ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

インターネットの利便性と弊害

2010年8月26日付「ユーリの部屋」でご紹介したカナダの人類学者にも、今回の学会発表の事後報告として、配布したレジュメ資料のうち、パワーポイントのみ、お送りしました。
発表は日本語だったので、当然のことながら、パワーポイントも大部分が日本語。でも、写真入りなら話の流れがわかるようで、またもやすぐにお返事が来ました。(仕事のデキる人ほど、返事が早い!もっとも、やりとりの内容にもよりますが。)
とりあえず、「とてもおもしろかった」。(←これは、万国共通の、礼儀としてのご挨拶です。)
実は、いずれは出版予定である彼女の草稿原稿に掲載されていた1824年のエッチングが、ウィキペディアにも出ていたために、ウィキペディアの方をパワーポイントで使わせていただきました。すると、「実はあのエッチング、私が数年前に購入したものなのよ。でも、他の人にも使えるようにしたら、ウィキペディアに誰かが載せたってわけ」と。
こういう経緯だからこそ、インターネットはオリジナリティの証明という点で、困るんですよね。もっとも、私自身、彼女のお名前を謝辞に書きましたし、その旨、お伝えしました。たとえ、写真をウィキペディアから借用引用するとしても、あくまでそれは視覚映像として、理解の一助にするためであって、本筋においては、文献を相当数、読みこなしていないと、人前で25分も発表なんてできないわけですから。(今回、たったあれだけの話をするのに、4月頃から44冊もの文献を読み、全部で7ページもの参考文献一覧表になってしまったので、配布資料としては、勝手ながら省略しました。)
本来ならば、パワーポイントで使用するものは、すべて自分で現地に飛んで写真を撮るべきなのでしょうが、そうも言っていられない事情がありました。また、数年前、中国で宣教活動していた宣教師の系図やお墓を探し回っていた日本の研究者が、帰国してパソコンを立ち上げた途端、インターネットにお墓の写真が載っているのを見つけて、思わず力が抜けた、というような話をメールで送ってくださったこともあります(参照:2008年10月17日付「ユーリの部屋」)。
20年以上前なら、マレーシア政府発行の統計資料を一つ学会発表に使っただけで、「おぉ!」という感嘆と賞賛のどよめきが起こったものだと、ある農学者から聞きました。現地に赴くだけでも、業績扱いされた時代のことです。とするならば、私だって、出発点は似たようなものです。
羽田からクアラルンプールまで、超格安の5千円で飛べる空路ができたという報道を、昨晩聞きました。簡単に行き来できることが、単なる情報通ではなく、理解の深化につながればよいのですが。