ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

チュニジアのその後...

昨年の4月末頃だったか、某私立大学でチュニジア出身の男性教員によるミニ講演会が開かれました。主催者からのご紹介があったので、参加して質問もさせていただきました。私の質問は、「どうしてチュニジアで“アラブの春”が起こったのか、その経過はどうなのかは、よくわかりましたが、私達がわからないのは、なぜ、この時期なのかということです」でした。講演者の方は、「その質問に対しては、2ヶ月前に尋ねられても、この後に聞かれても、わからない。たまたま青年自殺事件があったことがきっかけ。現地に行けば、誰でも不満を持っていることはわかる」との由。続けて派生的な質問がしたかった私を遮るかのように、滔々とにぎやかに話し続けていたので、あきらめました。(いかにもアラブ人だ)と思いながら....。

が、お話を聴いていて当時から感じていたのは、「これからはもう後戻りすることはない。急進的なイスラミストが出てくることはないと思う」という講師の発言に対する疑念のようなものでした。アラブでは、民族主義社会主義がうまく機能しなくなると、イスラームしか大義名分がないのではないでしょうか、と密かに素人ながら思っていたのです。どうも、イスラエル側の報道分析では、以下のようになりそうです。これも、「陰謀」「プロパガンダ」と決めつけてしまえば、それまでなのでしょうが。

メムリ」(http://memri.jp/bin/articles.cgi?ID=IA65611
調査および分析シリーズ
Inquiry and Analysis Series No 656 Feb/3/2011

中東危機


チュニジアにおける混乱をイスラム国家建設の機会とみるジハーディストたち

R.グリーン(MEMRIの研究員)


序文


ジハーディストやイスラミスト過激派は、政権を激震したチュニジアでの劇的な出来事を熱心に追っている。彼らは情勢の展開を自分たちの運動を広める機会ととらえ、他のアラブ人たちが政治統治者たちに大衆戦線をしかけるようしきりに駆り立て、チュニジアをジハードの前線にしようとしている。著名なジハーディスト指導者や聖職者たちが、チュニジア人たちへは反政府戦を続けるよう、また他のアラブ人にはチュニジア人と同じような行動をとるよう励ます声明を発表している。ジハーディストたちの目には、チュニジアにおける情勢はイスラム国家建設の機が熟したことをあらわしていると見える。彼らは次の政権はイスラミスト的国家であるべきで、チュニジア人は単に政治指導者を交代させただけで満足してはならない、と強調している。


ベン・アリ(Ben Ali)追放がサラフィ・ジハーディストにもたらすプロパガンダ上の問題


ジハーディストの学者や執筆家たちのフォーラムは、チュニジア人の成功に便乗し、チュニジアにおける反乱はジハードであるとし、さらにこの運動が盛り上がり、あらゆる手段をもって他のアラブやイスラム国家にこの動きが広まるよう励ましている。しかしチュニジアでの反乱の背景にあるのは経済的な事情であり、イスラム的な要因とは関係がない。またベン・アリ大統領は市民の反発を買って追放された。この事実は、サラフィ・ジハーディストたちが、ここ数十年にわたりイスラム的観点からみてアラブ政権が不当なものであることを彼らに反対する主な原因としてきたため、プロパガンダ上の問題をもたらすことになる。サラフィ・ジハーディストたちは、アラブの統治者たちは専制君主(taghut またはpl.tawaghit)であり、ムスリムは彼らに対しジハードを戦わねばならず、それは彼らから観れば全てのムスリムの義務であるばかりでなくムスリムを開放する理想的な道でもある、という観点を熱心に広めてきた。さらにサラフィ・ジハーディストたちは、民主主義やあらゆる組織的な政治活動に参加することを拒み、大衆が起こす運動には懐疑的である。


チュニジアでの出来事を扱うジハーディ執筆家たちは、さまざまな角度からこの問題を解決しようと論をはった。イスラムマグレブのアルカーイダ(Al-Qaeda in the Islamic Maghreb (AQIM))の指導者であるワドウド(Abd Al-Wadoud)を含めた何人かは、反乱の背景にある世俗的、経済的問題を単に無視した。他の執筆家たちはチュニジアムスリムたちに、単に自分たちの経済事情を改善することよりもより気高い目標をいだくべきとし、世俗的な利益のためではなく、アラーのために反乱を執行するようにと警告した。著名な聖職者であるタルトウシ(Abu Basir Al-Tartusi)は、この問題を避ける別の方法を見出した。チュニジアでの出来事はまさに「大衆によるイスラムインティファーダ」であるとしたのである。他の執筆家たちは、サラフィ・ジハーディ運動の支持者たちに政治、特に世俗的な団体には関わらず、非ムスリムを転向させることに集中するよう説得に励んだ。サラフィのムハンマド(Sheikh Omar Bakri Muhammad)と関係のあるウエブサイトIzharudeenは、駐ロンドン・チュニジア大使館前で「チュニジアにおいてシャリアを施行するため」デモを決起させる記者発表を掲載した。


下記は、チュニジアでの出来事に関する重要なジハーディストたちの声明の要約である。
このレポートの全文はMEMRIのJihad and Terrorism Threat Monitor会員に提供されている。

(引用終)