ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

映し鏡として

内容としては、私の学生時代にも見聞したもので、特に何ら新しい視点はありませんが、地盤沈下しつつある現在の日本社会に対する自戒の念として、以下に数日前に見つけた中国語論文の邦訳の部分抜粋を挙げます。
これを読んでいると、「イスラームは最終の完璧な宗教」「イスラームこそが解決だ」を唱え続けて実践に邁進しているムスリム世界を彷彿とさせ、さすが、エルドアン率いるトルコが上海倶楽部に加入した経緯が手に取るようにわかってきます。中国が最近、中東和平に身を乗り出しているというのも、日本側から見れば混乱に輪を掛けるようなものですが、案外に「似たもの同士」の嗅覚が働いて急接近しているのかもしれません。
しかし、繰り返すようですが、何事もまずは自分の映し鏡として学びたいものです。

http://www.rieti.go.jp/users/china-tr/jp/030616ntyu.htm
中国経済新論:日中関係
「中国はどうして日本に後れを取ってしまったのか」


・客観的に見て、中国は日本より先に進む理由:中国の国土は広く、資源が豊富:中国に対する欧米の投資は日本に対するものよりもはるかに多い→中国人自身の問題


原因1:中国人は自尊自大・日本人は謙虚で勉強好き


・日本人は外圧に屈した後、なぜ欧米の人々が「堅船利砲」を作り出せるのか、と真剣に考えた。文明国となるには、欧米の「良い友」と誠心誠意に接しなければならず、日本人を黄色の皮と白い中身を持つバナナのような、白人の魂を持つアジア人に改造しなければならない。


・最も重要な原因は、自尊自大な国民性。中国人はいつも自分の長所ばかりを強調し、逆に他人の欠点を過大視する傾向がある。自己弁護。中国人は欧米の科学技術の面における優位性は何とか認めるが、欧米文明の中華文明に対する優位性は決して認めようとしない。日本人が二回もノーベル文学賞を獲得したのに対して、中国人はいまだに獲得したことがない→ノーベル賞の評価のあり方に問題があると理解。


原因2:中国人は現状に安住するが、日本人は絶えず進歩を求める


・日本企業は製品のモデル・チェンジを積極的に行っている。現在、一部の中国人が日本製品に対するボイコットを主張している。中国人はひたすら日本製品のボイコットを主張するが、いかに中国製品の品質を向上させるかについては、何の方策も捻り出せないのである。


原因3:中国人は私利私欲ばかり追いかけるのに対し、日本人は滅私奉公の心を持っている


・中国人は私利に対して非常に敏感。中国の国有企業も日本の企業も「大鍋飯」(親方日の丸)に特徴付けられるが、日本の場合、それが全員に豊かな生活をもたらしたのに対して、中国の場合、揃って貧乏になってしまった。日本人は結果に関係なく一生懸命に働いている中国共産党が掲げている滅私奉公を原則とする「大鍋飯」は、結局、行き詰まってしまったのである。


・中国人の世界観は、「自分の利益しか考えず、困難がある時は他人に犠牲になってもらう」。これに対して、日本人は滅私奉公の精神を中国人よりはるかに強く持っている。日本軍が戦うとき、士官の死亡率は非常に高い。なぜなら、日本の士官達は普通の兵士より前に進んでいるからである。日本軍の勇敢さの理由の一つはここにある。中国軍の場合、士官が最も後ろに隠れ、銃を構えて兵士達に前に進むように命令するだけである。「目先の利益を追いかけて、結果的に、大きな損失を被る」ということである。


・現在、中国の大学生達はひたすら海外に行きたがり、貧困から抜け出そうとしているが、中国本土に残り、中国人全体を貧困から脱出させるという責任を担おうとする者は少ない。1950年代、日本はアメリカに大量の留学生を派遣したが、当時のアメリカの生活水準が日本よりはるかに高かったにもかかわらず、学問を修めてから帰国しない日本人は極めて少なかった。戦乱に遭うたびに、中国人は各種の文化財文化遺産を盗みだそうとしている。日本では第二次世界大戦当時、空襲で多くの名所旧跡が破壊されたが、その隙を見て文化財文化遺産を盗もうとする人は殆どいなかった。日本人の祖国に対する献身の精神と責任感は、中国人にとって理解しにくい。


原因4:中国人は内部闘争を好むが、日本人は一心団結している


・あらゆる集団には競争と団結の両面がある。しかし、中国人は集団内部の競争を闘争へと転換させることを好んでいる。かつて、中国人同士の闘争が中国にもたらした被害は、外国の侵略によるものをはるかに超えている。中国人は小さな頃から他人を信用しない教育を受けてきた。政治運動が訪れるたびに、中国人はお互いを疑い、他人の秘密を暴露あるいは密告する。場合によっては、自らの利益のために他人を犠牲にすることも辞さない。


