ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

『民間防衛』は精神心理から

今後は一切、誰からの不条理にも関わらないことに決めた。ただでさえ負担の多い毎日に加えて、次から次へと周囲が問題をわざわざ作っては騒ぎを起こす。相談して素直に助言に従い、早めに順序立てて事を行えば何事もスムーズにいったはずの単純な話なのに、わざと引き延ばして、妙な主体性を発揮して間違え、あえて反対のことをして負担を勝手に担わせ、こちらのスケジュールを掻き乱して喜ぶ。
どうもこの二十年間、日本は徐々に途上国に向かって邁進しているとしか思えない。腹立たしいのは、そういう個人の存在が社会を少しずつ汚染しているからだ。時間を盗む。人のお金の割り当てを取り上げる。エネルギーを消耗させる。計画や予定を壊す。騒ぎを起こして人のせいにする。
自業自得。自己責任。甘ったれるのもいい加減にせよ。ここから一刻も早く出て行って欲しい。金輪際、関わってくるな。
少しでも考えてみよう。我々双方の家系を辿れば、どちらも少しはしっかりした人材を出していたのだ。その恩恵に預かって私達が存在することができるのだ。それを思えば、狭く身勝手な独りよがりの考えで迷惑を撒き散らし、文化程度を下げ、社会に汚染を広げることが、どれほど罪深いことか、少しでもわかるはずだ。
先日、入手した『あらゆる危険から身をまもる民間防衛』の本は(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20160316)、その意味で非常に気持ちが良かった。私の理想や気質にピッタリ合致する。これこそが、求めていたものだ。まるでカール・ヒルティの『幸福論』(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20141226)を地で行く思想である。
本書は、スイス連邦内閣の要請によって連邦法務警察省が発行したものである」(p.3)と内表紙にあり、訳者あとがきには、「本書は、スイス政府により、全国の各家庭に一冊ずつ配られたものである」(p.315)と書かれているが、Miles-Verlag(Aarau)出版(1969年)から東京の原書房編集部が翻訳して、1995年2月に新装版として発行したものである。なお、「第二次大戦中、ヒットラーをしてついにスイス攻撃を断念せしめた実績」(p.318)とされている。

・わが国民はよく働き、われわれの商品は世界中で歓迎されている。「スイス製」というマークは、優秀な商品の代名詞ともなっている。わが国の威信は、勤勉な全国民の正直さを基礎としている。われわれの清潔さ、規律正しさ、相互理解の精神、政治情勢の安定などが模範とされることも、稀ではない。(p.19)
・国防はまず精神の問題である。(p.20)
・精神的な防衛においては、われわれの独立の意志を弱めようとする外国のイデオロギーの宣伝攻勢に抵抗できるようにするために、正しい情報を国民に提供するように心がける。(p.31)
・国民に対して、民族的な価値に対する正しい認識を持たせ、それを深めさせるように努力する。(p.31)
女性の果たすべき任務と責任は、きわめて重要である。(p.32)
働く所はたくさんあるが、そういう所で働けば、それだけ男子を戦闘や歩哨勤務など、第一線にまわすことができる。(p.33)
・買いあさりは、すべての人が充分な資金力を持っているわけではないから、反社会的な行動として、これを非難しないわけにはいかない。(p.35)
・買いあさりに加わることは、自分の社会連帯意識の低さ、つまり、自分勝手なことをしたのでは社会が成り立たないという意識が欠けていることを、暴露するだけでなく、自分が有事の際の備え、貯えを怠っていたことを証明するにほかならない。(p.35)
・スパイやサボタージュの取締り(p.41)
自助の精神の重要性(p.65)
・原爆に対する防禦の用意を完全に行なっている民族だけが、このような圧力に抵抗することができるのだ。(p.73)
・敵は至る所に出現する。あちこちに裏切者が現われるだろう。(p.110)
・秩序維持に当たり、略奪者などを取り締まる。(p.115)
無計画に事を運ぶな。状況判断を行なえ。正確に判断して行動せよ。(p.125)
・敵の使う手段としては、陰険巧妙な宣伝でわれわれの心の中に疑惑を植えつける。われわれの分裂をはかる。彼らのイデオロギーでわれわれの心をとらえようとする。(p.145)
・最も巧妙な宣伝が行なわれる。これにだまされてはならない。(p.145)
素朴な人道主義に身をまかせることは、あまりにも容易なことである。偽せものの寛容に身をあやまると、悲劇的な結末を招くであろう。敵の真の意図を見抜かねばならない。(p.145)
