ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

まるで直属のお弟子さんのように

...とまぁ、飽きもせずに我ながら熱心に書き綴っていますが、突然、熱にうかされたのではなく、以前にも書いたように、実は幼稚園時代からの関心事が徐々に結実したというのが現況(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120521)。
自分の考えや行動が、常に肯定的に理解されるとは最初からあまり期待してはいない一方で、黙々と自分の課題に没頭していると、案外な人が案外に見ていて、応援してくれたり、話が盛り上がったり、ご自身のサイトに私の書いたものを引用してくださったりするので、やはり長い目で見て、些細な点にとらわれないことが肝要だと思っています。
意外な方が私のブログを引用していることは、定期的に検索サイトでチェックしていると発見できます。一つの傾向として、クラシック音楽の愛好家が、案外にイスラーム問題やマレーシア社会に関する私の記述に興味を持ってくださるようです。質問箱サイトにも、参考回答としてアドレスが紹介されていたりしています。一般向けにある程度の信用を得ているようなのです。ありがたいことです。

ダニエル・パイプス先生のことをずっと書き綴っているのも、ネットの問題点を承知しているからこそ。日本女性としての私なりの見方や感じ方を、ご本人とのメール交流を通して得たものとして、ここに率直に裏表なく書かせていただいているまでです。陰謀論などという怪しげなものに悩まされてきたとご自身がおっしゃっているだけに(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120524)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120610)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120612)、英語であろうと日本語であろうと、一貫した態度を保っているつもりです。もちろん、文責は一切私にあります。
あれだけ大量に書いて来た方なので、知識量も人生経験も私には到底、比較さえままならぬことは最初から了解済み。「違うものは違う」と双方共に割り切っているために、逆に文化相違や地理的時間的な距離が摩擦防止につながっているのだろうとは思います(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20121003)。
彼については、今後いくら訳文を増やしたとしても、それほど簡単に日本語圏で理解していただけるだろうとは期待していません。私だって、戸惑うことは今でもありますし、だから余計に、メールでコマゴマと連絡を取らせていただいて、少しでも理解進展と衝突回避に努めようとしている次第。
訳者とは、筆者に対する盲目的な同意者あるいは同調者を意味するのではなく、相違は相違として、(なぜ、そのように考えるのだろう?)という姿勢を保ち続けつつ、いかに効果的に自国語圏に伝達するかに労する者を指すのだろうと考えています。違いが存しなければ、何もわざわざ時間をかけて訳出する必要などないわけです。文化や社会が言語圏で異なるので、メッセージを伝える役割に相応の意味があるのです。仏訳の女性は「私は彼とコラボレートしている」と公表されていました。どうも古くからのお友達らしく(http://pub.ne.jp/itunalily/?search=20519&mode_find=word&keyword=Anne-Marie)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120521)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120525)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120606)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120607)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130105)、フランス語の得意な「パイピシュ先生」(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120505)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120519)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120616)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120627)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120630)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120731)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120922)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20121020)とは言語的にも共通項が多いので、そのように言えるのでしょう。ただ、まだお目にかかったこともない私にとっては、到底「コラボレーション」の「コ」の字にまでは至っていないわけで、パイプス先生からいろいろな刺激を受けつつ、視野を広げ、日本社会についても、自分のマレーシアでのリサーチ行程についても、中東および米国を初めとする世界情勢についても、新たな角度から再考を迫られるプロセスそのものが楽しいということです。そうでなければ、ここまで没頭する意味がありません。
