めて実感させられた。
・配属先は京都の支店だった。元来の融資先は地元で古くから商売をしている小さな企業や個人事業主が多かった。土地柄だけあって、お寺関係の取引先もあり、さまざまな業種の取引先があることは新入社員の私でもすぐにわかった。
・あるとき強面の支店長からあるノートのコピーを頼まれた。コピーをしていると、そこに書かれている内容に視線が釘付けになった。なんとそこには京都の実力者たちの裏人脈のような相関図が、手書きで記されていた。その資料を眺めていると、普通の人には見ることのできない剥き出しの京都の姿に触れた気分になった。
・支店で学んだ基礎。入社してから2年間、窓口業務や事務作業、督促作業をこなしていったことで、私はきちんとした仕事をすることの大切さを叩き込まれた。さらには強面の年配者たちとしっかりと話をする際の度胸といったものも身につけていた。
・バブル崩壊後、一時関係を断っていたお客さんのところへ戻ろうという方針になった。当然、多くのお客さんから厳しい言葉を浴びせられた。そんなことが続くとさすがにへこんでくるのだが、人間というのは強いもので、そうした状況にもいつしか慣れてしまうのだった。
・その段階にまで到達すると、今度は逆に図々しくなり、厳しいことを言われても受け流し、どうにか預金を集めようと考えられるようになるのだ。
・こういう図太さを身につけるには、一度厳しい状況にさらされる必要がある。それを経ることで、人はどんな状況にも耐えられるしたたかさを養うことができるのだ。細かいことをあまり気にせず、すぐに次のことを考えられる図太さを、私はこの時期に体得できたと思っている。
・人のつながりというのは、どこでどうなって自分に返ってくるかわからないところがある。相手がどんな人であっても誠実にお付き合いすることが大切だということを、私は常に自分に言い聞かせている。
・こういう作業をしているときに大切なのが、必ず紙に落とし込んでいくことだ。つまり、組織構成から団体規程に至るまで、話し合いを経て決まったことはすべて書類として残していくのである。
・できる限り迅速に書類にしていき、それについていつでも詰めの議論ができる状態にしておいた。
(部分抜粋引用終)