ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

記録に残して整理保存すること

とにかく、ここまでたどり着いた。みじんの安堵感もない。早急に勉強してみたい題材が、まだまだ山積している。過去約一五年間の読書体験に基づいてなったのが本書である。読みながら作成してきたカードや走り書きのメモ類のうち、四千枚弱を今回ひっくり返したことになる。」
清水憲男ドン・キホーテの世紀―スペイン黄金時代を読むー岩波書店1990年)「あとがき」p.325)

清水先生のラジオ・スペイン語講座は、番組もさることながら、テキストに掲載されていた読み物も、実に硬派でしかも楽しいものでした。私が今でもスペイン語を何とか続けているのは、最初に清水先生ご担当の放送に出会ったからです。スペインといえば、フラメンコやギターが前面に出ていた時代、しかも、ドイツやフランスや英国と比べて、「いい加減でのんびりしたシエスタの国」というイメージが少なくとも私にとっては強かったスペインに関して、遊びで楽しく、ではなく、本格的に文化の真髄に迫るような勉強の仕方こそが楽しいのだ、ということを教えてくださったのが清水先生です。
こうして、今もご著書にようやく目を通す機会が与えられて、よかったと思います。それにしても、今ならパソコンですが、この時代には手作業でしたから、カードに読書メモをつけて箱に整理して並べ、執筆の際にはそれを何度も繰りながら文章を練り上げる、という、根気勝負のようなところがありました。なんだか、懐かしいような...。

上記書に学びつつ励まされながら、今日も、シンガポールやマレーシアに古くから続いているある興味深い文化について、ニューズレターなどを調べています。日本から見れば、観光者向けの展示のように思われかねない文化ですが、やはりそこは、清水先生の謦咳に接するつもりで、もう少し詰めていきたいと願っています。
それにしても、会合を結成して、何でもきちんと記録に残していくことをしているかどうかは、極めて重要だと思いました。日本は、中国文化の影響で、古来からそういう記録を残している方だとは思いますが、例えば、マレーシアに関しては、必ずしも記録の形で現存していないものが多かったり、散逸したりしていたりするので、ちょっとしたことを確認しようにも、膨大な時間とエネルギーを要するものが少なくありません。そこに外部から分け入って、何とか小さい範囲でもきちんとした整理をつけることも、重要な仕事かと思います。当該ニュースレターを読みながら、何だかうらやましかったり、民族のエネルギー差を考えさせられたりしました。

ところで、今日はエイプリール・フールの日です。もう一つ、ミラン・クンデラの誕生日でもあります。