主人に改めて尋ねてみると、「パイプス氏とユーリのやり取り、ずっと聞いているけど、別にそれほど問題があるとは思えないがなぁ」と何とものんびりした返答。「相手には(自分こそが賢い)と思わせておけばいいよ。誰だって、自分が上に立ちたくて、相手は馬鹿だと思いたいんだからさ。そう思わせておけば?世の中、そこまで単純じゃないから」。ふと、禅を思い浮かべます。
ところで、昨年12月のマレーシア滞在で再会した広東系の友人夫妻(1990年5月頃からの知り合い)が(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20121225)、非常におもしろいことを話してくれました。
奥さんの方は、スコットランドの大学で薬学を勉強し、その後、1990年代には、ご主人の博士論文のための滞在と、依頼されてロンドンの教会でご主人が牧師を務めていた時の滞在と、数年間ずつ計三度、英国に在住した経験を持っているのですが、お二人が口を揃えてハッキリ言ったには、「労働党政権になると英国はダメだ」。
「Ken Livingstoneがロンドン市長だった時はいかがでしたか?」と尋ねてみると、二人とも顔をしかめて、「もう、とんでもない悪政だった」と。「だって、英国で労働者階級が支配するようになったら、どうなることか、考えなくったって想像がつくじゃない?グラマースクールだって、労働者クラスが変な要求を出して、それを聞いてしまったから、おかしなことになっていたのよ」と何とも明快なお答え。「じゃあ、トニー・ブレアは?」「だから、労働党はダメだって言っているじゃない。保守党は裕福な階級の人達だから、国全体を広く深く見渡せるわけね。いい出身でいい教育を受けているから、いい政治ができるの」「でも、ブレア氏の英語はオックスフォード風の英語に聞こえましたけど」「それは弁護士だったから。でも、あの人の出身を見れば、階級がわかる」。
この会話中、当然のことながら、私が(http://www.danielpipes.org/blog/2007/01/my-debate-with-london-mayor-ken-livingstone)を思い浮かべていたことは、今でも我ながら納得してしまいます。ついでに、「バーミンガム市は、今どうなっています?」と尋ねてみると(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20080624)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20080625)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20080626)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20100413)、「あぁ、あそこはムスリム移民が増えて、環境がすっかり変わってしまった」。「今、英国の都市ではムスリム市長がいますよね?」「それが彼らのストラテジーなのよ」「ムスリム移民が欧州で人口を増やしていって、イスラームを広めようとしているんだ」。
まるで、ダニエル・パイプス公式サイトを文字通りなぞっているかのような会話。もちろん、事前の打ち合わせも演出も一切なし。これが、クアラルンプール最高のツィン・タワーの上階で交わされた、我々の自然発生的な話なのです。
もう一人の広東系マレーシア人でいらっしゃるDr. Ng Kam Wengも(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20121225)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130105)、「多文化主義や左派系思想は破壊的だ」と、これまたまるで、ダニエル・パイプス氏直属のお弟子さんであるかのような発言を、私にされました。この見解の顕著な点は、多文化主義を地で標榜しているごときマレーシアに生まれ育った現地の学者こそが、それこそ第三者的な見方とは裏腹に、「多文化主義は問題あり」と見なしていることです。
「その意見は、ダニエル・パイプス氏にそっくりです。失礼ですが、ご自身から出た考えなのか、それとも、誰かの見解に同意したからそうおっしゃっているのか、どちらですか」とストレートに尋ねたところ、「自分自身の観察と、他者の意見を参考にしたものとのすり合わせだ」。
非常におもしろく、興味深い会話だったと今でも思います。これを、かつて植民地にされた現地人のナイーブさだと解釈されますか?他者に対して常に抵抗することが知見に富む立派な態度であり、西洋支配に従順であることは無知の裏返しだと思われますか?
この見解が、英国の著名大学から博士号を授与された広東系マレーシア人から出たものだという点が、特徴と言えば特徴。それでも、自分達の人生経験に照らし合わせて、しっかりと押さえるべき点は押さえているところが、実に頼もしく思われます。おまけに、「大学や神学校の中にいる教職の人達は、世間を知らない。人々が何を考えて生きているか、わかっていない」というお墨付きまで頂戴いたしました。
最後に、コンラート・アデナウアー財団によるイスラエル自衛策支援のフィルム(http://www.youtube.com/watch?v=k2hZ6SlSqq0&feature=related)をご紹介して閉じたいと思います。実はこれ、昨年6月20日付の英語ブログ(http://pub.ne.jp/itunalily/?rearch=20519&mode_find=word&keyword=Jerusalem+Center+for+Public+Affairs+%26+KAS)に掲載したものです。賛否両論ある中で、二倍ほど多く、このフィルムの立場に賛意が表明されています。