・日本人の間にも内部の闘争はある。しかし、それには限度があり、共同の利益が損なわれるまでには発展しない。これに対して、中国人の内部闘争は留まるところを知らない。自らの敵を倒すには、中国人は異民族あるいは外国人の力を借りてでも、その目的を実現しようとする。中国人は、外部にいる共通の敵より、内部の敵をやっつけた方が重要だと思うため、国を裏切る者が大勢いる。


・日本人は戦争捕虜を虐待することで有名であるが、同胞を虐待あるいは迫害するという話は聞いたことがない。中国人は外国の捕虜に対して、非常に友好的である。共産党と国民党の内戦で捕虜になった兵士達の運命は非常に悲惨なものであった。中国の教科書には、「中華民族平和を愛する民族である」と書かれている。文化大革命での内部闘争を経験してきた中国人は、「中華民族が平和を愛する民族である」という表現に対して、疑問を持っているであろう。


・日本企業は日本国内においては激しい競争を展開しているが、一旦海外に出ると、お互いに協力し合う傾向が見られ、海外市場を獲得するために激しい内部闘争を行う現象は殆ど見られない。これが日本の輸出が絶えず黒字を保つ理由の一つでもある。


一人一人の日本人はたいしたことはないが、しかし、日本人が10人集まると状況が一変する。ばらばらである中国人は、結局、団結力の強い日本人との競争に勝てないのである。このように、民族性は決して短期間で形成されたものではない。


原因5:中国人は忘れがちであるが、日本人は執着心が強い


・日本人が新年の初詣に靖国神社を参拝することは、戦犯を偲ぶもので、軍国主義復活の兆候であると、中国国内では絶えず批判の声がある。日本人には、昔国家に命をささげた「先祖」達に対する感謝の気持ちがあることを物語っている。自らの祖国に命を捧げた先祖をすぐ忘れてしまう民族には、強大な民族集結力が永遠に訪れないのである。


・戦後、日本は巨額の資金を投入し、かつて激戦が繰り広げられていた太平洋の島々に残された日本兵の遺骨を日本に持ち帰り、埋葬している。中国人は絶えず日本に侵略された歴史を忘れるなと言い張るが、実際、大多数の中国人はもはやその事実を忘れかけている。中国の大学生が日本留学を試み、少女ができるだけ日本人との結婚を望み、そして農民達が相次いで日本に密入国を図る現状からも、中国人の日本に対する憎しみの度合いを推し量ることができよう。TOEFLの試験を受けてアメリカに行きたがる人数は減るどころか、むしろ増加していることも、中国人が歴史を忘れがちであることを示す一例であるといえる。


・最後の問題:果たして中国は日本に追いつけるのか


日本人と接触したことのない中国人達は、日本人に対する一種の「先入観」を抱えている。それは、日本人が非常に特殊な民族であり、野蛮で心黒いというものである。自分の罪をなかなか認めようもしなければ、謝罪も拒んでいる。また中国人を特に軽視する上に悪意も持っている。さらに、機会さえあれば中国人に恥をかかせ、中国を滅ぼし、中国人を奴隷にしようと考えている、と思いこんでいる。中国人は日本に追いつくことをいつも夢見ているが、日本人の優れた所を真正面から評価しようとも、そして自分の弱点も認めようともしない。


・確かに日本人にも多くの短所と問題がある。しかし、もしわれわれが日本人の短所だけを強調し、絶えずそれを批判し、色めがねで日本を観察しても、日本の発展になんら影響も与えないだけでなく、逆に自分の視野を狭くしてしまったのである。昔、中国人はソ連アメリカを帝国主義として多くの悪口を言ってきたが、相手を懸命にののしった結果ソ連アメリカの実力どころか、むしろ自分の国力を削減しただけであった。


・日本人はアメリカに敗れたことを自らの恥であるとみなし、逆に中国人は日本に敗れたことを日本の恥であると考えている。実は、日本になかなか追いつけないという事実は、まさしく中国人自身の恥なのである。自分に言い訳を求める手段として日本に批判を展開する人々は、中国人の自尊心を満足させるだけで、中国の発展と進歩になんの役割も果たせないのである。


・日本人は非常に謙虚で勉強好きで、絶えず進歩を求め、そして滅私奉公の精神を持ち、忍耐強く、粘り強い民族で、世界で最も優れている民族の一つである。中国人が日本に追いつけないのは、結局、中国人自身の抱える問題があまりにも多すぎることにある。


*原文は中国語。和文の掲載にあたり著者の許可を頂いている。
(2003年6月16日掲載)