ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

米軍撤退に備えて

2017年8月5日付『毎日新聞』夕刊の「米高官、偽メールに返信」という記事によれば、「サイバーセキュリティーを統括するボサート大統領補佐官(国土安全保障・テロ対策担当)が外国からのいたずらメールにだまされて返信し、私用アドレスを伝えていた」と、CNNテレビが報じたようである。「実在の個人や組織を装い、情報をだまし取る『フィッシング』の手口に対し、『高官らがいかに脆弱かを示している』としている」らしい。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/40191


2014年8月27日
元米陸軍情報将校が明かす「アメリカ軍が日本から撤退する理由」
『2020年日本から米軍はいなくなる』第2回


聞き手・小峰隆生(筑波大学非常勤講師)


第一章 米軍が日本から撤退する理由


・この章では、本当に在日米軍は日本から撤退するのか? またするとしたら、何故なのか、その理由について、徹底的に検証していく。


・米国は、国民の参加する民主的な選挙で選ばれた大統領が治める民主主義の国である。国民が国に納めた貴重な税金で、米軍は武器を揃え、兵士に給料を払い、活動しているわけだ。
即ち、米軍は、莫大な国民の税金を使っている以上、米国と米国市民のために、最大限に奉仕しなければならないのだ。当然、米国の納税者たちの意見は、大きく軍に影響を与えることになる。


・日本人は、日米同盟があるのだから、日本を守るために、在日米軍はいてくれるだろう、と無条件に思いがちだ。まして日本から撤退することなど絶対に無いと思っている。が、果たして、本当にそうなのだろうか?


・撤退する最大の理由は何ですか?
最大の理由は、軍事費の節約でしょう。米国の財政は悪化していて、さらに金持ちと貧乏人の二極化は限界まで進んでいます。米国で暮らしていると分かるのですけれど、ここが、先進国かと思うくらい、アフリカの第三世界のような貧困地帯が広がっています。だから、国民の最大の関心事は経済です。


・かつて、マルクスは、資本主義は金持ちと貧乏人の二極化がどんどん進み、金持ちはさらに金持ちになり、貧乏人はもっと貧乏になり、最終的に破局すると予測しました。今、米国はその予測通りになっています。


・世界の警察官をつとめる前に、まずは国内の治安維持ですね。
莫大な金を軍備に使って、自分たちの地元の生活が貧しい。だから、イギリスがどこにあるか地図で指させないような連中でも、これはおかしいと思っています。


・米国の国防予算は、2001年は3,162億ドルだったのが、2010年は6,909億ドルと約2.2倍になっています。ちなみに米国を除いた世界各国の軍事費を総計しても4,500億ドル程度にしかなりません。


・米国で専門家筋にリサーチしてみると、適正な国防予算は4,000億ドル以下のようです。理想は、3,000億ドル。段階的に3,500億〜4,000億ドルに減らして様子を見て、可能ならば、3,000億ドルのレベルまで、国防予算を減額しなければなりません。この金の問題も、日本から撤退する理由の大きな部分を占めています。


・撤退する二つ目の理由が、スタンドオフです。敵の先制攻撃圏外にいることです。米軍は、中国から先制攻撃された時に、被害を最小限に食い止めるために日本から離れ、十分で安全なスタンドオフ距離を保つ必要性があります。


・自分も米陸軍にいた時、空からの攻撃はほとんど、想定していませんでした。ADA(Air Defense Artillery:対空戦闘)はどうしていいか、分からない。だからこそ、ヤバいのです。米軍は、空から攻撃される位置に陸上兵力および海上兵力を置くことはないのです。その結果、海兵隊は、沖縄からグアムに下がり始めました


・冷戦時代、ソ連が日本に侵攻した時、自衛隊が応戦して耐える。そこに、沖縄駐留の米海兵隊とハワイの米陸軍第25歩兵師団が来るまで、持ち堪えるのが基本戦術でした。今、それが中国軍となって、日本上空で中国空軍が制空権を持っていたら、米軍はどうしますか?
米軍は陸上兵力を絶対投入しません。


米陸軍も米海兵隊も来ない。間違いなく来ません。後回しです。というか、そもそも来る場所がありません。エアシーバトルでは、陸上兵力は下げます。だから、撤退というより、正確にはリスクの分散です。


