ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

上昇志向の日本社会の一モデル

千住真理子さん(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20070925)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20080923)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130211)の御母堂の文子さんがこの6月下旬に87歳で逝去されていたとの報に、たった今接しました。
慶応大学教授夫人として、三人の才能あふれる優秀なお子さんを育て上げ、良妻賢母の鏡のような方だったと真理子さん達自らメディアでおっしゃっているので、何とも素晴らしい日本女性だったのだろうと想像します。詳しくは存じ上げませんが、多分、私の母親の世代にとっては日本の子育て教育のモデルでもいらしたのだろう、と。
結婚直後には、神戸まで真理子さんの演奏会に行ったことがありますし、図書館でエッセイなども読んでいましたが、誠に失礼極まりなく残念なことに、まもなくすぐに他の演奏家達に夢中になってしまい、すっかりご無沙汰に。私などには、絵に描いたような見事な麗しいご家庭出身の女性ヴァイオリニストは、最初は凄いと思っても、私だって一歳過ぎにピアノを触り始めたのに(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20110222)「二歳でヴァイオリンを始めました」と繰り返されたり、私などでも持っている絶対音感を(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20090116)殊更に強調されたり、私でも作る野菜ジュースの健康法などをテレビで披露されると、そもそも感覚的に距離があり過ぎて肌に合わなかったということなのだろう、と。国産の真理子さんは、あくまで一般向けに裾野を広げるためのヴァイオリン導入であって、それよりも、もっと個性豊かでなりふり構わず没頭するような演奏家の方が、インタビューもおもしろくて演奏も魅力的だということに、途中で気づきました。
つまり、全体にご実家がご立派過ぎて整い過ぎていて、あまりにも優等生だということです。恵まれていても「普通の一般家庭の出身です」と謙虚に言っている日本人演奏家(例えば、諏訪内晶子さん(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20070908)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20080410)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120422)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120423)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/archive?word=%BF%DB%CB%AC%C6%E2%BE%BD%BB%D2)、庄司紗矢香さん(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20080305)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20090117)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20090123)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20090126)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20090701)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20100623)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20101106)http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20110220)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20111018)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120625)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20121105)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20121109)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20121231)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130626)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/archive?word=%BE%B1%BB%CA%BC%D3%CC%F0%B9%E1&of=50)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/archive?word=%BE%B1%BB%CA%BC%D3%CC%F0%B9%E1&of=0)、神尾真由子さん(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20070731)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20071012)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20080104)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20080526))(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20090209)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20090717)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/archive?word=%BF%C0%C8%F8%BF%BF%CD%B3%BB%D2)など)が、音楽財団から貸与されたストラディヴァリウスやグァルネリ・デル・ジュズを世界中で奏でているのに対して、千住家の場合、「運命の出会いとしてやって来たストラディヴァリウスを、我が家は数億円で購入しました」と、同じようなインタビューやエッセイをあちこちの雑誌で宣伝。これだけで、もう私はご遠慮願いますって感じ。
一般庶民のひがみということではなく、ストラディヴァリウスならば、他の名前のついているストラディヴァリウスと、どこがどのように音色が違うのか、演奏上のコツはどこにあるのか、もっと具体的に説明していただきたかったですし、名器ならではのメインテナンスの難しさや、一般家庭の出身で才能に恵まれて、貸与された楽器を使っている日本人演奏家に対する率直なコメントなど、専門家としての発言を期待したいところでした。
本当に優秀な演奏家は、楽器を自慢する以上に、作曲家に対する深い敬意と楽譜の読み込みと熱心な練習と幅広い勉強に精力を注いでいるためか、インタビューも毎度おもしろく新鮮さがあります。そして、もっと自然な雰囲気を醸し出していて、演奏そのものから学び感化を受ける面がたくさんあると思います。
と、厳しい批判めいた話になってしまいましたが、だからこそ、さまざまな意味で、お母様は日本の上昇志向という一時期の世相に見事にマッチしたご生涯でいらしたのだろうと思います。
今日は久しぶりに音楽関連の小話にいたしました。