アメリカの保守言説に学ぶ
以下に言及されているショーン・ハニティ(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140509)やグレン・ベックのテレビ番組に、ダニエル・パイプス先生もよく出演されていた。
ショーン・ハニティ:
(http://www.danielpipes.org/445/senator-robert-torricelli-and-the-amc)(http://www.danielpipes.org/471/debating-campus-watchorg)(http://www.danielpipes.org/4261/documentary-exposes-radical-muslim-rhetoric)(http://www.danielpipes.org/4263/speaker-shouted-down-at-uc-irvine)(http://www.danielpipes.org/7627/obama-and-the-professor)(http://www.danielpipes.org/8591/nasa-final-frontier-the-muslim-world)
グレン・ベック:
(http://www.danielpipes.org/3961/do-radical-islamists-run-the-middle-east)(http://www.danielpipes.org/9650/american-taxpayers-funding-terror)(http://www.danielpipes.org/16139/assessing-the-iran-deal)
パイプス先生から訳文を依頼されて(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120330)、突然の青天の霹靂にびっくり仰天しつつ、集中して映像ビデオを見ながら、考え方や話の運び方や中東分析の特徴などを学んでいた2012年春から2013年初期が、今では懐かしい気がする。
最初は、アメリカのテレビ・ラジオ番組や各種新聞など、日本でも有名なものを除いて、何もかもがほぼ初めてで新鮮だった。リベラル派番組の方がスマートで洗練されている印象だったので、慣れるまでは、保守派番組で随分とおっかない顔をした人々と一緒に出演されているようにも感じていた。但し、主張がはっきりしていて本音に近い発言をストレートにする点、好感を持った。
また、私が訳業を開始するまでは、日本語と英語のウェブサイトでも出版物や論文でも、パイプス批判(というより感情絡みの悪口)が頻出だったので(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130927)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20131015)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20141017)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20141020)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20150821)、一人で心を痛めつつ、どのように理解したものかと考えあぐねたことも、懐かしく思い出す。
あれから早くも三、四年が経った。今年に入って他事で忙しく、少しお休みしているが、ここまで訳業が続き、今もご依頼があることに我ながら驚く。一昨年と去年は、一緒に時を過ごす機会にも恵まれた(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140508)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20150511)。
今、上記の過去ビデオ・クリッピングを見ると、初めて見た頃の新鮮な印象と実際にお会いした時のことが重なり、何とも感慨深いものである。
アメリカが凋落した面もなきにしもあらずだが、まだ充分に活力を感じる。何とか、次期大統領選で挽回を見せてほしい。
そして、我が国としてはアメリカの真の保守主義から学び、日本社会の伝統や特色と照らし合わせて、取捨選択して実践を望む。
(http://conservative.jugem.jp/?eid=563)
「電波法 - 撤廃すべき昭和の遺物」
2016.02.20
・自民党と民主党が低レベルな論争に明け暮れている。まことに、社会主義者どうしの論争ほど不毛なものはない。
・民主党が言論の自由と国民の知る権利を盾に「報道を委縮させる」などと自民党を非難するのは笑止千万。一方自民党は言い訳じみた答弁に終始。
・放送法
第4条 放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下「国内放送等」という。)の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。
一 公安及び善良な風俗を害しないこと。
二 政治的に公平であること。
三 報道は事実をまげないですること。
四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。・政治的に公平で、多くの角度からの論点を、ということであれば、ひとつの放送者はこれらを全部を同等に開陳しなければならない。これほどバカげたことはない。
・ある一定の哲学的・思考的・思想的方向性を持つ人間が世に対して言論を展開するために集まり、放送者となる。
• マルクス・レーニン主義に共鳴する人々
• 社会主義に共鳴する人々
