ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

演奏会の余韻いまだ冷めやらず

一度もスポーツ新聞なるものを読んだことのない私ですが、フィラデルフィア管弦楽団について検索しているうちに、以下のようなサイトが見つかりました。

クラシック・コンシェルジェ 」(http://www.sponichi.co.jp/entertainment/classic-concierge/index.html

*第7回 フィラデルフィア管弦楽団日本公演
指揮:クリストフ・エッシェンバッハ
ヴァイオリン:五嶋みどり
 米国の5大オーケストラのひとつ、フィラデルフィア管弦楽団の3年ぶりの日本公演。03年から音楽監督を務めてきたクリストフ・エッシェンバッハは、今シーズン限りで退任が決まっているため5年にわたった共同作業の集大成ともいうべきツアーとなる。さらに今回のツアーには、ソリストとしてヴァイオリニストの五嶋みどりが帯同。全てのプログラムに彼女がソロを担当するヴァイオリン協奏曲が組み込まれていることも大きな魅力となっている。特にブリテンの協奏曲は五嶋自身の強い希望で選ばれたもので、演奏機会の少ないこの曲の魅力を日本の音楽ファンに紹介する絶好の機会と意気込んでいるという。
 メーンの交響曲プロコフィエフショスタコーヴイッチの第5番、シューベルトの「ザ・グレイト」といずれもポピュラリティーの高い作品が並ぶ。これはエッシェンバッハフィラデルフィア管弦楽団が“直球勝負”に出ていると解釈できる選曲で、両者の5年間の成果に関する自信のほどがうかがえる。
 フィラデルフィア管弦楽団は、プロ・オーケストラが約400団体もあるオケ大国アメリカの中でもとりわけ華麗なサウンドで知られる名門。創立は1900年。12年からレオポルド・ストコフスキーが首席指揮者に就任して以降、明るく華やかないわゆる「フィラデルフィアサウンド」が形成された。38年からはユージン・オーマンディーが音楽監督に就任し40年にわたってその独特の音色に磨きをかけ、常に米国5大オーケストラにランクインする実力を確固たるものにした。ダイナミックかつゴージャスな「フィラデルティア・サウンド」はオーケストラ音楽の醍醐味を十二分に堪能させてくれるもので、クラシック音楽とともに贅沢な時間を過ごしたいという方にはうってつけの公演といえよう。
 オーマンディー以降はリッカルド・ムーティー、ヴォルフガング・サヴァリッシュ、そしてエッシェンバッハとヨーロッパ出身の名指揮者が音楽監督に就き、表現の幅のさらなる拡大に努めてきた。特にサヴァリッシュエッシェンバッハとドイツ系の指揮者が2代続いたことでアンサンブルの緻密さが一層強化された、との印象が強い。そうした視点から言うと27日のプログラムこそ、コアなファンに向けたものといえるのではなかろうか。緻密さを増したアンサンブルで紡ぎ出すシューベルト、五嶋が強い意欲持って披露するブリテン、耳の肥えた日本のファンにいかに訴えかけてくるのか興味は尽きない。
  いずれにしてもビギナーからコアなファンまでターゲットを幅広く見据え、そのどちらも満足させようとのいかにも米国のオーケストラらしいツアーとなることは間違いなさそうだ。

[五嶋みどりのメッセージ]
 五嶋みどりです。
  5月のフィラデルフィア管弦楽団の来日公演で日本の皆さまとお会いできるのを大変楽しみにしています。演奏会では、チャイコフスキーブリテンのヴァイオリン協奏曲を共演します。23日と24日に演奏するチャイコフスキーは、ヴァイオリン協奏曲の中でも最も有名な曲の一つですので、ご存知の方も多いと思いますが、25日と27日に演奏するブリテンのヴァイオリン協奏曲はあまり知られていないようです。
 ベンジャミン・ブリテン(1913−1976)は「青少年の管弦楽入門」が有名なイギリスの作曲家で、声楽やオペラをたくさん書いています。彼は平和主義者であり人道主義者としても知られていて、第2次世界大戦が勃発する前に、アメリカに亡命しました。彼の作品には『戦争レクイエム』など“反戦”の思想や時代の不安が反映されたものがたくさんあります。このヴァイオリン協奏曲も第2次世界大戦前の緊張感に包まれた時期に書かれた作品(1939年作曲)で、イギリスの田舎を彷彿とさせる抒情的 なやさしさと緊張の間を行き来する幽玄的な作品です。スペインのブロサというヴァイオリニストのために書かれた作品ということもあり、第2楽章にはフラメンコのリズムが用いられています。そして、独り言のようなカデンツァがあって、最終楽章に突入していきます。
 このツアーが決まり、指揮者のエッシェンバッハと曲目の相談をしたときに、私が「ブリテンはどう?」と聞いたところ、彼も「ずっとブリテンを演奏したかった」とのことで、すんなりこの曲が決まりました。
 ブリテンは趣深く、聴きどころも多く、現代のヴァイオリン協奏曲の中では屈指の作品だと私は思っていますが、残念ながらあまり演奏される機会がありません。お聴きなじみのない曲目かと思いますが、是非皆様にこの機会に聴いていただき、この曲の良さを感じていただけたらと思います。
  それでは、日本で近々お会いできますのを楽しみにしています。
 3月27日 五嶋みどり
(c)Timothy Greenfield-Sanders

