河野太郎氏の努力や熱意はわかるけれども、せっかくアメリカ側が「従来の方法では駄目だったから、新しいアプローチを試みる」と意気込んでいるところへ、日本側がそれを無視して「日本独自の貢献を」と繰り返してみても、あまり効果はないように思われる(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20171227)。
以下の文章の赤字箇所には、空回り状況が見え隠れしているようだ。
例えば、日本側がイスラエルに対して「認識させる」と高みから見下ろすように表現している点が気になる。このセンテンスの内容は、今や大間違い(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20171229)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily2/20180103)。余計なお世話だ。
また、「成果を上げている」と自賛しているジェリコの農産加工団地のプロジェクトは、仮にパレスチナ側に「夢と希望を与える」意図であったとしても、現実には、パレスチナの学校教科書や宗教教育や難民キャンプ(UNRWA)の状況を抜本的に改善しなければ、日本の自己満足に過ぎないのではないだろうか(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130923)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20150518)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20150519)。
日本が取り組んだところで、果たして両者の信頼醸成にどれほどの効果があるのかは疑問である。というのは、日本側が善意でお膳立てしてみたとしても、その場に出て来る人達は、主流から外れているか、日本を利用するために出て来るオトリの可能性も多分にあるからである。
例えば、アル・クドゥス大学医学部のODAの状況も、最初からある程度、予測できたのではないだろうか。
もはや「ODA世界一を誇ることはできない」日本であれば、もっと国内向けに有効な他のお金の使い方を考えていただきたい。
2017.12.31
・パレスチナ自治政府にとっては、トランプ大統領の声明を受けてアメリカを仲介者とすることは難しくなりました。
・イスラエルに対して、パレスチナとの和平がアラブ諸国全体との表での和平をもたらし、それがイスラエルの安全保障や経済に大きなプラスになるということを認識させる、そしてパレスチナ、特に自治政府にはアメリカを再び、和平に関与させる必要があるとの認識をもたらす必要があります。
・日本が10年間にわたり、腰を据えてじっくりやってきたJAIPと呼ばれるジェリコでの農産加工団地のプロジェクトは、日本とパレスチナだけでなく、近隣のイスラエルとヨルダンの協力も得ながら実施されているパレスチナでは非常に珍しい長期プロジェクトであり、しかも、第1フェーズですでに製薬原料やパレスチナで初めての国内産ジュース、ウェットティッシュなど8社が製造を開始したという成果を上げています。
・JAIPで製造された製品は、パレスチナ領内からアレンビー橋の国境を越えてヨルダンに持ち込まれ、ヨルダンから湾岸諸国、アラブ各国、欧米、そして世界に輸出されるというのが、究極の狙いです。
・第2フェーズでは、物流を強化するとともにICT企業の立ち上げ支援や人材の育成に取り組みます。日本の取り組みがパレスチナの若者に夢と希望を与えられるように、息長く支援を続けていきます。そしてそれがこの地域でのISILや過激派の吸引力を低下させることになり、地域の安定につながっていきます。
・第2フェーズを実施するために必要なアクセス道路や国境の施設の強化などに関して、今回、イスラエル側とパレスチナ側での合意に道筋をつけることができました。
・こうした日本の取り組みを通じて両者の信頼醸成に努めていきます。
・2002年に日本がODAで様々な機材を供与した、東エルサレムにあるアル・クドゥス大学医学部を訪問し、機材が本当に丁寧に使われているのを見て感激しました。しかし、残念ながら、機材に使われているインクやスペアパーツの中には製造中止となっているものもあり、当時供与した機材の多くが使えなくなっていました。
・ODAとして約1億円の範囲で優先順位をつけて機材の更新を行います。
・アンマンのイスラエル大使館での事件を受けて悪化したイスラエルとヨルダンの関係改善に向けても、今回、両者の間のメッセージを取り持つことなどで、一歩を踏み出せたと思います。
・中東各国の指導者は、トランプ政権の声明そのものよりも、それが過激派などに暴動やテロを起こす口実を与えることになりかねないのを恐れています。
・日本は、国連安保理や総会での投票態度を通じて明確なメッセージを送り続けています。そして今回の日本の対応について、中東各国の指導者、政府から非常に高い評価をいただいています。
・ヨルダンは、イスラエルとも協力し、アカバ湾の海水を淡水化し、淡水を取った残りの塩分の濃い海水を水位が下がり続けている死海に送り込み、環境を維持すると同時に発電も行うという一石三鳥のプロジェクトを検討しています。
(中略)
・かつてのようにODA世界一を誇ることはできません。例えば中国がアフリカや中東に落とすお金と日本のODAや投資を比べると、今や比較になりません。
(部分抜粋引用終)