ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

„ Mut!”

繰り返すようですが、ここしばらく、ある面でやむを得ず、予想されなくもなかったこととはいえ、実際に起こってみると、半ば落胆、半ば(自分に対しても)腹立たしく、という事態に直面しています。自分なりに、かなりの年数をかけての決心と覚悟のつもりだったからです。もっとも、その件のみにとらわれないようにして、本質を直視し、広く先を展望するよう心懸けてはいますが、その際、ある友人から贈られた言葉が「勇気」。
この頃、なぜか頭が部分的にドイツ語モードになっていて、「勇気」も„ Mut!”と言い換えています。気が滅入って意欲を失いそうになると、一人で„ Mut, Mut!”と唱えることに。
学会案内が届きました(参照:2009年1月8日・2010年6月25日・2011年4月24日付「ユーリの部屋」)。若い方達や初めてお名前を目にする方達が非常に頑張っていて、こちらの知らなかった、高度な研究発表を予定されている様子がわかります。その時、我が身を振り返って、つい、心理的に後さずりし、怯んでしまいそうにもなりますが、そんな時こそ、„ Mut, Mut!”.
ここで人を押さえつけたり、「自分の専門はこれ」と狭く殻に閉じ籠もって安住してしまったりするのではなく、むしろ、相手の成長を素直に喜び、新たな視点を学ぶことで、世界が複層的に広がるいい機会だと前向きに受けとめ、ウィン・ウィンの関係に向かえるような、そんな自分でありたいと思います。実は、小学校高学年の頃からそのように願っていて、表面的で些細な「競争」のようなもので、自分のエネルギーを消耗させたくはないと考えていました。(だから偏差値教育にも抵抗感があったのです、負け惜しみではなく。(参照)2009年12月23日付「ユーリの部屋」)
昨日、NHK-FMラジオで、東京国際フォーラムにおいて開催中の「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」を聴きました。今年もまた、庄司紗矢香さんの演奏が光っていましたが、彼女が数年前によくインタビューで繰り返していたキーワードが、やはり「勇気」。
幼くして音楽の才能に自ら目覚め、史上最年少の16歳でパガニーニ国際コンクール優勝という栄冠を勝ち取ったことは有名(参照:2007年8月19日・2009年1月23日・6月28日・2010年6月23日付「ユーリの部屋」)。それだけに、舞台やメディアでのめざましい活躍ぶりの反面、人知れず辛いこともあったようです。旧約聖書の言葉を書き抜いてヴァイオリン・ケースに入れて持ち歩いていたとか、暇さえあれば一人で読書に励んでいたという逸話が、それを裏付けているようにも思われます。
まだ二十代の彼女からも、さまざまな面で刺激を受けつつ、学んでいることがあります。例えば、基本や伝統を尊重しつつ、同時に、新しいことに対して貪欲に吸収し、積極的に挑戦する姿勢、自分のオリジナルな好みや主張は大切にしながらも、音楽家達との人間関係にも調和的かつ協調的な態度、多忙な演奏旅行の合間に、できる限り自筆譜から勉強し、資料に当たって曲の研究をし、厳しい練習を積み重ね、毎回、新しく表現演出する自由で柔軟性のある精神性など。
だから私も「勇気」を。そして „ Mut!”