・明確な考察、強固な意志、犠牲的精神、これが必要になる。日常茶飯事における規律ある行動が特に重要である。(p.149)
・幻想を抱いてはいけない。(p.151)
・敗北主義に陥らぬこと。そして徒らに恐れないこと。(p.151)
・わが国の自由と多様性に対応して、宣伝と、異質のイデオロギーに対する対抗策も、また多様で自発的である。家庭、教会、学校、政党およびその他の組織、責任ある新聞、ラジオ、テレビは、各個人とともに、心理的国土防衛のにない手である。(p.154)
・スイスの教科書の内容を、イデオロギー体系的に説明する必要がある。わが国内でも、敵国の論客や煽動者に立ち向かえるように弁証法をあやつることのできる人を養成しなければならない。(p.162)
・宣伝に立ち向かうのに、同じたぐいの反宣伝を行なう必要はない。左右の全体主義イデオロギーには、思想の自由をもって対処すべきである。(p.163)
・わが国家は、自由とキリスト教の上に成り立っている。(p.163)
・スイスで言う心理的国土防衛とは、教条的訓練ではなく、各人の判断力と完全な責任感を養うことである。全国民、政党、教会、精神的・文化的団体のする仕事、各人のする仕事なのである。両親、養育者、教師、ジャーナリスト、作家、芸術家、これらの人々は、スイス精神を国民に植えつけ、自己主張の意志を強化しなければならない。(p.163)
買占めは、すべて処罰する。(p.165)
・利己主義者たちは、ひともうけしようと企らんでいるかもしれないが、百貨店も一般の商店も、彼らに大量の品物を売らないから、その企ては断念しなければならない。(p.166)
・敵は、われわれの内部における抵抗力を挫折させるための努力をしている。わが国民に偽わりの期待を与えて欺むこう(ママ)としている。われわれをスパイし、わが国政府に反対する世論をあおり、われわれの制度を批判し、ときには、おどかし、ときには、取り入ろうとしている。われわれの批判精神、判断力は、きびしい試練にさらされている。(p.175)
・われわれの義務は、断固たる態度をとり、嘘を言いふらさないことである。新聞、テレビ、ラジオの義務は、客観的に報道することである。それによってのみ真実が取り戻される。(p.175)
・あらゆる敗北主義的ニュースを警戒せねばならない。(p.179)
自制することを学んで、われわれの足下に仕かけられたワナに陥らないようにしよう。(p.179)
・沈黙することのできない者は、国の利益を害することになる。沈黙も、国に対する奉仕である。(p.179)
・沈黙することを心がけよう。慎重さは、戦時においては特に美徳である。沈黙することを心がけることは、国家防衛に協力することである。(p.181)
・用心し過ぎるということはないのである。(p.184)
妨害工作は、国民の士気を衰えさせると同時に、国の正常な活動を麻痺させることができる。冷静を保って敵の手にのらないことが大切である。(p.185)
・スパイや妨害行為によって国の安全を害し、兵士や民間人の生命を危うくする者は、すべて死刑に処せられる。(p.186)
・頑張るということは、いつも朗らかであり続け自分の周囲に信頼を与え、お互いに助け合い、隣人と試練を共にするということでもある。我々は、何者もわれわれに打ち勝つことができないくらい強力である。(p.191)
・規律を守れ。強い抵抗の意志を持て。宣伝のワナにかからぬよう注意せよ。(p.209)
・軍隊は、その背後に国民の不屈の決意があることを感じたとき、初めてその任務を完全に遂行できるのだ。(p.211)
・これと矛盾することは、すべて外国からの宣伝行為であり、インチキであり、ワナである。(p.216)
・孤立した行動は何の役にも立たない。それは無用の報復を招くだけである。(p.218
自分の判断でこのような行為を行ない、あるいは行なおうとすることは、非合法な行為である。(p.219)
・われわれを滅亡させようとしている者に乗ぜられないように。これらの情報はにせものである。放送が妨害されたとき、知らない声で話しかけてきたときは、警戒しよう。(p.221)
・敗北主義と平和主義/愛情をよそおう宣伝/外国の介入(p.225)
・カムフラージュされて、さまざまの姿で、こっそりと国の中に忍び込んでくるのである。そして、われわれのあらゆる制度、あらゆる生活様式をひっくり返そうとする。暴力を用いないで目的を達する。絶えず警戒を怠ってはならない。われわれの道徳的な力、抵抗の意志によるほかない。(p.227)
