ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

向かう方向が逆

https://yoshiko-sakurai.jp/2017/10/19/7082


2017.10.19
「米国の日本核武装論の正体」
週刊新潮』 2017年10月19日号
日本ルネッサンス 第774回


アメリカのテレビネットワークNBCは10月4日午前、国務長官のレックス・ティラーソン氏がドナルド・トランプ大統領を「moron」と評し、辞任も考えていたと報じた。moronはidiot同様、バカ者、或いは知能の低い者の意味だ。


アメリカのメディアは一斉に、ティラーソン氏がトランプ氏との政策上の対立ゆえに辞任する、或いは解任されるとの推測記事を報じた。


・「ワシントン・ポスト」紙は5日、政権関係者19人への取材をまとめて報じたが、全員匿名で登場した19人は、国務長官は遅かれ早かれ辞任に追い込まれるという点で意見が一致していた。


・トランプ、ティラーソン両氏がイラン核合意、ペルシャ湾岸諸国の覇権争い、パリ協定など重要問題で対立しているのは明らかだ。日本も深刻な被害を避けられない北朝鮮問題で両氏の考え方は正反対だ。


・9月30日、ティラーソン氏は訪問先の北京で「アメリカは北朝鮮政府と直接接触(direct contact)している」「アメリカには2〜3のルートがある」として、北朝鮮との話し合い路線を強調した。


・上院外交委員長で共和党の重鎮の1人、ボブ・コーカー氏はティラーソン氏を高く評価し、国防長官のジェームズ・マティス氏、ホワイトハウスの首席補佐官ジョン・ケリー氏と彼の三氏のお陰でアメリカは混乱に陥らずにすんでいると語った(「ウォール・ストリート・ジャーナル」(WSJ)10月5日)。


・約ひと月前の9月5日、ハドソン研究所研究員でバード大学教授のウォルター・ラッセル・ミード氏がWSJに、日本の核武装についてトランプ政権の考え方が二分されているとの論説を寄稿した。第一の勢力は日本の核武装アメリカの国益だと考えるトランプ氏自身で、日本が核武装すれば韓国も台湾も日本に倣い、アメリカの軍事費は削減され、中国に対してより強固な抑止力を構築できるという考え方だ。


トランプ大統領にも強い影響を与えている「アメリカ第一主義」の元祖、パット・ブキャナン氏は、アメリカが考えるべきことを以下のように書いている。GDPで日本は北朝鮮の100倍、韓国は40倍。北朝鮮はGDPの25%を軍事費に回し、韓国は2.6%、日本は1%だ。日韓両国は対米貿易で巨額の利益を得ながら、アメリカに、隣の小国、北朝鮮の脅威から守ってくれと言う。眼前の北朝鮮危機が一段落するとき、日韓両国はアメリカ同様、国防の努力をせよ。自力で核抑止力を持て。そうすることで中国のアジアを席巻する勢いも止まる、という主張だ。


・ミード氏のいう第二の勢力は、日本のみならず、韓国、台湾の核武装にも反対する人々だ。アメリカが核の傘を担保し、現状維持で核拡散を防げという意見だ。ティラーソン、マティス、ケリー三氏らがこの第二勢力に当たる。


北朝鮮には話し合いではなく強硬な軍事戦略が選択され、日本には核保有のオプションを含む国防力の顕著な強化が要求されると考えてよいだろう。


・日本人の究極のパシフィズム(平和主義)を見透かしたかのようなアメリカの日本核武装論は、同盟国日本への究極の軽視の表現にも思える。ミード氏も含めてアメリカの戦略研究家の多くは、日本の核武装を対中カードとして使う。北朝鮮が核保有国になれば、日本は防衛のために核武装する。日本の核保有は中国への大きな脅威となる。日本をとめるために中国の影響力で北朝鮮の核・ミサイル開発をやめさせろという主張である。


・価値観を共有し、信頼関係を築いてきた同盟国日本の核武装を阻止するために、政治体制も価値観も異なり、「偉大なる中華民族の復興」を掲げる野望大国、中国と手を結ぼうというのが日本核武装に関してのアメリカの姿勢である。


・日本はアメリカの誠実な同盟国だ。これからもそうありたいと願っている。国際社会にも誠実に貢献してきた。日本は侵略戦争をしない。憲法を改正するのは、強固な軍事力を整備して日本国民を守り、世界に貢献するためだ。強い日本はアメリカの国益でもある。


・今月の総選挙は、こうした危機的問題にどう対応すべきかという国家としての根本を問う選挙だ。


・やはり安倍自民党しかないであろう。

(部分抜粋引用終)

「パット・ブキャナン氏」に関しては、過去ブログ(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140704)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20160718)を参照されたし。
上記筆者の櫻井よしこ氏に関連して、定期購読しているわけではないが、2014年2月3日に宮崎空港ビル(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140205)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140209)の売店で買った2014年3月超特大号『月刊WiLL』について、少し述べてみたい。
読了後、しばらく自宅の部屋の本棚の頂上に載ったままだったので、久しぶりにパラパラと中をめくってみた。この頃は、まだメディアの論戦術に対して、人と戦術の傾向が把握しきれず、頭がぼんやりしていたことを、懐かしく思い出した。
雑誌とはいえ、たまには読み返す行為も無駄ではない。

