ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

アカデミック・ハラスメント?

「ユーリさんは、本当は大学で教えていないで、もっとお勉強すべき時なのに、どうしてこの大学で非常勤することになったの?」
10年以上も前の話です。ある国立大学で、着任早々の数歳年上の女性助教授(当時)から言われた言葉です。実は、私が非常勤講師を名乗り出たのではなく、自宅にいたら母校のA教授から電話がかかってきて、「○○大学で、非常勤を探しているんだけれど、ユーリさん、ちょっとやってくれないかね?」という話になったのです。教授の持ち込んだ話ですから、こちらも特に断ることもありません。若い頃は何事も経験、とすぐに承諾し、送られてきた書類も整えたのですが、その書類を見た○○大学の先生の方が、「ユーリさんはここで働かないで、おうちでお勉強していなさい」と言ってきたのです。
当然、困った私はA教授に申し出ました。「A先生からのお話だったのでお受けしたんですが、先方でそんなこと言われてまで、仕事をする気にはなれません。そこまで私、生活に困っていませんし…」と訴えると、A教授は、「誰がそんな失礼なこと言ったの?僕の方から注意しておくから。僕が選んで決めたことを、どうして先方が断ってくるのかね。そういう話は、僕に直接言うならともかく、雇われたユーリさんに言うなんて、それは筋がおかしい」と、即座に研究室の電話を取り上げようとしました。‘チクル’という表現が咄嗟に思い浮かんだ私は、「あ、別にいいんです」と阻止しようとしたのですが、狭い社会のことですから、すぐに教授にはわかってしまいます。(‘被害者’は私なので、別に‘チクった’ことにはならないのですが。)

その後、所用で○○大学のその先生に会ったところ、態度が一変していて、大変優しく丁重だったのには、またまたびっくりしました。一体、何なんだろう?

もう一点、その同じ先生からの電話で、注意事として聞かされたのは、「うちの主人が会社で人事担当なんですけれど、どの新聞読んでいるかで、採用を見合わせることもあるんですよ。ユーリさんも、その点気をつけなければね」というもので、若かった(?)私は、ますます混乱してしまいました。

何をどのように気をつけろって言うんでしょうか?履歴書には、購読新聞の欄もありませんでした。それ以上に、大学という場は、思想や言論の自由が確保される最前線なのに、何をおっしゃっているのか???

ちなみに、私の父も都市銀行の管理職で、人事や入社の採用試験を担当していた時期がありました。少なくとも当時の銀行は、本人のみならず、家族背景まで全部調べられていたそうです。(今なら「人権侵害」や「プライバシー侵害」でしょうけれど…。)それはともかく、もし私の読んでいる新聞(と言っても、名古屋の地方新聞と日本経済新聞)を仮に書いたとして、本当にそのことだけで落としてくるようなら、それは私ではなく、相手側に問題があるのでは、ということになります。

今の私は、恐らく歳をとったのでしょう。そういう筋の通らないことを言う大学関係者には、地位もへったくれもなく、堂々としかるべき所に話を持っていく気持ちだけはあります。ですが、当時は本当に狭い世界に住んでいたんですね。「あの先生は論文数が多いから」「あの先生は初の博士号対象者かもしれない」などと聞いたことを理由に、(あの先生に異議申し立てするなら、まずは論文書きに専念せねば)などと思い込んでいたのです。不当な扱いを受けているのに、なんと殊勝な…。

主人に言わせれば、「そんなつまらんことを、よくいつまでも覚えているなぁ。僕なら、最初からそんな人、相手にせんわなぁ。だいたい、論文をいっくら書いて博士号持っていたって、そんな非常識な人の言うこと、どうして真に受けるかなぁ。会社組織なら、そんなこと、絶対、通らないよ。第一、そんな人は他社との会合や外国出張なんかに出せないでしょ?」とのことです。

本当に、本当に、私は大馬鹿でした。でも、これを書くまで、心の底にたまっていたことだったので、これでスッキリしました!自分の人生、無責任な周囲の言動に惑わされずに、自分で責任を持っていかなければ、ですね!同時に、周りの人に対しても、無責任な発言をしないように心掛けること、です。

こういう話をいつまでも覚えている癖は、多分、語学学習で繰り返し補強の習慣がついていることと、過去に練習したり聴いたりしたクラシック音楽の曲を何度も繰り返すという傾向が元になっているのだろうと思います。決して、恨み手帳を見ながらこれを書いているのではありません。くれぐれもお間違えなきよう!