・国を内部から崩壊させるための活動は、スパイと新秩序のイデオロギーを信奉する者の秘密地下組織をつくることから始まる。この地下組織は、最も活動的で、かつ、危険なメンバーを、国の政治上層部に潜り込ませようとするのである。彼らの餌食となって利用される「革新者」や「進歩主義」なるものは、新しいものを待つ構えだけはあるが社会生活の具体的な問題の解決には不慣れな知識階級の中から、目をつけられて引き入れられることが、よくあるものだということを忘れてはならない。数多くの組織が、巧みに偽装して、社会的進歩とか、正義、すべての人人(ママ)の福祉の追求平和というような口実のもとに、いわゆる「新秩序」の思想を少しずつ宣伝していく。この「新秩序」は、すべての社会的不平等に終止符を打つとか、世界を地上の楽園に変えるとか、文化的な仕事を重んじるとか、知識階級の耳に入りやすい美辞麗句を用いて....。不満な者、欺かれた者、弱い者、理解されない者、落伍した者、こういう人たちは、すべて、このような美しいことばが気に入るに違いない。(p.228)
・これらのインテリたちは、本当に非合法な激しい活動はすべて避けるから、ますます多くの同調者を引きつけるに違いない。(p.228)
・敗北主義−それは猫なで声で最も崇高な感情に訴える。−諸民族の間の協力、世界平和への検診、愛のある秩序の確立、相互扶助−戦争、破壊、殺戮の恐怖.....そしてその結論は、時代おくれの軍事防衛は放棄しよう、ということになる。(p.232)
・新聞は、崇高な人道的感情によって勇気づけられた記事を書き立てる。学校は、諸民族との間の友情の重んずべきことを教える。教会は、福音書の慈愛を説く。この宣伝は、最も島東部べき心の動きをも利用して、最も陰険な意図のために役立たせる。(p.232)
・敵はわれわれの抵抗意志を挫こうとする。そして美しい仮面をかぶった誘惑のことばを並べる:核武装反対 それはスイスにふさわしくない。(平和擁護のためのグループ結成の会)平和、平和を!平和のためのキリスト教者たちの大会 汝 殺すなかれ 婦人たちは、とりわけ戦争に反対する運動を行なわなければならない。(p.234)
・たとえその宣伝文の中に、聖書の文句が引用されていようとも、できないことだ。(p.235)
・わが国に旅行者を引き寄せ、彼らにわれわれの優越性を納得させよう。これらの「文化交流」は、事実は一方通行としなければならぬ。科学の面では、できるだけ多く受け取り、少なく与えるようにしよう。(p.236)
革命闘争の組織図:国際組織 防衛意欲を崩壊させるためのもの。平和組織、婦人、青年、学生、人道主義的相互扶助連盟など。(p.247)
社会進歩党のリーダーたちは、あらゆる手段をもって労働者の団体や組織に浸透をはかり、労働者の不満をあおって、いろいろな要求をさせ、混乱を起こそうとしている。われらスイスの労働者は、外国勢力の指揮の下に行なわれるこのような策謀に、決して乗ぜられてはならない。(p.253)
全体主義諸国による大規模な"平和攻勢"において、彼らは、スイス国民の幸福を願い、また、人類の、より一層の幸福と安全のために、われわれと協力しようと言っている。すべてが結構ずくめである。(p.267)
・われわれは、外国からの働きかけに耳をかしてはならない。われわれの義務は明確である。すなわち、国内の秩序を維持し、外国に対して独立を守ることである。われわれは、他国に追随しない。(p.269)
岩のように固い意志を持つ必要があり、その意志が強固であるときにのみ、われわれは持ちこたえることができるのである。(p.271)
最悪の場合を想定しておく必要があるのだ。(p.272)
黙っていると敵のやったことに同意したものと思われるかもしれないから、占領国軍隊の犯した過失は、すべて記録しておこう。(p.285)
底意のある出版物が大量に波のように国内にあふれ、敵のイデオロギーは、ラジオを通じて、また、テレビの画面から、一日中流れ出ていく。(p.289)
・これらのインテリは、占領前においては最も進歩的なグループに属し、"新体制"への統合をもっぱら主張していたのである。したがって、彼らは、占領軍によって特に優遇されたが、日ならずして彼らは、自分たちに残されている自由なるものは、目を閉じて全体主義イデオロギーに奉仕することだけである、ということを知った。(p.290)
・歴史を学ぶとき、われわれは、楽観主義に対して警戒的にならざるを得ない。最悪の事態を予想しておくほうがいいことを知っている。(p.300)

(部分抜粋引用終)
興味深いのが、避難所や緊急時の荷物リストの中に、「聖書」(pp.56, 302)と『民間防衛』の本(pp.109, 304)が含まれていることである。
原書は、冷戦期の学生運動時代に発行されていることから、恐らくは旧ソ連共産主義に端を発する社会主義社会民主主義の流れを警戒して書かれたものであろうと想像される。