ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

国富論

まずは、過去ブログ(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20150916)の続編から。

http://www.msn.com/ja-jp/news/money/


「日本経済は悪くないのに悲観主義が蔓延する理由」


ハーバードビジネススクールを代表する知日派、ジェフリー・ジョーンズ教授。20年以上、日本の経営史を研究し、過去には学習院大学客員教授を務めたこともある。ビジネススクールだけではなくハーバード大学エドウィン・O・ライシャワー日本研究所教授も兼任し、渋沢栄一から環境ビジネスまで幅広く研究活動を行っている。昨年は4度も来日した。


佐藤:日本には勤勉で教養ある国民がいるのにバブル崩壊後、日本経済は停滞しています。明治、戦後と奇跡的な経済成長を遂げた国が、なぜ今、つまずいているのでしょうか。


ジョーンズ:日本はいまだに世界の経済大国なのです。たとえば、フォーブズ誌の「2015年世界のトップ企業2000」のリストを見てみてください。218社もの日本企業がランクインしているのです。世界第3位です。日本企業がどれだけ成功しているか、分かるでしょう。


ジョーンズ:バブル崩壊です。1990年代前半、不動産の価格、株価ともに、暴落しました。それは日本の間違った金融政策が原因であって、必要以上に国民が落ち込むことはないのです。


・高齢者ばかりの国で経済が停滞していれば、将来について悲観的になる気持ちも分からなくはないですが、私が日本の皆さんに注目してほしいのは、その停滞の程度です。皆さんが思っているほど、日本経済は“悪くない”のです。


・もう1つは、近隣諸国の経済成長がめざましいことです。あまりにも急速に成長しているため「中国と比べて日本は全然成長していない」と感じてしまうのです。


ジョーンズ:日本人はもっと楽観的になったほうがいいと思います。楽観主義は経済を成長させる重要な要素です。20年以上も「日本は停滞している」と悲観的に論議するのは、あまり意味がないと思いますよ。自国を批判しても、物事は前に進みません。


・日本人とドイツ人は内省的で、“自分に厳しい”のです。特に日本には「謙遜の精神」がありますから無理もありません。反対にラテンアメリカ、インド、アメリカの人々は、楽観的すぎるぐらい楽観的です。日本人が悲観的になる気持ちも分かりますが、この悲観主義が経済成長の妨げとなっていることを理解してほしいと思います。


・1つめは、もっとダイバーシティ(多様性)を許容してほしいということです。日本企業の役員に女性と外国人がどれだけいるでしょうか。これは日本人の皆さんが思っているよりも日本の成長を阻害している大きな問題です。日本国民の50%の才能が無駄になっているのです。国外の豊かな才能も生かしきれていません。この状態では世界との経済競争を勝ち抜けません。


・2つ目は、リスク耐性を高めてほしいということです。日本は、リスクを取って挑戦する人が非常に少ない国だと言えます。他国に比べて起業家の数が圧倒的に少ない。人々は極端に失敗を恐れ、失敗を価値あるものだとは評価しません。


アメリカ人は失敗しても挑戦し続けています。それがアメリカの経済成長の大きな原動力となっているのは明らかです。


・3つ目は、世界的な視点で物事を見てほしい、ということです。日本企業が外国企業を買収すると、経営を統合する過程で日本式を踏襲しようとしてよく失敗します。日本企業がグローバル化で苦労している背景には、日本人の内向き志向があります。


ジョーンズ:日本が非常に快適な社会だからです。日本には安くて美味しいレストランがいくらでもある。電車は遅れないし、犯罪も少ない。英語を話さなくても何の不自由もない。こうした快適な社会は、日本の強みであると同時に、弱点でもあるのです


・快適な社会で生きてきた人間が一歩、国外に出ると、ものすごく不便に感じますね。そうするとわざわざ不快な異国に行こうなんて思わないですよね。これが内向き志向を生むのです。


ジョーンズ:私は政府が何か支援したからといって、グローバル化が大きく進むとは思いません。どの国でも、政府の政策というのは期待はずれに終わるものだからです。


・日本は大きなジレンマを抱えている国です。戦後、日本人は懸命に働き、国を復興させ、快適な社会をつくりあげました。ところがその快適な社会が足かせとなって、成長が停滞してしまうことになりました。「子孫のために」と思って必死につくりあげた社会が、逆に課題を生んでしまったのです。


ジョーンズ:日本人から見たら、新興国はもちろんのこと、アメリカでさえも「快適ではない国」でしょう。格差が広がり、そこら中に貧しい人がいる。会社は簡単に解雇される。犯罪率も高く、暴力も横行している。しかし不快な社会には、利点もあります。それは生きているという緊張感があることです。そこに“何が何でも生き抜こう” “この不快な社会を少しでもよくしよう”とする気持ちが生まれるのです。これが現代の日本との大きな違いです。


