ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

無知な大国意識は迷惑だ

http://agora-web.jp/nyt.pdf)を読んでいて、目に留まった一文。

戦争体験については誇大に「懺悔」することで注目を引き、本や講演で稼ごうとする「詐話師」がいるのだ。

ははぁ、なるほど。そういうこともありますね。しかし、古今東西の世の倣いとして、男が女子どもを守るのは当然だし、国が国民を守るのも当たり前。あの、日本ではとうに解決済みで、今や古びたレコードを何度もかけているかような従軍慰安婦問題にしても、韓国紳士が「うちの大切な女によくも手を出したな!」と日本側を叱責するならともかく、なぜかオモニ、ハルモニが出てきて泣き叫び哀れみを請うているように見えるのですが。どういう構造なのか、よくわかりません。
再び、アメリカに4年間暮らしていた主人との会話の断片。
アメリカ人って、少なくとも表面的には誰でもニコニコして、日本人に対しても愛想良く接するようにしているじゃないか。知性ったって、一部のエリートが凄いだけで、裕福って言っても、一部だけが凄いお金持ちなのであって、一般国民としては、日本人より貧しい層もたくさんいるんじゃないか?英語でも、そこまでパイプス訳文ができて、メールのやり取りが可能ならば心配ないよ。専門さえ持っていれば、ちゃんと相手してくれるよ」。
ユダヤ人にもいろいろいる。アメリカの僕のところで働いていた自称ユダヤ人だというエンジニアも、なんか冴えない人だったな」。
私の反論。
「でもさぁ、アメリカの怖いところって、凄い人は凄いし、こちらは凌駕する意図も力も全くないんだけど、日本を分かっていない人が、一流の大国意識を持ってこちらを裁断してくるところだってば。日本語も、自分が少し勉強すれば、どうして日本人の英語が下手なのか、言語の距離感から経験的にわかってくるはずなのに、日本人の行動様式だって少なくとも頭では理解できるようになってくるはずなのに、それをしていない人達が‘アメリカは大国だ’って日本を都合良く利用しようとしてくるところ。これが一番怖い」。
「欧州は、小さな狭い土地にたくさんの民族がひしめき合って暮らし、何度も戦争を繰り返してきたし、アジアやアフリカを支配してきたから、少なくとも他国人の扱い方や礼儀作法はわきまえている。でも、アメリカ人って、結局は迫害移民だったりするのに、自分があたかも天下を取ったかのような態度を取る人もいるじゃない?日系アメリカ人のことだって、どれほど苦労してアメリカに尽くしたか。別に、日本から迫害されて渡った人々とも限らないのに」。
「それにさぁ、メディアが勝手に騒いでいるだけで、一般国民は冷静に観察して対応しているのに、英語メディアだけを読んで『あ、また反米感情を日本が出してきた』とか勘違いして脅してくるじゃない?あれ、やめてほしいよね?」
日曜日の午後、我が家で「ガチャガチャ番組」と呼んでいる「たかじんのそこまで言って委員会」とかいう関西だけで放映している番組を、主人が見ている。私はめったに見ないが、安倍総理橋下徹氏、田嶋陽子氏、金美玲氏、櫻井よしこ氏などが出演されているという。
そこで思い出したのだが、櫻井よしこ氏が昔、ジャーナリストとして独立しようとした頃、元上司だった『クリスチャン・サイエンス・モニター』紙の東京支部の女性がこう言ったそうだ。
「あなたは商人の娘であり、武士の娘ではないから」
だから駄目だ、というニュアンスだったらしい。(櫻井よしこ『何があっても大丈夫』新潮社 2005年 p.274)
しかし、今の櫻井さんのご活躍は、目を見張るばかり。もちろん賛否両論あり、私も最近までご著書を読むことさえなかったぐらいだが(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20131024)、一人の女性の生き方として非常に参考になるし、こちらの知らなかった日本史やアジア情勢も、本や映像を通して教えてくださっている、大切な論客だ(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20131025)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20131027)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20131105)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20131113)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20131121)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20131125)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20131211)。何より、苦労続きだったらしいお母様が素晴らしい。いつでも何かあると「よしこちゃん、大丈夫よ」と励ましてくださったそうだ。いくら日本文化に理解があると主張してみても、「商人の娘」(ベトナムでは貿易商で、ハワイではレストランを経営していたお父様の娘という意味)だから、文筆活動は無理だ、と言った元アメリカ女性の上司は、まるで日本社会を読み誤っていたということではないだろうか。
しかし、櫻井さんはその上司を責めるどころか、感謝している。そして、テレビのニュースキャスターのお仕事が成功した際にも、感謝している櫻井さん。
私は、これが日本人の日本人らしさだと思えて仕方がない。
そして、あのガチャガチャ番組で、日本社会の各層の代表(?)みたいな役割を担って登場して一生懸命しゃべっている人達の構図だって、源流は、実は万葉集の編集方式にまで遡るのだ。雄略天皇が第一首(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20070726)。その後の巻には、防人の歌、農民の歌、単身赴任の夫を案じる妻の歌、東歌、狩人の歌など、さまざまな社会階層、職業、地方の人々に歌い継がれた和歌が、二十巻本にまとめられたのだ。これこそ日本のあり方。しかも現代ではない。八世紀のことなのだ。
だから、西洋が優位にあるという見方は、一時的なものでしかない。例えば、だからこそマルクス主義は根本から誤っているばかりか、日本の本流に根付かないのだ。群雄割拠の中華思想も我が方には合わない。日本の全方位外交は理解不足に由来するものではなく、それこそが日本古来のあり方だからなのだ。