・米軍は分散ですね。歩兵のフォーメーションも、戦闘状況によって、各人の間隔を5〜10メートルほど離します。これは、固まっているとマシンガンの掃射や1発の榴弾で一気にやられるからです。


・リスクの分散の一つです。海兵隊は、グアム、そして、オーストラリアにも分散させています。だから、他の在日米軍も、後方に下がることはありえます。


・米国にとって、パールハーバーの悪夢はまだ、残っていますか?
精神的にはあると思います。


・全艦隊が横須賀軍港に入っている時、中国軍にミサイルで奇襲されるケースは、絶対に想定しています。米軍にとって、それは、まさにThe Most Dangerous Course of Action(最悪の事態)ですね。


・その時の状況によりますが、空母がやられたら、米国は怒ります。そして、煽りたかったら、煽ります。煽れば、米国は太平洋戦争の時に対日本で燃えたのと同じようになるでしょうね。


・日本人はイージス艦をミサイル・ディフェンスのための兵器と考えますが、あれは、空母を守る兵器です。日本がイージス艦を持てば持つほど、第7艦隊が安全になります。


・空自の約200機あるF-15。あれも、三沢に米空軍のF-16が、いるからですね。F-15F-16はセットですから。


在日米軍がいなくなった時、日本が単独で防衛できる兵器システムにはなっていません。兵器体系でも、日本はまず、米国ありきになっています。


・米国の議会がストップさせました。そこでは、米国が多額の金を投入して開発したステルス戦闘機の秘密技術を、簡単に日本は中国に渡してしまう可能性があると判断された。それが、大きな理由だと思います。金がどうのこうのの話ではない。


イージス艦機密を渡した海自士官の責任は重大ですね。
はい。元米軍情報将校として私は、その海自士官は、中国にとって非常によい働きをした、と判断します。


F-35は、多国籍開発だから、米国もそんなに気にしないと思いますが、機密保持はとても重要です。F-22の後継機である第6世代戦闘機(現在開発中)が完成した時、米国が日本に売ってくれるかどうかは、機密保持の信頼性にかかっています


どの国家機密まで接していいか、秘密情報にアクセスする保安資格ですね。
米国は、軍、情報機関、捜査機関、国務省などに勤める役人や官僚、そして上院・下院議員やロッキード・マーチン社やレイセオン社などの防衛産業に勤める民間人までもが、セキュリティ・クリアランスを持っています。


・日本の国会議員は、何も持っていませんよ。
日本で、特定秘密保護法とかやっていますけど、あれは必ず失敗します。というか米国の基準と同一にはなりません。まずOPM(Office of Personnel Management)という独立したクリアランスの資格調査機関を設立し、全員一回白紙に戻してから、話が始まりますからね。


・それをやらないと、第6世代の戦闘機は米国から入らなくなる・・・。
在日米軍が撤退する未来を想定すると、日本が単独で防衛できる武器体系を持たないといけないということです。


(本文写真/柿谷哲也、UAAF、USDOD、USMC)


飯柴智亮(いいしば・ともあき)1973年、東京都生まれ。アメリカ陸軍大尉、軍事コンサルタント。16歳で渡豪、『ランボー』に憧れて米軍に入隊するため19歳で渡米。北ミシガン州立大に入学し、学内にて士官候補生コースの訓練を終了。1999年に永住権を得て米陸軍入隊。精鋭部隊として名高い第82空挺師団に所属し、2002年よりアフガニスタンにおける「不朽の自由作戦」に参加。"世界で最も危険な場所"と形容されるコナール州でタリバン掃討作戦に従事。03年、米国市民権を取得して04年に少尉に任官。06年中尉、08年大尉に昇進。S2情報担当将校として活躍。日米合同演習では連絡将校として自衛隊との折衝にあたる。09年除隊。現在、アラバマ州トロイ大学大学院で、国際問題を研究し、国際政治学Ph.D.(博士号)取得を目指す


小峯隆生(こみね・たかお)1959年、兵庫県生まれ。筑波大学非常勤講師、同大学知的コミュニティ基盤研究センター客員研究員。

(部分抜粋引用終)