ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

歴史の教訓

【「歴史の教訓」:渡部昇一 号】


 専業主婦を尊敬し、子育ては最重要な社会活動であるという空気を醸成しよう。日本再生の鍵はそこにある。


           渡部昇一 「致知」 1月号より


・<政府はいま「女性が輝く日本へ」というビジョンを打ち出している。だが、その大本にはクオータ制導入という危険思想が潜んでいる
・米国は厳格な三権分立の国で議会が強いの(ママ)発見。米議会で何が議論されているかを丹念に調べることで外交予測が当たるように成った。
・長期的視野に立ってみると、400年間アングロサクソンと組んで損をした国はないことを知った。日米安保条約見直し時、日英同盟を破棄した日本の末路をあげ危険性を警告日英同盟を破棄したハト派幣原喜重郎を評価しなかった。
渡部昇一氏はサッチャーさんが登場する前の英国に留学。中西輝政氏はサッチャーさんが登場する頃に留学。

(部分引用終)

学生の頃、渡部昇一氏は保守反動の旗手で、よろしくない言論を展開する、という噂が周囲には広がっていた。でも、歳は取るもので、今のような時代になってみると、確かに仰せの通り、と肯んずることができる。
1.クォータ制の導入の危険性、ないしは問題点については、マレーシアの民族問題で嫌になるほど繰り返し議論されたので、よくわかる。要するに、制度として導入すること自体、社会工学的な操作なのであって、自然な成り行きに反する。それに、制度に乗じて機会を得た女性達が、自分の実力でこの地位を勝ち得たと勘違いして堂々と振る舞い、「ワーク・ライフ・バランス」などを主張し始めたら、それこそ破壊的なことになってしまう(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120522)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130830)。
2.米国議会の強さについては、ダニエル・パイプス訳業に没頭してきたここ三年弱ほど、毎日のように痛感する。ウェブの表面に出ているのは単なる拙訳に過ぎないが、各コラムが形となる前後の水面下での情報の流れや分析の繰り返し、世論への働きかけなど、どこでどのようにつながっているのか、刻々とアメリカから送られてくるメールを見れば一目瞭然。アメリカなので単純明快な話が多いが、それでもよく眺めていると、だいたい外交情勢が読めるようになる。
3.公聴会での証言は、30代の頃から数限りなくされてきたダニエル・パイプス先生。尋問の様子もビデオで拝見したが、1990年代初期のものは、かなり厳しい。当時の日本の状況を振り返ると、まだバブル全盛に浮かれていたが、これでは雲泥の差だと驚愕したことも思い出す。
4.サッチャー氏については(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120325)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120326)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20121106)、これまたダニエル・パイプス先生が一緒に並んで写っているお写真を拝見したことがある(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140808)。身長差がかなりあるが、そんなことは意にも介しないパイプス先生。つまり、アメリカ人とは言っても、思考の中身は西欧風なのだ。そこがわからずに、アメリカのネオコンシオニストなどと揶揄していた日には、恐ろしい結末が待っている。
5.英語での情報収集は毎日のこと。そうすると、日本語での情報がかったるくなってしまうし、どの論客が知名度に任せて、いい加減なことを偉そうに言ったり書いたりしているかも、わかってくる。そして、以前ならば「自分の専門外だから」と一歩引いていた話題についても、能動的に理解しようという気になってくる。つまり、精神や知力にかかる負荷が軽減されるということだ。
6.この末尾の経験は貴重。若い頃の方が何でも柔軟に吸収して、記憶力もその人なりにピークなので、一番負担が少ないかと思っていたが、実際に人生を生きてみると、まるで反対。歳を取れば取るほど、視野も話題も広がり深まるので、新たな発想やトピックを出されても、怖じ気づくことが減ってくることに気づく。若い頃は「知りません」で済むが、この歳になるとさすがに、歳相応に知っておくべきことを知らないままでいるのは恥ずかしい。しかし、恐れは禁物。実は対処法も備わってくるので、安心感が増す。だが、付け焼き刃こそは禁物。一発で見抜かれてしまう。私が見抜かれたのではなく、人を見ていて、すぐにわかるようになったからだ。