ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

ダグラスさんの新著が到着!

ツィッターの転載を。

https://twitter.com/ituna4011


Lily2‏ @ituna4011 48 minutes ago


昨日、英国から到着!日本についての言及も有。“The Strange Death of Europe: Immigration, Identity, Islam” by Douglas Murray(https://www.amazon.co.uk/dp/1472942248/ref=cm_sw_r_tw_dp_x_HO4lzbK0K4SC8 … via @AmazonUK)

(転載終)

アメリカでも日本でも、ハードカバー版は9月販売だとあったので、主人が会員であるという英国アマゾンで注文してくれた(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20170513)。(気がつくと、両国のアマゾンでは、6月20日に販売予定と早めてあった(http://d.hatena.ne.jp/itunalily2/20170510)。)
早速、良い状態(と言っても、カバーの端が2ミリほど折れていた)で、昨日の午後、届いた。郵便配達のお兄さんが、わざわざ階段を走り上がって届けてくれた時、私は玄関外の階段の掃除をしていたところだった。

Table of Contents


1 The beginning
2 How we got hooked on immigration
3 The excuses we told ourselves
4 ‘Welcome to Europe’
5 ‘We have seen everything’
6 Multiculturalism
7 They are here
8 Prophets without honour
9 Early-warning sirens
10 The tyranny of guilt
11 The pretence of repatriation
12 Learning to live with it
13 Tiredness
14 We’re stuck with this
15 Controlling the backlash
16 The feeling that the story has run out
17 The end
18 What might have been
19 What will be

(アマゾン(https://www.amazon.co.jp/dp/B06XDV5R78/ref=sr_1_1?s=english-books&ie=UTF8&qid=1496291231&sr=1-1&keywords=douglas+murray)のコメント欄より転載)

予想以上にしっかりした作りの重厚な本で、久しぶりに学生時代に戻った感触。ダグラスさんは、単に優秀のみならず、知的にかなり早熟なタイプらしく、祖父母ぐらいの世代の人とも平気で、一緒に仕事をしたり、行動することに慣れているような印象である。
英国人たるもの、こうでなければ!
早速、ページを繰ってみたが、全部読み通すには別の日を当てなければならない。だが、過去5年以上のパイプス訳文のおかげで(http://ja.danielpipes.org/art/year/all)、本書で登場する話題や人物に関しては相当に重複があり、非常に理解しやすい。パイプス先生が親しくしていた方々のお名前も含まれている他(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130122)、何と昨秋の欧州旅行で出遭った方のことも書いてあるため(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20170329)、私にとっては、非常に生き生きと胸に迫ってくる記述が何ヶ所かある。
巻末のインデックスでチェックしてみたが、未知の新出トピックが殆どなかったことに驚いた。
2012年春、パイプス先生の『戦闘的イスラームアメリカに到着』を初めて読んだ時(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120113)、難しい箇所も高いレベルであっさりと言い切っている印象を持ち、なんて明晰な思考の方なんだろう、とすっかり魅了されてしまったが、実はダグラスさんの本に関しても同感である。
頭のいい人は、脳内が丈夫でシャープな神経細胞に覆われ、しかもシナプスの働きが非常に速く、何事もすっきりと整っているのではないだろうか。
パイプス先生に関しては、十数歳も目上の方なので、とにかく経験知と仕事量で圧倒されてしまうが、ダグラスさんは、十数歳も若い方なのに、思考レベルと経験の質が優れているので、これまた圧倒されてしまう。
東西(地理)と上下(年齢)から高い知性に挟まれて、私は窒息しそうですよ!
ダグラスさんの新著は、パイプス先生と一緒に出席したハーグでの会合から((http://www.danielpipes.org/blog/2004/10/department-of-corrections-of-others-factual)‘Andrew Bostom and I both attended the Pim Fortuyn Memorial Conference on Islam in the Hague on February 17-19…’(Feb. 20, 2006))、10年以上も、地球上のあらゆる場で真剣に努力し、考察と観察を積み重ねた結果なので、簡潔に書いてある文章にも凄みと深みがある。
現在進行形の困難な重いテーマについて、勿論、思いつきで書き下ろしたのではなく、欧州や米国やアフリカ等で参与観察の旅を繰り返し、その過程で招かれた各種の討論会や講演に堂々と参加し、テレビやラジオでも臆せず率直に語り、コラムや論説文や短い著述等を大量に迅速に書き続ける年月を経た後に、この度、大きく一冊にまとめて世に問うたというわけだ。
勿論、パイプス先生のお名前も本文中に記されている(p.237)。欧州への大量移民の問題に関して、比較事例として日本に関する言及もあるが(pp.58-60)、私にとっては少し楽観的かと思う。というのは、既に日本でも、エンジニアリングの現場などで、相当に外国人を入れてしまっているからだ(http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ29I9F_R30C17A5MM8000/)。これをすると、機密情報が外部に流れ、技術も盗まれてしまう。
多分、日本事例を入れた理由は、ムスリム監視を許可した日本の最高裁判所のニュースとも関係があるのではないかと私は密かに想像している(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20160702)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20160722)。
実はこれまで私は、英国は長年の広大な植民地経営の蓄積があり、文書記録だけでも膨大な信頼となるので、その内なる自信に基いて、今のムスリム移民政策を受け入れたのだとばかり思っていた。イスラームに関しても、全く知らなかったのではなく、知っているからこそ、過去の対立を克服すべく、尽力しているのだとばかり思っていた。
どうして、地に足を着けた、堅実で賢いあの英国人が、こんな状態を招聘してしまったのだろうか。
だからこそ、ダグラスさんの新著から、我々はしっかりと学ばなければならないのだ(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20170515)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20170516)。
過去のダグラス・マレイ氏に関するブログ一覧を以下に。