山際澄夫特定秘密保護法『朝日文化人』のデマと妄想」(pp.86-95)には、「デマと妄想を垂れ流した朝日文化人」として名指しされた計25人のリストがある。

大林宣彦映画作家)・落合恵子(作家)・服部公一(作曲家)・保阪正康(ノンフィクション作家)・半藤一利(昭和史研究家)・丹羽宇一郎(前中国大使)・浜矩子(同志社大学教授)・益川敏英ノーベル物理学賞受賞者)・上野千鶴子社会学者)・姜尚中政治学者)・鳥越俊太郎(ジャーナリスト)・清水信次(日本チェーンストア協会長)・志茂田景樹(作家)・内田樹神戸女学院大学名誉教授)・奈良岡朋子(俳優)・菅原文太(俳優)・真山仁(作家)・阪本順治(映画監督)・小林よしのり(漫画家)・竹田恒泰(慶応大学准教授)・岡留安則(元『噂の真相』編集長)・辛淑玉(在日三世人材育成コンサルタント)・マーティン・ファクラーニューヨーク・タイムズ東京支局長)・中島岳志北海道大学准教授)・大江健三郎ノーベル文学賞受賞作家)

この中で72%、つまり18人のお名前を存じ上げている。直接、お目にかかったことがあるのは、母校の大先輩に当たる丹羽宇一郎氏のみ(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130519)。

学校に通っていた頃、リスト中の落合恵子さんの「クレヨンハウス」について新聞の家庭欄で読み、新鮮な印象を持った。だが、今やご自身の母親の介護の話や老齢期に入ったご自分の話が多くて、何だか青春時代は遥か彼方の感。思うに、あの世代のフレッシュさは、戦前の教育を受けた戦争の生き残り世代がしっかりされていたからこそ可能になったものだったのではなかっただろうか。

「クレヨンハウス」のホームページ(http://www.crayonhouse.co.jp/shop/pages/ochiai.aspx)によれば、以下のようにある。

・1945年生まれ。執筆と並行して、東京、大阪に子どもの本の専門店クレヨンハウス、女性の本の専門店ミズ・クレヨンハウス等主宰。子ども、高齢者、女性、社会が「障がい」と呼ぶものがあるひとなど、社会構造的に「声の小さい側の声」をテーマにした作品多数。
・男社会・健常者・大人社会が中心だった創業1976年当時、少しでも楔を打てる会社になりたいと考え、企業理念としました。
・たのしく明るく広げていく。これも、クレヨンハウスが目指したことです。

(部分抜粋終)
おっしゃることは御尤もであり、視点も当時は斬新だった。だが、学生時代には、表面の現象を捉え、観察するだけで能力的にも時間的にも精一杯で、その背後にある政治思想やイデオロギーまで考えが及ばなかった。
商品を眺めて、もし欲しいと思ったら買えばよく、不要だと思えば買わないでおくことで、自分の立場を示せると思っていた。だが、落合恵子さんが、店舗を立ち上げてエッセイを書くのみならず、講演やテレビ出演まで展開されると、ある女性層をターゲットとして、一つの勢力にはなったことだろう。

昔のお写真では、自由にクリエイティブに生き生きと好きなように生きているという印象だったが、最近の落合恵子さんは、髪型もボウボウだし、何だか落胆感が否めない。

歳を取れば誰でもそうなるのか、と言えば、実はそうではない。
保守中道の考え方を持ち、時代の流れに沿って、その時々を自然に任せて、健康に留意して、無理なく規則正しく暮らしている女性達は、80代以上でも頭ははっきりしていて、足腰も丈夫で、笑みを絶やさず、肌も艷やかに、こざっぱりと身ぎれいに過ごしていらっしゃる。
ご主人をガンなどで先立たれても、その後かなり長生きされているのは、気持ちの持ちようが若い頃からしっかりされているからだろうと私は観察している。自分のことは何でも自分でするし、礼儀正しく、周囲の人間関係を穏やかに丸く治める術を心得ていらっしゃる。そして、無理をせず、ゆっくり落ち着いて生きていらっしゃるのだ。

落合恵子氏の著書を読んだことは一度もない。ウィキペディアによれば、「実父の矢野登は参院議員(自民党)。婚外子として母子家庭で育つ」とあるが、このような境遇の問題は、そもそも婚外子に責めを負わせるものであってはならない。むしろ、婚外子を出さないような大人社会をつくるべく問いかけられなければならないと、私は考える。
婚外子として生まれた人は、社会に向かって「差別だぁ〜」と叫ぶのではなく、あくまで原因をつくった親に対して、叫ぶ対象を設定しなければならない。

多分、世間に対して大胆に言挙げしたので、体と心と頭に無理がかかって、老化が早いのではないだろうか。