ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

アメリカ資金がイラン軍事費

「メムリ」(http://memri.jp/bin/articles.cgi?ID=IA128916



Inquiry and Analysis Series No 1289 Dec/18/2016

アメリカから渡された金はイランの軍事予算増加に使われた」


ニムロッド・ラファエル博士(MEMRIの主任研究員)


イランのローハニ大統領政権が、2017年度(2017年3月21日〜2018年3月20日)予算案をマジリス(議会)に提出した。ドル換算で総額997億ドルである。来年度予算は前年比13.9%増であるが、国防費は39%増の103億ドルとなる。イランのイスラム革命防衛隊(IRGC)の予算も大幅増である。


ローハニ政権と革命防衛隊の間には政治的、経済的、社会的な摩擦があるとはいえ、外交政策については、二つの機関は密接に調整しあっている。ローハニ政権は権力を掌握すると、国政の二大課題を発表した。国家経済の改革、核開発計画に関する西側との合意達成である。政権は、最高指導者直卆の革命防衛隊に関し、シリア、イラクを中心とする地域の役割に全く反対してこなかった。革命防衛隊の一部であるクードス旅団部隊(司令官カセム・ソレイマニ将軍)は、中東及びその地域を越えた世界へテロなど破壊工作の尖兵的役割を担っている


イランの国防費増


イランの国防予算は、アフマディネジャド政権時代の2013年度予算(ドル換算60億ドル)から2014年度は80億ドルに増加し、その翌年には100億ドルに近づいた。しかしながら、革命防衛隊に対する軍事予算は、軍事予算全体の増加よりも遥かに大幅に増えている。2013年度の革命防衛隊予算は、33億ドルであった。2015年度は60億ドルである。2016年度は45億ドルに減少したが、2017年度は53%増の69億ドルになる。言い換えれば、全国防予算の77%を占めるということである。ローハニ政権になって、軍事部門―革命防衛隊、バシジ民兵隊、国防軍参謀本部―への予算は80%近くも増えた。


国防予算に占める革命防衛隊予算は極めて大きいが、資金源は豊富である。エネルギー、建設、金融及び市場経営(そして禁制品の密輸)で収入がある。一連の経済活動の大半は、ハタム・アルアンビヤ(Khatam Al-Anbiya 預言者の紋章の意)という会社がおこなっている。1980年代後半革命防衛隊の経済部門として最高指導者ハメネイによってつくられた企業である。国際社会によるイラン制裁に伴なって、シェル石油(アングロ・ダッチ)、トータル(フランス)等の大手石油とガスの施設に関して、所有権が前述企業に移された※1。


アメリカから引渡された金の行方


オバマ政権は、対イラン宥和政策推進の一環として、(財務部門を通し)、ローハニ政権へ2回に分割して金を渡した。現金で合計17億ドルである。革命(1979年)前のイラン国王時代武器購入費として振込まれていたもので、 元利合計がその額になるという。


その金が届いてしまえば、どのような使い方でもできる。直接軍事費の一部になったかどうかは判らないが、軍事費にまわした部門へは、その分をアメリカからの金で補填すれば、済むことである。いずれにせよ、2017年度予算案にみられる国防予算の増加分は、アメリカが渡した金額とほぼ同じである。国防予算の増加分財源が何であるにせよ、革命防衛隊は、イスラム共和国を越えた地域で、不埒な活動を拡大するには、充分な金を持っているということである


※1 2016年12月10日付Al-Quds Al-Arabi

(転載終)

イランに関するパイプス拙訳は、こちらのリストをどうぞ(http://ja.danielpipes.org/art/cat/10)。