ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

人生は複眼的に

当たり前なのだが、やはりよい仕事をするには、ある程度以上の潤沢な資金があった方がいいし、肩書きや社会的地位は決して無視できない。アメリカが冷戦に勝利したのは、資本主義が正しかったことの証明という、今ではカビの生えたような結論ではなく、そもそも、人間の自由と自発性が尊重される社会だったから、ということではないだろうか。そして、自由が発揮できるだけの経済的余裕があったということだろう。
ただ、旧共産圏がほぼ崩壊した今になって振り返ると、冷戦期から言われていたような、アメリカの自由と個人主義の行き過ぎもまた、いささかどうかとは思う。昔から気になっていたのだが、移民の国だからなのか、競争が激しいのはわかるとしても、メッセージが単純過ぎる嫌いがあるのだ。特にメディア出演するようになると、世間の目に曝されるために、単刀直入に言わないと、時間制限もあり、とにかく伝わらない。だからなのか、早口で、つまらないことでも一生懸命に喋るテレビ番組が横行する。
我々としては、つまるところ、よき面は取り入れて吸収したとしても、文化面では、ほどよく落ち着いて中庸に、ということだ。
ご両親がアメリ共産党だったので、自分も新左翼として活動していたが、仲間内のリンチに遭遇して転向。今では保守復興運動に力を入れて、裕福に幅広く成功しているという著述家が、アメリカにいる(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120811)。一見、とても幸せそうなのだが、確か娘さんは、お父さんの保守運動に反発して、リベラル派活動家として活躍していたらしい。無理がたたったのか、40代で癌のため亡くなった。壮絶な人生だったようだ。
思想が左派であれ右派であれ、いずれにしても、アメリカ文脈では、一筋縄ではいかない元気のいい家系なのだろうが、何だか善し悪しだという気もする。
よく聞く話だが、能力が人並み以上に秀でていて、社会的に著名で大活躍している人ほど、私生活の内実が悲惨だったり、少し表に出しにくい事情があったりするという。だから、平凡な暮らしの幸せが一番、ということになるのだが、それはともかくとして、本人以上にご家族、特にお子さんやお孫さんの身の安全と心身の健やかな成長を願わずにはいられない。
何が何でも個人情報だと蓋をしてしまい、知らない振りをしてかえって失礼なことになるよりも、ある程度は、よく事情をわきまえた上で、状況に応じた配慮が必要なのだろう。本人以上に、周囲の方が何かともっと大変だと、つくづく痛感する。