ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

三つ子の魂百まで

充実した10日間の感慨深いフランスの旅のお土産話は、おいおい綴っていくこととして、道中も帰国後も、私の関心事は、暇さえあれば、いや、暇がなくとも、やはり音楽...。頭の中で、いつも音楽が流れています。
行き帰りの飛行機は、生まれて初めて乗ったエール・フランス。何よりうれしかったのが、各席に設置されていた装置のマイクロフォンで、メシアンドビュッシーの曲が聴けたこと(メシアンドビュッシーについては、2007年9月25日・2008年2月16日・2008年5月20日・2009年7月1日付「ユーリの部屋」参照)。パリのノートルダム大聖堂での荘厳そして絢爛豪華な国際ミサに参列させていただけただけでも、まさに僥倖、法悦の境地だったというのに、メシアンが流れてくると、(あぁ、ああいう中から彼の音楽が生まれたんだなぁ)と、さらに感慨ひとしお。ドビュッシーも、「喜びの島」や「雨の庭」など、高校生の頃から魅了されていた(でも、どんなに練習しても満足に弾けなかった)ピアノ曲を聴くと、農業国フランスの広大かつ素朴で静かな風景、世界各地に植民地を持ったフランスの歴史と文化などが彷彿とし、またもや、わくわく興味関心をそそられます。

気がついたら、3月にはヒラリー・ハーン(参照:2009年1月13日・1月14日・2010年6月1日・6月2日・6月3日付「ユーリの部屋」)、4月にはギドン・クレーメル(参照:2008年9月26日付「ユーリの部屋」)、5月には井上道義氏(参照:2008年9月23日・2010年6月2日付「ユーリの部屋」)の指揮とボリス・ベルキン(ヴァイオリン)でショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第1番と交響曲第1番、そして6月には五嶋みどりさんのリサイタル(参照:2007年7月4日・7月31日・2008年5月25日・5月26日・5月27日・2009年11月9日付「ユーリの部屋」)....、と、毎月のように演奏会に行くことになっていました。
近頃は、チケットがかなり安くなってはいますが、もちろん、日々の暮らしでは倹約、倹約。家計簿をこまめにつけて、車は所有せず、テクテク歩いてエコバッグで買い物に出かけ、本も極力、図書館から借りて済ませています。着るものなんて、我ながら驚くべきことに、学生時代のセーターをまだ着ている、という...。スーツでさえ、ほとんど学会発表用の制服になってしまい、毎回、同じ服装で写真に写っているという始末。
とはいえ、お金というものは、使うべきところに使うもの。何と言っても一期一会。好きなことには、ケチってはならないとも思っています。
今朝方、ふと思い出したことですが、私、ほんの小さな赤ちゃんの頃から、音楽が好きだったようなのです。
まだ妹が生まれていなかった頃のこと。1歳半かそれぐらいの時に、高熱が出て、母が寝かせようとしてもむずかり、「ピアノのおとをきくと、きもちがいい」なんて言って、ちょこんとアップライトのピアノの前に座って、ふにゃふにゃの小さな手を広げて、ご機嫌に遊んでいたらしいのです。40度の熱でした。ハラハラしながら見ていた母も、「そんなに言い張るなら」とあきらめたようですが、さすがにそのうち、42度まで上がったところでぐったりとし、「もう、おふとんにいく」と、やっとピアノの椅子から降りたのだそうです。
ひきつけを起こしてもおかしくはない状態なのに、よほど鈍感だったのか、それほどピアノの音に惹かれていたのか、自分でも呆れてしまうエピソードです。成長期に何度か聞かされて、いつの間にか封印していた思い出ですが、古いアルバムを見ると、手作りのレース付ワンピースを着たちっちゃな私が、楽譜を広げたピアノの丸椅子に座って、満面笑顔でこっちを見ている白黒写真が貼ってあるので、「三つ子の魂百まで」とはよく言ったものだと、おかしくなってきます(参照:2010年1月1日付「ユーリの部屋」)。