ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

「にんじん」

フランス映画「にんじん」を見てきました(参照:2010年2月3日付「ユーリの部屋」)。約30名ほどの中高年者が、静かに集まって鑑賞する中に、私も混じり込んで、です。
約90分間で、予告通り、爽やかに明るくまとまっていました。日本映画のような陰鬱さやどぎつさがない点、やはりカトリック圏という影響もあるのでしょうか。舞台設定は1956年で、のびやかな風景が楽しそうでした。
この映画から得られた教訓は、「結局は、どんな境遇にあっても、自分の力で、楽しくしたたかに、たくましく生きていくこと」です。親と別れて寄宿舎に入ると自分で決め、お父さんの車に乗せて行ってもらうところで映画は終わっていますが、「にんじん君、がんばってね。君ならできるよ」と声をかけたくなるような、しっかりした鋭敏さを兼ね備えていた主人公でした。
そこで早速、岩波文庫版の岸田国士(訳)『にんじん』(赤553−1)(1950年/1993年 第64刷)を借りてきました。こちらの方が、リアリズムに徹しているような、深みのある物語に仕上がっています。
それにしても、小学校の時に、こんな本を私は平気で読んでいたんだなあ、と思うと、昨今の本がいかにレベルダウンしたかがわかります。だから、この頃はイライラして腹立たしいのです。「誰にでもわかりやすく」なんて、向上心をそぐようなレベルダウンをどうして求めてくるんだろう、恥ずかしくないのだろうか。