[五嶋みどりプロフィール]
現代を代表するトップ・ヴァイオリニストのひとり。ヴァイオリニストだった母・節さんに連れられ幼少期に渡米、ジュリアード音楽院の名教授ドロシー・デュレイらに師事し才能を開花させる。82年ニューヨーク・フィルソリストとして楽壇デビュー。85年の同オケとの共演ではヴァイオリンの弦が切れたのにもかかわらず、落ち着いた対応で最後まで演奏し世界的な注目を集める。安定したテクニックと旺盛な探究心から紡ぎ出される音楽は、独特の深みがありバーンスタインアバド、メータ、小澤征爾ら世界のトップ指揮者、ベルリン・フィルなどのトップ・オーケストラとの共演も多数。近年、音楽を通した社会奉仕活動にも力を入れている。
[クリストフ・エッシェンバッハ プロフィール]
1940年ドイツ・シュレージエン地方(現在はポーランド)生まれ。当初はピアニストとして活動を始め10歳でスタインウェイハスキル・コンクール優勝。世界的なピアニストとして名声を獲得した後の1972年に指揮者デビュー。チューリッヒ・トーン・ハレ管弦楽団、ヒューストン響の音楽監督を歴任。98年から2004年までハンブルク北ドイツ放送交響楽団の首席指揮者を務めた。99年からシュレスヴィヒ=ホルシュタイン音楽祭芸術監督、00年からはパリ管弦楽団音楽監督を兼任。03年からフィラデルフィア管の音楽監督

・米国のオーケストラ事情
 広大な国土を持つ米国には、一定規模の都市には必ずプロ・オーケストラが存在し、その町の文化の顔としてそれぞれ個性あふれる活動を展開している。米国のオケに共通する特徴は、その国民性が反映してか明るくおおらかでダイナミックなサウンド。競争社会の米国だけにオーケストラの世界にもヒエラルキーが厳然とあり、技術的水準も高い。毎年専門誌などでランキングが発表され、それが楽員の給与や公演のチケット代にも微妙に反映する。中でもビッグ5と呼ばれる5団体はそのピラミッドの頂点に位置する特別な存在。ちなみにビッグ5はシカゴ交響楽団ニューヨーク・フィルハーモニックボストン交響楽団クリーブランド管弦楽団、そして今回来日するフィラデルフィア。トップの座は20年以上、シカゴの指定席となっているが、2位以下はその年の活動状況で変化することが多い。とはいえ、この5団体の技術的水準はもちろん、楽員の待遇面でも大きな差はないのが現実だ。
  これに続くのはピッツバーグ交響楽団、ロサンゼルス・フィルハーモニック、サンフランシスコ交響楽団シンシナティ交響楽団デトロイト交響楽団ミネソタ管弦楽団、コロンバス交響楽団など。ちなみにコロンバス響の音楽監督は日本の広上淳一が務めている。また、かつてボストン響の音楽監督小澤征爾が約30年務めていたほか、ミネソタ管も大植英次音楽監督時代に躍進を遂げた。さらにニューヨーク・メトロポリタン歌劇場のオーケストラの表現力の豊かさも世界中のオペラ・ファンが認めるところだ。
  現在、米国のオーケストラの多くで音楽監督の交代期を迎えている。フィラデルフィアでは前述のようにエッシェンバッハが退任し、今秋からシャルル・デュトワが首席指揮者に就任する。そのほか主だった交代人事ではシカゴ響(ダニエル・バレンボイム→ベルナルト・ハイティンク)、ニューヨーク・フィルロリン・マゼール→アラン・ギルバート)、ロス・フィル(エサ・ペッカ・サロネングスターボ・ドゥダメル)、ピッツバーグ響(アンドリュー・ディヴィス→マンフレット・ホーネック)などが注目されている。

(以上)

今日のサントリーホールで、今回の日本ツアーは終了するわけですが、西宮で、貴重な機会に巡り合えて、本当に幸せでした。
昨晩、帰宅した主人も、「あの演奏会はよかったよかった」とのことで、早速、i-Tuneで、ブリテンのヴァイオリン協奏曲とショスタコーヴィチの第5番を購入してくれました。ただし、前者はロストロボーヴィチ指揮・ロンドン交響楽団でヴェンゲローフのヴァイオリンによるものです。後者は、指揮者もオケも演奏会と同じです。今、聴きながら書いていますが、演奏者が異なるものの、ブリテンのよさがますますわかってきて、みどりさんにぴったり合っている曲だと確かに納得がいくように思います。やはり演奏者が「この曲を是非」という深い思い入れを持って演奏してくださると、それは必ず伝わります。
たまたま昨日、録画してあったサントリーホールでの諏訪内晶子さんのヴァイオリンをピアノ伴奏付きで聴きましたが、楽譜を見ながらのクールな演奏であるせいか、何が言いたくての演奏なのかが伝わらず、(きれいに弾けてはいるけれどおもしろみのない演奏だなあ、曲に没入するぐらい夢中になってから、人前で演奏していただきたいものだ)と思いました。
結局のところ、伝統を踏まえて正統的な基礎を作った上で、自分の感性に素直になることが肝要かと思います。これは何事にも言えることなのでしょうが。

書き忘れましたが、会場で記念に買って指揮者のエッシェンバッハ氏のサインをいただいたフィラデルフィア管弦楽団のCDは、サン・サンーンスの交響曲第3番ハ短調 作品78「オルガン付き」・プーランクの「オルガン・弦楽とティンパニのための協奏曲ト短調」・バーバーの「トッカータ・フェスティーヴァ」作品36が収められているものです。