http://d.hatena.ne.jp/itunalily2/archive?word=%22Douglas+Murray%22


・2017-05-10  Whither Europe?
・2017-05-09  Macron was elected
・2017-05-05  What is ‘far-right’ ?
・2017-03-30  Tariq Ramadan
・2017-03-27  Saudi Arabia’s message
・2017-03-22  Contradictory ideas
・2017-02-01  Trump’s immigration ban
・2016-12-08  Legacy of the late Edward Said
・2015-01-08  “Charlie Hebdo” attack in Paris
・2013-03-09  Lars Hedegaard and Islam (1)
・2009-02-18  Sharia issue in Britain

http://d.hatena.ne.jp/itunalily/archive?word=Douglas+Murray


・2017-05-16  防衛と「解放」と
・2017-05-15  北朝鮮と中東危機
・2017-05-13  ダグラス・マレイ氏の新著
・2017-05-07  トルコの競争力低下
・2017-04-09  いつまで続くのか?
・2017-04-06  ケン・リビングストーン元市長
・2017-04-01  映像ホームページを整理して
・2017-03-27  西洋文明は何処へ?
・2017-03-25  ダグラス・マレイの新保守思想
・2017-03-20  同床異夢?
・2017-03-18  ダグラス・マレイ氏の受賞
・2017-03-17  ダグラス・マレイ氏
・2017-03-16  レッテル貼り思考の陥穽
・2017-01-31  どの思想に拠って立つか
・2017-01-23  日高義樹氏の新春特別講演会
・2016-10-24  インターネットの効用
・2016-10-18  人間の獣性
・2016-08-02  イスラーム主義と中東・欧州
・2016-07-26  独り善がりではない愛国心

(リスト終)

ダグラスさんの同僚のハンナ・スチュワートさん(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20170327)も、先立つこと3月に、1000ページ以上もある分厚い調査書を出された。自国の問題に責任を感じて、しっかりと調査をして本にまとめ、堂々と世に問う。この堅実で誇り高い英国人気質に久しぶりに触れることが出来て、昨秋のパイプス旅行に参加する機会が与えられたことを、私はこの上なく光栄に感じる。

それにしても、パイピシュ先生に連なる方達は、しっかりした硬派の本を書いて出版されている方達が多いため(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20160622)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20161231)、旅の間に知り合うのはいいが、帰国してからのキャッチアップ勉強が大変だ。本だけではない。メディア出演も兼ねている方の場合、毎日のツィッター上の発信チェックと、ビデオやラジオの視聴も欠かせない。フェイスブックで流れてくるシェア記事も重要である。その上で、定期的にウェブ上の論考記事を読み、必要ならば自分のウェブやフェイスブックに転載する作業等をしているうちに、毎日があっという間に過ぎていく。
そして、肝心の自分の勉強は、いつの間にか脇に積み上がっている。ブログでまとめていかなければ、頭の中が整理できないので、そのための時間も必要だ。
この頃、訳文だけに集中していた頃が、何となく懐かしい。
日本に生まれ、国民として日本国に責任を持つ以上、日本だけでは生きていけない実情を受け入れ、二本立てで努力を継続しなければならない。言語のハンディキャップもあり、時間も二倍三倍とかかるが、仕方がないことである。
ダグラスさんの新著のベストセラー入りを心から祝したい。ご快挙、本当におめでとうございます。