ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

テミルカーノフ氏と紗矢香さん (1)

2012年のロシアでの庄司紗矢香さんの比較的長いインタビューがフェイスブックに届いていたので、しばらく見ていました。(庄司紗矢香さんについては、過去ブログをご参照ください。(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120625)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20121105)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20121109)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20121231)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130211))

彼女は英語ですが、ユーリ・テミルカーノフ氏はロシア語でお話になり、よくわからず困っていたら、何と翌日に、英語字幕付きが再び送られてきました。こちらは、なぜか映像が地震のように縦揺れ横揺れで見にくいことこの上ないのですが、話の内容はよくわかりました。
かいつまんでご紹介しますと...
庄司紗矢香さんは、「全く普通の家庭に生まれた。母は画家、父はコンピュータ技師。3歳の時、イタリアでの美術の勉強のために母に連れられたシエナが、ヴァイオリンに出会ったきっかけ」という、既に人口に膾炙した自己紹介以外に、テミルカーノフ氏が、いかに紗矢香さんにとって特別で影響力の大きい、学ぶところの多い方かを、目を輝かせて話していました。「自分はロシア語がそれほどうまくはないのに、彼の話そうとすることはよくわかる。音楽言語ならなおさらのことだ。彼のユーモアのセンスが好きだ」ともおっしゃっていました。「人生の半分を過ごしていた欧州(イタリア、ドイツ、フランス)の他に、ロシア文学もロシア音楽も好きで、いい友達が何人かロシアにもいる。ドストエフスキーはマエストロから17歳の時に読むように言われ、ほぼ全部を読んだ」と。
それ以上に興味深かったのが、テミルカーノフ氏の日本観。「指がもの凄く早く回るアジア人の子ども達をたくさん知っているが、彼らは頭の中が空っぽ。世界のことも文学も知らない。知的精神が大切だ。大人になれば、知的な演奏かどうかはすぐにわかる。私は紗矢香に、ドストエフスキーを読むように言った」「日本が好きで、友人もいる。日本人は、別の惑星から来たかのようだ。頭が違う風に機能する。天皇家に招かれた時、美智子皇后さまがピアノを演奏され、自分がおいとまする際には、頭を深々と下げられた。皇族は日本の古い伝統文化を気に掛けていらっしゃる」「日本人はノーと言わない。じっと相手の話を聞いている」。
私も、テミルカーノフ氏の演奏会に初めて行った時、目が何度か合って感動したことを覚えています(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20111105)。とにかく、来日されるクラシック演奏家が一流であればあるほど、日本の演奏ホールの音響のよさを褒め、日本文化の特徴に関心を持ち、日本が好きだと言い、日本人の友達もいる、と公言してくださるのは、とてもうれしく、ありがたいことです。
紗矢香さんも、自分のしたいことに幼少から目覚めたのみならず、はっきりと自覚もし、よい先生に恵まれて(あるいは自ら求めて?)、並々ならぬ努力を積み重ねて、自分の意志を真っ直ぐに貫いてこられました。テミルカーノフ氏との出会いも、単に宣伝プロモーションではなく、まるで相思相愛の師弟関係のような素晴らしいもので、聞いているこちらにとっても、何だかとてもうれしいです。たくさん一緒に演奏旅行をし、多くを教えていただいて学んだとの由、波長が合うということでもあるのでしょう。得難い出会いです。
こうしてみると、日本文化もまんざら悪くはなさそうです。ならば、先日のアンヌ=マリー・デルカンブル先生の喜信や、その中継ぎを率先してくださったダニエル・パイプス先生とのことも、もっと素直に喜ばしく受け止めてよいのかもしれません(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130620)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130625)。どうも私、警戒し過ぎて遠慮がちになっているのかもしれませんが、紗矢香さんを見習って、真っ直ぐに表現することで、一つ一つの出会いを大切に育んでいければと願っています。
要は、「本心からやりたいと願う仕事に就いていること」「大変な量の本を読み、知識を増やし続けること」が成功の元でしょうね。