ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

血は争えないもの

http://www.travelvision.jp/smart/news/detail.php?id=14518
「メリディアン・ニューヨーク、今後は日本マーケットのシェアを高める」
2003年06月13日(金) 00時00分


 ル・パーカー・メリディアン・ニューヨークの総支配人スティーブン・パイプス氏が来日、現在の状況や今後の展開を語った。メリディアン・ニューヨークの平均客室稼働率はこの数年、83%程度を維持するという好調さを保つ。「9.11事件直後は一時的に落ち込んだものの回復は早く、イラク戦争新型肺炎(SARS)の影響で3月、4月は若干落ちたものの、5月、6月は持ち直している」(パイプス氏)という。また、昨年の日本人の利用者は対前年比20%増であったが、総宿泊者数に占める全宿泊者数の3%とシェアはまだ低いことから、パイプス氏は「今後は日本マーケットのシェアを高めたい」と語り、同ホテルの特徴を積極的にアピールする意向だ。


 ル・パーカー・メリディアン・ニューヨークの特徴の一つは、レストラン施設の充実があげられる。ニューヨーク・マガジン社から「ニューヨークでの最高の朝食」賞を授賞した「ノーマズ」、路上に入り口を持ち、ニューヨークの雰囲気を満喫できる「セッピズ」、ホテルの洗練された雰囲気とは反対にラフなスタイルでくつろげるバーを備える。このことからお客の様々な用途に応じて使い分けが可能であり、「レジャー目的の旅行者にはニューヨークの雰囲気を堪能してもらい、またビジネス・トラベラーには仕事後のリラックスする時間を提供できる」(パイプス氏)など、目的志向の高いFIT旅行者や、仕事とプライベートをうまく切り分けるビジネスマンを中心に訴求していく予定だ。

ついに見つけました!ダニエル・パイプス先生の弟さんに当たるスティーブン・パイプス氏です。1997年のインタビューで、「知的でペースの速い堅苦しい家庭でした」「弟が一人いますが、そのような特殊な雰囲気を嫌い、家を出て行きました(「違った進路を取った」という意味です)」とおっしゃっていたのが記憶に残っていました。(どんな方なんでしょう?)と興味津々。
実はコーネル大学を卒業され、サンフランシスコやバンクーバーアテネなどでホテル経営の実務を積まれて、今やル・パーカー・メリディアン・ニューヨークの総支配人でいらっしゃいます。道理で、ダニエル先生もトルコ航空のお話をお楽しみだったというわけですね!(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130214
堅苦しい学究的な話題ばかりでなく、時には女性ファッション雑誌から飛び出したような、くだけた話題もウェブサイトに掲載したりメーリングリストで流したりされているので、(奥様の影響かしらんね?)と密かに想像していましたが、蓋を開けてみれば何のことはない、家族ぐるみで各人の仕事を分担して、各自の得意なところで才能をのびのびと発揮されていることが判明。
このホテル、一泊4万円以上はするようですから長期滞在はやや無理ですが、コメントをざっと見た限りでは、洗練された雰囲気で食事がおいしくて、立地条件も満点で...といった上質のホテルのようです。
お祖父様がポーランドで同化ユダヤ人のビジネスマン(兼ポーランド軍人)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120505)として活躍されていたそうですから、相当に恵まれた情報家系だったのでしょう。血は争えないというのか、ダニエル先生の全活動は、ビジネス感覚、軍人感覚、学者感覚、国際感覚、実務感覚など、さまざまな分野から取り込んだ成果でもあるというわけですね!だから魅力的でおもしろくて、つい引き込まれてしまうという...。
しかし、スティーブン氏にとっては、2003年に来日された時、お兄様が日本の中東学者達の間でネガティブに書かれていたことを、どこまでご存じだったのでしょう?あるいは、賢者の知恵で黙っていらしたのか、知らない振りをされていただけだったのか....それにしても失礼な話です。せっかく、日本顧客も取り込もうとサービス精神に満ちていらっしゃるのに、一部の表面的で囚われた見方だけで、そのお兄様を悪くいう日本人集団が存在したなんて...。
ティーブン氏は、お兄様より結婚も早く、順調に人生を歩まれてきた印象を受けますが、中東イスラームと係わってさえいなければ、ダニエル先生だって、確実にもっと安定して輝かしい順風満帆の日々だったのではないかと思います。
お父様のリチャード先生の2003年のインタビュー映像を見ていたら、何と途中で、同じ番組に1997年にご登場されたダニエル先生が、一部クリッピングで出演されました(http://pub.ne.jp/itunalily/?search=20519&mode_find=word&keyword=Vixi)。政治的には保守で、それはお父様も息子さん達も同じだと断言。
もし私がアメリカまでご挨拶にうかがえる日が来たならば、訳者のよしみで、ル・パーカー・メリディアン・ニューヨークのラウンジでオレンジ・ジュース一杯ぐらいはサービスしていただけるでしょうか?夢は見るものかなうもの、と言いますから、せいぜい...。

