ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

マレーシアのキリスト教文献

昨日は、マレーシア教会協議会(Council of Churches of Malaysia, CCM)から、注文しておいた本2冊が届きました。

90年代と比べたら信じられないほど、連絡の往来が早く確実になりました。マレーシアのオフィスで責任者やスタッフと何度か顔合わせをしていることと、定期刊行物が送られてくるたびに私の方も連絡をとっているからなのかもしれません。代表者が来日された暁には、ささやかながら接待もさせていただきましたし、教会にお連れして夕拝をご一緒しました。私見では、何事も成果を焦らされる昨今の風潮にあって、このようなコミュニケーションは、最も基本的で極めて大事なことだろうと思います。ともかく、無事に本が届いて、感謝、感謝です。

もともとCCMは、日本軍によるマラヤ占領期の苦しい経験がきっかけとなって立ち上がったものです。その割には、日本のキリスト教神学者や神学部系列のクリスチャン研究者が、アジア各国から代表者を招いて開く会合以外に、個別のマレーシアの歴史神学的側面を充分に言及していないのは、実に奇妙な現象だと前々から思っていました。第一、今の日本の教会の低迷は、時に暴力行為も含む政治的な議論の対立がかなり影響しているというのに、その主動力となった戦争責任追及派が、「アジアの人々に対する謝罪」だの「アジアの神学」だのと主張している割には、同じく日本軍の侵略が契機となって設立されたシンガポールの代表的神学校であるトリニティ神学院(Trinity Theological College, TTC)やCCMの具体的な活動について、真正面から取り上げることなく、どちらかと言えばほとんど無視だったというのは、一体何を意味するのでしょうか。

もっとも私は、公教育しか経由していませんし、特に神学教育を専門に受けた立場にはないために、いわゆる党派心や組織への忠誠心から全くフリーで、このようなことも書けるのですが。
それはともかく、12月2日の研究発表に必要な、貴重な情報がきっちりと書かれた文献が、予期せぬ形で間に合うように届いたのです!本当にうれしくてなりません。

1. Christian Federation of Malaysia (Persekutuan Kristian Malaysia) “CFM 7th National Christian Conference” 20-22 October 2005, published in 2007.
2. Venerable Archdeacon Dr. S. Batumalai, “A Bicentenary History of the Anglican Church of the Diocese of West Malaysia (1805-2005)”, published in 2007.


特に2の本は、3センチ以上の厚さを持つ立派な本で、今まで私が知りたいと願っていてなかなか叶わなかったことが、しっかりと書かれています。

何年も前に、ここに書かれている情報を探すのに非常に疲労困憊、困惑していた頃、ある日本の女性助教授(当時)が私に「それは君の仕事だよ」とあっさり言ってのけられました。あんまり簡単におっしゃるので、かえってびっくり仰天したのですが、多分、その先生は、ミッション系大学のご出身でありながら、この分野を本当にきちんと調べようと思ったら、かなり幅広く深く勉強をしなければならないことや、キリスト教の各教派の複雑さや資料の膨大さについて、軽く考えていらしたのでしょうね。西マレーシア(半島マレーシア)の英国国教会史一つとっても、こんなに長期間に及ぶ、分厚い本になるのです。大変失礼ながら、多分ご存じなかったので、あたかも見下ろすかのようにそう言えたのだろうと思います。繰り返しになりますが、だからこそ、きちんとした助言を与えてくださる、よき師に出会うことが重要です!よき師とは、いわゆる所属大学の知名度や論文数のことを指すのではありません。

ともかく、つまらない(?)話は横に置き、早速、資料作りにとりかかりたいと思います。誠に勝手な話ですが、資料提出の締切を延ばさせていただき、全く正解でした。