ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

保守派の日米関係論の読み比べ

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"Makers of Contemporary Islam" by John L. Esposito et al. (http://www.amazon.com/dp/0195141288/ref=cm_sw_r_tw_dp_xWFbtb018P0C7 …) arrived here today from the U.S. Try reading it how...

ところで、今日は以下の本を読み終えた。おなじみの日米関係で、いずれも長期間にわたってアメリカの要人との関わり合いのある執筆者ばかり。それぞれにニュアンスが異なる点が興味深く、参考になった。本というものは、一冊二冊で鵜呑みにするのではなく、同テーマを違う著者で読み比べてみて初めてわかってくることもあるのではないだろうか。だから、乱読風でもいろいろ目を通している次第。

http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20131215
なぜアメリカは、対日戦争を仕掛けたのか』(祥伝社新書287) 加瀬 英明(著)
http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20131221
アメリカはなぜ日本を助けるのか 体験的日米同盟考古森義久
http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20131222
なぜアメリカは日本に二発の原爆を落としたのか』 日高 義樹

加瀬氏は親ユダヤの傾向があると思うが(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20090411)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130331)、日本に対する矜恃も相当なもの。ルーズベルトhttp://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130510)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20131121)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20131127)およびトルーマン批判は初めての話ではない。ヘンリー・S・ストークス氏の場合(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20131230)、奥様が日本人だからなのか、殊更に日本に対して身贔屓されているようにも思う。蒋介石を経由してのルーズベルト陰謀説や、石油資源をアメリカに制限されての真珠湾攻撃だったという説は、以前からよくある話であり、特に珍しいものではない。また、「人種差別」からの「アジア解放」のための戦いだったというのも、私がマレーシアに赴任した1990年代初期にも書店で売られていた類いに属する。しかし、インドネシアならばそういう人はいても、マラヤとシンガポールでは華人虐殺をしたのだから、「アジア解放」とは言えない。それに、当時の東南アジアに対する日本の戦略不足は、加瀬氏のご指摘通りで、だからこそ、「あの戦争で、日本は間違っていなかった」とは到底言えないはずだと思う。
古森氏の場合は、1960年代の学生運動の左翼思想のお粗末さと、ベトナム戦争の現場を知らないで反戦平和を唱えていた「平和主義」の甘さ、そして日米同盟あっての日本の経済繁栄と安定した社会だったという一貫性があり、最も説得力に富み、新たに学ぶ点が多かった。
日高氏も、これ以外に何冊か読んでみた(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20090104)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20121021)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20121109)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20131216)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20131223)。いろいろと勉強になったが、全体として見た場合、時々論旨が重複したり、前後で筋がずれたりする点がなきにしもあらず。アメリカの国力が低下し、中国との関係で日米同盟が揺らいでいるので、憲法改正と自衛のための軍事力強化を主張したいのであろう。キッシンジャー氏と昵懇のようだが、故オリアナ・ファラチ(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130308)のインタビューや、それを紹介したダニエル・パイプス先生によると(http://www.danielpipes.org/12581/)、また別の面が見えてくる。そのように、一人の論客や一つの立場に全面依存するのではなく、保守派なら保守派でいろいろと複数読み比べてみることが大切だと思う。

私よりも十歳ぐらい年下の世代の中には、「誰の言うことも信じていないから」と目上の経験知を軽んじて自分中心に振る舞う輩がいるが(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140128)、そういう人は、基礎教養がないことと、自分で物事の判断材料の基盤を作り上げるのに失敗しているという努力不足を、まずは恥じるべきだと思う。このままでは、本当に日本社会が低下の一途を辿るばかりだ。