ジョーンズ:人的資本(ヒューマン・キャピタル)です。世界の中で、日本人ほど、勤勉で、教養があり、技能にも優れている国民はいないでしょう。また日本人は非常に社会意識の高い人々です。


・何度か来日して、多くの日本人の方々を取材しましたが、日本の技術力と日本人の環境問題に対する意識の高さをあらためて実感しました。


佐藤:新刊『利益とサステイナビリティ:環境ビジネスにおける起業家精神の歴史』(日本語仮タイトル)は2016年に出版予定とのことですが、どのような内容になりそうですか。


ジョーンズ:19世紀から現在までの環境ビジネスと起業の歴史を網羅しています。再生エネルギー、再生建築から、オーガニック食品、美容、グリーンファイナンスの分野まで幅広く取材しています。


・テーマは「資本主義とサステイナビリティは両立できるか」。起業家たちはどの時代も、資本主義が地球を救うと信じて、新しいビジネスを立ち上げていることが分かります。


ジョーンズ:日本には起業家が少ないと聞いていたのですが、取材の過程で、日本にもエネルギーにあふれた起業家がたくさんいることを知りました。日本企業のエグゼクティブも社会意識が高く、新しいイノベーションをどんどん取り入れていこうとしていました。環境ビジネスの先進国として、日本がさらに世界に貢献することを期待しています。

(部分抜粋引用終)
外部の目から見たありがたいお話だが、気をつけるべき点は、アメリカの将来の指導者層を育成する場で、一例として引用されている事例に過ぎないということ。慢心すべきではない。
それは、以下に顕著である。

http://www.msn.com/ja-jp/news/money/


日本のものづくりがおかしい 東芝東洋ゴム…許し難い「粉飾」「改竄」 “チャレンジ”すべきは技術開発だ


東大阪には、海外からも注目される独自の技術を持った中小企業が少なくない。その一つが「絶対緩まないナット」でメディアにも何度も取り上げられている特殊ネジ製造「ハードロック工業」だ。


80歳を超えた今も、開発の最前線に立つ若林克彦社長


・どこにもなかった「絶対緩まないナット」を作りだし、今も新商品の開発に取り組み続けている。その一方で、徹底して取り組んでいるのは品質管理だ。「一つでも不良品があれば、今まで築いてきた信頼が一気に崩れてしまう」からだ。


コピー製品を作った業者はまもなく倒産してしまったという。


・「顧客のために、という姿勢を貫いてきたことによる信頼が、次の注文を呼ぶから」


・日本のものづくりのDNAはここにある。顧客満足の積み重ねが、無二の“信頼”を生み出してきた。それこそが、日本のものづくりの土台であり、かけがえのない財産でもある。


・利益水増し問題で歴代3社長が辞任した大手総合電機メーカーの東芝経団連会長や日本商工会議所会頭など財界トップを輩出した名門企業の信頼は地に落ちた。


・なにより、「会社の業績を良くする」ではなく「業績をよくみせる」を優先させ自己保身に走ったことが傷口を大きく広げたといえる。


東洋ゴム工業大阪市西区)である。同社が起こした免震ゴム製品の性能データ改竄(かいざん)問題はさらに深刻だ。


・「『これぐらいでええやろ』というちょっとした隙が魔を呼び込み、組織をどんどん変質させたのだろう」。若林社長はこう指摘する。


・技術力が衰えれば、なんの資源も持たない日本に、世界と戦う「武器」はなくなる。


顧客満足積み重ねこそが、日本のものづくり力の原点である。自己保身のための不正やごまかし、粉飾ではなく、ものづくり力を高める技術開発にこそ、「チャレンジ」してほしい。
                                     (編集長・佐藤泰博)

(部分抜粋引用終)

元気づけに、ツィッターからの転載を。

https://twitter.com/ituna4011


『徳の国富論―資源小国 日本の力』加瀬 英明(http://www.amazon.co.jp/dp/4915237532/ref=cm_sw_r_tw_dp_R0r.vb0KHYSHD …)が今日届いた。早速読み始めている。このような話を中高生の頃から読んだり聞いたりしていたら、もっと違った人生だったかもしれないのに、と今にして思う。やはり、マルクス主義の教科書が元凶?

(転載終)
上記本には寺子屋の話が出てくるが(pp.60-68)、過去ブログ(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20150916)の疑問が解けるかどうか。加瀬氏にはユダヤ関連の本も多いが、内外を広く深く経験された結果、このような結論に至ったのだろう。