他にも、“Leaders”誌に毎年掲載されていたインタビューを見つけました。確かにホテル・マネジメントをお仕事にされているだけあって、お兄様のダニエル先生の堅苦しく重いインタビューとは打って変わって、聡明な人生哲学がありありと現れている楽しい読み物でした。印象的な言葉を拙訳して、ポイントのみ挙げます。

・魅力的なニューヨークには楽観的
どのようにレートを割引くべきではないかを語るのは、象牙の塔に座っているアカデミアだけだ。
二つ星ホテルと四つ星ホテルの間の相違は劇的に縮まっている。
・私は、隣のテーブルにいる誰かと会話も交わさずに、夜のレストランで食事をしたことがない。
・私には、革新し創造し変化を作る自由性が与えられているのみならず、そうするように励まされ、押されてもいる。私には、多種多様な資産を監督する能力のみならず、獲得のためにそのような資産を探すことに関与する能力もある。
・私達は資本主義の市場経済社会にいる。
・会社のモットーは「常にハッピーであれ、決して満足するな」。
・私達は恵まれている。私達は決して自らをリスクに置いたことがない。
いつも新たなことのためにブレインストーミングをしている。
一貫性が私達の情熱だ。
・サービスを改善することは誰にとっても終わりのない課題だ。どのように自分のサービスと製品を見せるか。人と異なっていなければならない
・ホテルを改修した時、お客から4ページの手書きの手紙を受け取った。どれほど新しいデザインが嫌いかが綴られていた。私はその手紙が大好きだった
・私達を愛するか憎むかのどちらかで、グレー・ゾーンに陥ることは望まない
・私は極度に幸福だ。一つの会社に19年勤め、長期的に、価値と忠誠さと談話と不合意と討論と識見を考えている。喜んでリスクを取ろうとしている。官僚制なきところで政治はない。毎日、仕事をするのが楽しみだ
・「常に疑え、決して満足するな」。
・顧客の期待値にかなうまで生きているか、自分の弱点を見よ、改善しようとせよ。
積極的な態度を持てば、成功するのにあまり困難ではない。
・ホテルでは、幸せな人である必要がある。
・現実は、指令に沿って働く準備をし、楽しまなければならないということだ
・私達のホテルで人を雇う際、そのプロセスには時間をかける。雇用決定は、人間性だ。博士号は必要ない共感する心、効率的で友好的であること、人格を持っていることが大切。誰と接しているのかのセンスのある人。
・私はとても幸運だ。それが好きな人はあまりいないからだ。
落ち着いているのは私の性質だ。

赤字の部分は特に、お父様のリチャード先生やお兄様のダニエル先生の哲学思想をどこか彷彿させるところがあり、何ともおもしろくてたまりません。まさに訳者冥利に尽きます!