ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

うれしい再会・うれしいニュース

長かったようであっという間だった連休も、既に終わってしまいました。去年は小旅行に出かけましたが、今年は、コンサートと外食以外は、もっぱら家でごろごろのんびりしていた感じです。パソコンのプリンターを交換した程度かな、新鮮だったのは....。
ある程度まとまった自由な時間がないと、本やたまった複写コピーが読めないし、原稿も書けないし、かといって、あまり好きなようにしていると日課が全くこなせないし、...というわけで、なかなか悩ましいところです。まあ、今年はこれでよかったとしましょう。
今、検索でこのブログの過去分を見てみたところ、何だか変わり映えしない内容だなあ、と思いました。その日その日の自分なりの「発見」や「気づき」を書いているつもりですが、所詮は一人の限界ある人間の考えること、この年齢でそれほど大きく思想が変わるわけもありませんし(変わったらむしろ怖い)、結局はこういう結果になるのでしょうか。
自分なりに正直に書いているつもりなので、割合に一貫しているというのか、同じ考えが月日を置いて何度も繰り返し出てくる点、まあこれでいきましょう、ということですね。
ところで、この休み期間に、院生時代の後輩に当たる人から、久しぶりにうれしいメールをもらいました。彼は、私がマレーシアにいた間、こちらのお願いに快く応じ、当時の関心事だった言語問題について、頻繁に論文をコピーして送ってくれていました。「紙がもったいないから、できれば両面コピーでお願いします」というと、本当に両面にしてくれて、荷物の置き場も非常に助かりました。「自分でも頼まれた論文を読んで勉強になっているから」と気さくに言ってもらえて、本当にありがたいことでした。
ところが...彼も私も、その後の人生行路の変更を余儀なくされてしまいました。彼は突然のやむを得ない病気で、こちらも、いろいろと...。彼の方は、本当に無念だっただろうと思います。とても優秀で、発想も豊かで、私など、(絶対にあの人はいいところまで行ける)と信じていましたから、話を聞いた時にはショックでした。後でご本人から電話を受け、院生時代の彼の親切さや勉学に対する態度の深い意味を、初めてようやく感じられるようになりました。つまり、いつかは発病する可能性があると前から知っていたので、元気なうちに意義あることをできる限り楽しく、という心構えでもあったようなのです。
そういう後輩(というより友達)なのですが、2004年に関西に用事がてら一人で遊びに来てくれ、その後もなんとか元気にしているかな、と思っていたものの、今年の年賀状はありませんでした。心配はしていましたが、実はこの冬にも再発したとのこと。
それでも、何とか前年の年賀状を見て、検索でこのブログを捜してくれたのだそうです。そして、メールで連絡をくれました。「キリスト教徒でもイスラム教徒でもないから、内容には難しいところがあったけれど」と率直な感想で、それが一番うれしかったですね。そして、「マレーシアの研究を深めているようで、刺激になった」とも書いてくれました。
この点が最も支えになりました!現場の現実問題と関わるうちに、関心事が言語関係から宗教方面へと徐々に移動してしまい、ディシプリンの上で、自分がどこに位置づけられるのかだんだんわからなくなってきたからです。もちろん、問題意識は最初から同じですし、そもそも自分にとって切実な問題を扱っているつもりなので、その点でのブレはないはずなのですが、これを仕事に結びつけるとなると、なかなか難しいところがあります。(ただし、数年前に日文研のある先生とお話ししていたら、「それが普通だ。研究を続けていくうちに、どんどん関心が広がったり移動したりするのが自然だ」と言われて安心しましたし、別の学会で知り合った先生も「本当は自分の専攻は経済だったんですが、さまざまな出会いによって、教育やキリスト教の方面へ移ってきました」ともおっしゃっていました。)
人生いろいろですね。でも、たとえ表面的には困難に出会ったとしても、このように時間を置いてでも交流が持てる関係を、感謝しています。学生時代にはわからなかった彼のよさを、改めて知ることができて、その点でもうれしく思っています。あ、念のため、頼もしいパートナーの方とも巡り会われて、お幸せそうですよ。誤解なきよう...。

もう一つ、うれしいニュースがありました。『文明の衝突』で有名な故サミュエル・ハンチントン氏に生前インタビューしたムスリムの若い研究者が、ハンチントン氏がいかに誤解されてきたかを文章に綴り、『マレーシア・キニ』に転載されたのです(参照:"Lily's Room"(http://d.hatena.ne.jp/itunalily2/20090507)。確かに、この視点は重要だと思います。池内恵氏の主張も、これによって裏付けられる面があるのではないでしょうか(参照:2009年5月2日付「ユーリの部屋」)。