ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

イスラーム圏内の改宗問題(1)

英語版はてなブログ日記‘Lily’s Room’http://d.hatena.ne.jp/itunalily2)には、マレーシアのカトリック週刊新聞“Herald”の最新号(2007年9月16日付 Vol.14, No.36)のp.10-11に大きく掲載されていた、エジプトの宗教事情の記事を筆写入力しておきました。

イスラーム圏内の少数派キリスト教共同体における改宗問題(ムスリムキリスト教改宗)などが焦点となっています。この問題は、マレーシアともほぼ重複する事項であるために、大変理解しやすく、かつ、当事者にとっては、両国に共通する深刻な課題です。日本のメディアでは、一神教とは全般的に無縁の社会であるという一般認識がある上に、石油問題や国際関係などが絡むためか、ほとんど正面から報じられることのない問題ですが、私にとっては、重要なテーマです。ご興味のある方は、どうぞご覧ください。

結局のところ問題は、イスラームには非イスラーム諸宗教への改宗が認められないどころか、国や事例によっては公然と「死刑」の判決が出されることがあるという点にあります。どうやら、クルアーンには「死刑」としての処罰は明記されていないのですが、ハディースの方にそのような記述があるというのが、議論の余地を残しているらしいのです。いずれにしても、いったんムスリムとして生まれたら一生ムスリムのままでいるのが、理念であり現実であり、それ以外の生き方は国外に出ない限り、あり得ないというのが現状です。

このような話は、書物などを通して、頭では理解されやすいのですが、実際に肌でその事例を知ると、それほど単純なことではなくなります。特に、イスラームからの改宗の対象になりやすいのがキリスト教であるため、教会への有形無形の攻撃が予想されるからです。時々、「それがどうしたんですか」と平気で言う若い人がいますが、本当に、想像力に欠けるというのか、同情心のない人だなあ、と呆れてしまいます。

この記事には、「よりよい宗教=イスラーム」という表現が含まれています。しかし、私がマレーシアでしばしば耳にしたのは、「イスラームは最終の完璧な宗教である」というものです。しかもマレーシアの場合、非ムスリムが、結構、声を上げて反論する傾向にあり、「じゃあ何かい?非イスラーム諸宗教は不完全な宗教とでも言うのか?」と正面から尋ねたりしています。まさか「そうです」とも返答できないので、モゴモゴと曖昧な感じに済ませるのが、マレーシアのムスリムです。また、ある論文で笑ってしまったのは、宗教間対話の会合で、あるマレー人(ムスリム)指導者の一人が、「天国に行けるのはムスリムだけである。どうして、地獄行きの人達と、わざわざ対話なんかしなければいけないのか」と大まじめで発言したために、会場から失笑が漏れたというものです。

まあ、お気楽な国ですね、なんて終わらせないでくださいね。現在のところ、一応は平和で安定した国だと思われているマレーシアですが、次に予測される危機は、マハティール前首相が逝去した時だそうです。隠された膿のようなものをうまくコントロールできなかったら、それぞれの不満が爆発する可能性がある、と数年前に聞きました。何も起こらないといいのですが。