ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

もうそろそろ秋の香りが...

先程、今月一週間、日本滞在したシンガポール人の友人からメールと写真が届きました。ちょうど一週間前の8月13日付「ユーリの部屋」で、友人に関して幾分辛辣なコメントを書いてしまったので、もしかしたら立腹しているかなあ、でも、お互いにコミュニケーション・ギャップもあったしなあ、などと内心反省ものでした。ところが...。
やはり友達というものは友達なのですね。文化の違いも働いてか、ある面大らかというのか、彼女なりに今回の滞在をとても楽しみ、「学会では新しい発見があったし、私達の友情はユニークだ」などと喜んでいたのです。当日は学会直後で疲れもあり、少しはイライラすることもあったでしょうが、時間がたつと、これまたすべてが懐かしくよく見えてくるのでしょう。
彼女のメンツのために申し添えますと、「20年間、日本語を使っていなかったけれど、滞在中に少しずつ語彙を思い出した」とのことで、それなりにブロークン日本語を楽しみながら乗り切ったそうです。また、私の写真を見たお母様が、同い年でも、彼女より私の方が若々しく幸せそうに見える、とおっしゃったとか。まあ、こちらは楽させてもらっていますので.....。なんてったって、赤道直下の小さな国の学校で教えている彼女は二児の母親。それに、美術科長なのだそうです。
ホームページを調べてみたところ、クラブ指導では、彼女がなんとバイオリンを担当していると知りました。また、昨年あたり、英国のケンブリッジで開催された教育関係の学会に出席した模様です。どうやら、この会合には、日本からの参加者は皆無で、いわゆる旧英国植民地国家の関係者が中心のようです。それでも、そこまで出かけていって発表するなんて、経験上、絶対にプラスです。
来年には、別の学校へ転勤となり、そこで新しいプロジェクトに関わるらしいです。ご昇進、ですね。九州の学校と交流プログラムがあるそうで、また近いうちに日本に行けるかもしれない、と期待していました。
私の見るところ、シンガポールの方が開かれていて先進的な面があり、積極的だと思います。もちろん、今回の国際美術教育学会には、日本からも意欲的な先生方や研究者の方が多く参加されたようで、ブログを読ませていただいても、(そうか、私もおじけずがんばらなければ...)などと、分野は異なれども非常に刺激がありました。

昨日は、近所の図書館から、三冊借りてきてしまいました。
松谷みよ子自伝・じょうちゃん朝日新聞社2007年
ジョン・ダワー(著)三浦洋一・高杉忠明・田代泰子(訳)『敗北を抱きしめて)()』岩波書店2001年) 
松谷みよ子さんの元ご主人について、この本からある程度うかがえるものがありました。展示会から推察した私なりの憶測も、それほど外れてはいなかったように思います。瀬川氏とは、同業者としてなら刺激があったのでしょうが、この組み合わせで結婚生活となれば破滅的だろうなあ、ということは、失礼ながら私も感じました。やっぱり松谷みよ子氏は、育ちも気質も「お嬢さま」なのであって、アナーキズム風の風来坊的な瀬川氏とは生活そのものが合わないんでしょう。

「ぼくは、彼女はいつもぼくの後ろを歩いていると思っていた。ところが気がついてみれば彼女はぼくの前を歩いてるんだ」(p.236)
「これは、ほんとうの離婚じゃないか」夫はそういうなり泣いた。(pp.247-248)

「モモちゃんシリーズ」を無邪気に読んでいた子ども時代の自分を思えば、それほど深刻な事情があったなんて、信じられない気がします。もっとあったかマイホーム風の物語だとばかりうらやましく思っていましたから。しかし、それこそが松谷氏の力量なのでしょう。
ジョン・ダワー氏の作品については、ようやく読む機会ができた、という感じです。もちろん、数年前に新聞紙上でもかなり話題になっていたことは知っていたものの、当時は読めなかったのです。日本側からは出てきにくい一見解がストレートに書かれていて、ショックでもありますが、深く考えさせられます。