ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

難民を出さない政策を

アゴラ』引用の過去ブログは、こちらを(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20150829)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20150831)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20150901)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20150908)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20151014)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20151016)。
長谷川良氏の過去引用は、こちらを(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20150901)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20151016)。

アゴラ(http://agora-web.jp/archives/1658427.html


殺到する難民は「トロイアの木馬」?
長谷川 良


・欧州諸国は北アフリカ・中東諸国から殺到する難民・移民への対応で苦慮しているが、欧州に避難する難民・移民たちを「トロイアの木馬」と見なし、欧州のイスラム化に対し脅威を感じる声が出始めている。
・21世紀の欧州で「トロイアの木馬」が展開されているというのだ。多くのイスラム教徒が難民として欧州に殺到。キリスト教社会の欧州では「紛争地から逃げてきた兄弟を救え」ということで人道支援が行われているが、欧州に定着したイスラム教徒の難民・移民がある日、キリスト教社会を攻撃するというストーリーだ。
バチカン放送独語電子版が17日報じたところによると、バレンシア大司教のアントニオ・カニサレス枢機卿は15日、殺到するイスラム教徒の難民を「トロイアの木馬」の侵略と評した。それが伝わると、バレンシア市のリボ市長は、「枢機卿は難民を批判する極右派と同じだ。困窮に瀕した難民への連帯を呼びかけるフランシスコ法王の願いに反する」と指摘した。バルセロナ市のアン・クム―市長も枢機卿の発言を「民族主義的」と批判している一人だ。
・オルバン首相は先日、オーストリア日刊紙「プレッセ」らのインタビューの中で、「欧州のキリスト社会は弱さを抱えている。少子化であり、家庭は崩壊し、離婚が多い。一方、イスラム教徒は家庭を重視し、子供も多い。人口学的にみて、時間の経過と共にイスラム教徒が社会の過半数を占めることは避けられない」と述べた(「なぜハンガリーは難民を拒むか」2015年9月20日参考)。「宗派の違いは問題ではない。神の前にはすべて兄弟姉妹だ」(オーストリアカトリック教会最高指導者シェーンボルン枢機卿)というキリスト教社会はイスラム教徒の侵略に無残にも敗北していくという警告が含まれていた。
・記憶力の良い読者ならば、仏人気作家ミシェル・ウエルベック 氏の最新小説「服従」(独語訳タイトル)のストーリーを思い出すだろう。ローマ・カトリック教国のフランスで2022年、仏大統領選でイスラム系大統領が選出されるというストーリーで、大きな反響を呼んだばかりだ。
カニサレス枢機卿の「トロイアの木馬」発言は批判に晒されたが、イスラム教徒の難民・移民の殺到に直面して多くの欧州人は「トロイアの木馬」の脅威を感じ始めている。しかし、それを口に出すことは「外国人排斥」と受け取られる一方、隣人愛を説くキリスト教の精神に反するということから、久しくタブー扱いされてきた。だから、そのタブーを破った枢機卿が批判を受けるのは避けられなかったわけだ。


・編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2015年10月20日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。

(部分抜粋引用終)
以上、欧州におけるムスリム難民およびムスリム移民についての論説は、過去のパイプス拙訳をどうぞ(http://www.danielpipes.org/10989/)(http://www.danielpipes.org/11549/)(http://www.danielpipes.org/11651/)(http://www.danielpipes.org/12171/)(http://www.danielpipes.org/12578/)(http://www.danielpipes.org/12620/)(http://www.danielpipes.org/12682/)(http://www.danielpipes.org/13005/)(http://www.danielpipes.org/13393/)(http://www.danielpipes.org/13558/)(http://www.danielpipes.org/14077/)(http://www.danielpipes.org/14256/)(http://www.danielpipes.org/14440/)(http://www.danielpipes.org/14703/)(http://www.danielpipes.org/15273/)(http://www.danielpipes.org/15465/)(http://www.danielpipes.org/16086/)。
今になってみると、最短距離を真っ直ぐ走り、随分前から、いわば「知的汚れ役」を自ら引き受けて論陣を張っていたのがパイプス先生、と言えそうだ。
難民問題については、自国に何人引き受けたかと「人道大国」レベルを数値で競い合うのではなく、難民を出さない政治と政策を考えていくことの方が現実的だと思う。その意味で、日本は従来、限定的ではあれ、賢明ではあった。引き受けるのではなく、自分達が出て行って、医療行為やエンパワーメント教育に従事してきたのだった。