• 中国や朝鮮を愛する人々
• ファシズム、国家社会主義に共感する人々
• LGBTの主張を掲げる人々
• 唯物・無神論者達
• 嫌韓・嫌北・嫌中・嫌露な人々
• 反共な人々
• リバタリアンな人々
• 自由主義を奉ずる人々
• 統制経済を嫌う人々
• 保守主義を奉ずる人々
• 伝統を重視する人々
• 信仰を重視する人々・これら様々な方向性を持つ人間達がそれぞれ信ずるところを発信するために放送者となる。政治的に公平で、多くの角度からの論点を明らかにせよというのであれば、ひとつの放送者がこれらを信じる全ての人々を登場させなければならない。これを実行したら単なる錯乱状態である。視聴者にとっては「一体何が言いたいのか分からない」状態である。
・アメリカにも昔似たような法律があった。それは「Fairness Doctrine(注)」である。これは左翼の統制主義者であり、民主党のフランクリン・ルーズベルトが社会主義政策であるニューディールを推進するために法制化したものである。それによって特に保守派によるニューディールへの反対意見をメディアから抹殺することに成功した。
・それまでのメディアは完全にリベラル・左翼に牛耳られていた。NBC、ABC、CBSといった3大ネットワークがその代表である。彼らはこの法律を盾に保守の言論を抑え込んだ。
・レーガンは大統領に就任すると、それまで経済を疲弊させてきた様々な規制を次々と破壊し始める。レーガンは悪しき規制であるFairness Doctrineを撤廃させ、メディアの世界は更地となった。
・いまやトーク・ラジオは保守・リバタリアンの独壇場である。
・保守の言説は深く、真実であり、面白いからであり、一方でリベラル・左翼の言説は浅く、嘘にまみれ、つまらないからである。
・市場経済の原理が働き、リベラル・左翼のラジオ番組にはスポンサーがつかずに自然に淘汰されたのである。
・話の中身が勝負である。保守主義が人々の長年の経験に基づいた知恵であり、リバタリアニズムが経済の真理に光を当てるものであるとすれば、リベラリズムは欺瞞と不道徳と専制のイデオロギーである。話の中身で負けるのは当然であろう。
・ラッシュ・リンボーがトーク・ラジオの先鞭をつけ、その後に多くの保守コメンテーターが続いた。マーク・レビン、ショーン・ハニティ、グレン・ベック、その他多数・・・
・保守主義とは何かをジョン・ロック、モンテスキュー、トクヴィル、権利章典、合衆国憲法を絡めて説明する。
・放送者が重視するのは「政治的な公平性」ではない。自らの信じるところに従って真実を伝えることである。重要なのは、個人あるいは個人の集団である放送者の言論の自由である。彼らの言論の自由を侵害しないことこそが本当の意味での公平性である。
・誰が真実を伝えているのかを判断するのは視聴者である。そして視聴者とシェアを巡る競争によって他人の話を受け売りするだけの人間や話の中身の薄い人間や嘘をつく人間は暴かれて廃れる。
・成功したコメンテーターは読書家でもある。彼らは経済学者や著述家や歴史家を呼んでインタビューする。そして彼らの本を紹介する。彼らの話を聞き、本を読み、それによって得られる知識は大学教育を軽く凌駕する。そして費用はタダである。
・将来の暗さにはため息がでるほどであるが、それは日本の報道界がいまだに放送法(日本のFairness Doctrine)に統制されているからである。旧態依然とした日本の放送法は埃をかぶったカビだらけの昭和の遺物である。
(部分抜粋引用終)
昨晩、たまたまチャンネルがBS−NHK番組になったのだが、コロンビア大学やドイツでのベトナム反戦運動の様子が映像化されていた。チェ・ゲバラに心酔する若者達の映像もあった。
日本でも全学連など学生運動があった上、アメリカでの話そのものは従来から読み聞きしてきたが、映像で見ると、改めて恐ろしいと思う。
ダニエル・パイプス先生は、母校ハーヴァード大学で、あの獰猛な反戦運動やリベラル運動のカウンター・カルチャー騒動の渦中にあって、ロシア史の教授だったお父様に従い、全く小さな少数の体制派に立った。己の信ずるところを素直に発言した途端、それまで友達だと思っていた仲間をすっかりなくしてしまったという(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130927)(http://www.danielpipes.org/11511/)(http://www.danielpipes.org/11525/)(http://www.danielpipes.org/13729/)(http://www.danielpipes.org/15251/)。そのために、かねてから願っていた大学教授のポストも、有能なのに道が閉ざされてしまったらしい(http://www.danielpipes.org/13353/)(http://www.danielpipes.org/14025/)。その苦い経験が、今に至る活発な中東イスラーム言説のインセンティブにもなっているようだ。
しかし、世代交代してもまだなお、あの当時の左翼化の流れが、自由資本主義の権化であるアメリカでさえ続いているのだから、ましてや国際政治の動向にも影響しないはずがない。
学生時代、「イデオロギー思想の分野は、就職に関わるから気をつけるように」と周囲で言われていて、だからこそ、判定がしやすく、応用が効く言語文化分野を専攻してきたのだった。もっとも今では、その言語文化にも、しっかりと左派イデオロギーが浸透していることに気づいているが、当時の文系女子学生には、とりあえず、それしか方法がなかったとも言える。
ともかく、曖昧模糊としていた部分が、この歳になってようやく明確になりつつあり、大いなる時差を伴って、ようやく自分なりに帳尻が合うようになったか、と思う。
長かったが、日本のメディアや大学の動向の責任でもある。猛省を促したい。