ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

上に立つ人の資質と力量

ちょうど一週間前、フェイスブックに、以下のまぐまぐニュースの記事を要約して掲載した。

https://www.facebook.com/ikuko.tsunashima


7 December at 08:22


https://www.mag2.com/p/news/378812


・国、自治体は修繕費を積み立てておくこともせずに、次から次へと政治がらみの公共工事に税金を注ぎ込んできた
・日本の市場を虎視眈々とうかがうフランスのヴェオリア社、スエズ社、イギリスのテムズウォーター社といった水メジャーの参入
・水道料金の高騰
フランスのパリでは、85年から09年のあいだに水道料金が265%も上昇した。
大阪市は水道の一部業務をヴェオリア社に委託、浜松市などは下水道の長期運営権を同社に売却した。
・全体をまとめるコーディネーター機能が不足している。
自治体は実績のあるフランスやイギリスの企業を選ぶ可能性が高いだろう。
・海外では、いったん民営化したものの、水道料金の高騰や、コスト削減によるサービス低下を招いたため、再びもとの公営に戻すケースが相次いでいる。
・なぜ、命の源泉である水の供給まで民間企業の手に委ねなければならなくなったのか。
厚労省によると、高度成長期につくった全国の水道管のうちすでに1割は耐用年数を超え、老朽化した管路を今後130年以上かけて回収していかなければならない。
竹中平蔵氏がいまだに主導している民営化、規制緩和路線による職員数の削減、団塊の世代の退職などで、技能者はすっかり減っている。
自然に恵まれた日本の豊かな水が、世界のウオータービジネスの渦に巻き込まれるきっかけとなるだろう。

(引用終)
なぜ、この記事を要約掲載したか。理由は以下の二つ。
(1)今秋まで20年と10ヶ月暮らしていた大阪府の小さな町は(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20070902)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20110927)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20180624)、長らく名水百選を誇っていた(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20161121)。実は、ある時期から府営水道が数%混じっているらしいのに、最近になって「みづまろ」君の「離宮の水」としてブランド化するという動きが出てきた。
(2)主人の勤務先の都合で、今秋から住むことになった兵庫県の某市は、かつては酒造で栄えた城下町でもあり、元来、水質は良かったはずである。そこで、(1)との兼ね合いで、来年度の市の水道モニターに応募してみた。
生きとし生けるもの全てにとって、とても大切な命の水。少しは勉強をしなければ、と思った次第である。
ところで、元官僚の八幡和郎氏が(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/archive?word=%C8%AC%C8%A8%CF%C2%CF%BA)、早速、異論を出されたので、以下にその要約を。

http://agora-web.jp/archives/2036139.html


「世界の趨勢は水道の再公営化だというデマ」
八幡 和郎
2018年12月13日


・12月6日に改正水道法が衆院本会議で可決され成立したことで、水道事業の民間委託が促進されることになる。これを受けて、「命にかかわる水は公営であるべきだ。まして外資なんてとんでもない」「水道料金が倍になる!「海外では再公営化の流れにあるのに逆行」とかヒステリックに騒ぐ人がいる。


・お笑いは、共産党を始めとする左翼とネトウヨなど国粋主義者が共闘している。しかし、こんな議論は、滅茶苦茶であることが詳細を検討するまでもなく分かる。


・水が命にかかわるとかいうが、それなら医療、薬品、食品などなんでもそうではないか。私立病院や診療所、民間製薬会社、農業、食品産業などみんなかつての共産主義国のように公営化しなくてはならない


・フランス企業が運営したら、水に毒をいれるとか心配するなら水道局の職員にテロを企む反日分子でもいないか心配したほうがよい。水道局にはフランス人よりは相対的に心配に値する外国籍の職員だっているのではないか。


・公営にしておくと、値上げが政治的理由で難しいというだけのことで、それを税金で補填するか、それとも、将来への投資を怠ってしのぐかという傾向があるというだけのことだ。


・海外では再公営化の流れがあるというのなら、あらたに民営化された数と再公営化された数を比較しての話でなければならないが、そういう数字は見たことない。


・水道に限らずあらゆる役所の仕事も公営事業も、アプリオリに公営、民営のどちらであらねばならないということはないと思う。


国鉄でも国労があんなにストばかりしたり、合理化を邪魔しなければ民営化しなくてもよかったかもしれない。


地方公共団体の仕事のような場合には、選択肢が広い方がいいというのは当然のことだ。今回の改正は、別に民営化を義務づけるものでないわけで、地方自治体ごとに広い選択から選べることになったのだから、結構なことではないか。


・水道については、通産省の工業用水道の運営や水処理産業の育成など水問題全般を所管する工業用水課の課長補佐を1980年代にやっていたのだが、そのころから、技術水準でかなわないものだから、日本のメーカーや水道局の職員など水道マフィアが屁理屈つけ嘘八百つけて世界一と定評があったフランスの水道産業の参入を妨害していた。


・日本の水道関係者の技術や経営がそんな立派なら海外で引く手あまたのはずだが、そんなことはない。フランスの水道産業は、世界的に信頼をそのころから得ている。


日本の水道が素晴らしいなどと、いうのは、伝説だ。海外の水道の水は飲めないなどというのもだいたい伝説で、たとえば、フランスでも半世紀以上の前のことだ。その改善を支えたのが優れた水産業の発展だった。


・むしろ、日本の水道水のほうが問題が多く、浄水器を取り付けたり、ミネラルウォーターをつけざるを得ないのではないか。


・パリの水道の話などは、私も5年間、パリ市民だったからあまりにも馬鹿げた議論に呆れるばかりだが、また、回を改めて論じたい。

(引用終)
....とのことです。
余談だが、この度、転居をきっかけに、いろいろなことに気づいた。
前住んでいた町の今の若い町長さんは、なぜ選出されたのか、私にはよくわからないのだが、ツィッターアーレントレヴィナスサルトルを並列引用する等、首を傾げたくなるような記述が目立った(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20180905)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20181109)。有名人の名言だからと思って、安易に孫引きしたのだろうが、そこで教養が問われよう。
既に住民票がないのだから、今ここで、はっきり指摘してあげますが、「サルトルなんて、今時、相当に遅れていますよ!」(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20090327)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20121007
私の学生時代でも、実存主義だと教科書に紹介はされていたものの、本当に好んで読んでいたのは、フランスにあこがれている人や、共産主義社会主義のシンパだった。私がサルトルを初めて一冊だけ読んだのも、今年になってからのことで、それはユダヤ人に対する彼の思想を知るためだった(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20180428)。
もし、ずっとあの町に暮らすことになっていたら、恐らくは無知から(だと思われるが)、このような政治思想を滅茶苦茶に平気でツィッターに掲載するような町長さんの指示に従うことになり、知的に圧迫される上、精神的な負の影響が増したことだろう。
これは非常に重要なことで、町立図書館(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/archive?word=%C4%AE%CE%A9%BF%DE%BD%F1%B4%DB)で働く女性スタッフを採用する際にも、なにがしかの影響を与えるはずだ(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20171012)。端的に述べると、乳幼児をはじめとして、町民の知的水準を低下させ、偏向させることにもつながる。
今暮らしている市は、地理的な規模としては小さいのだが、文化活動が活発で、さすがは地元出身で元官僚の現市長さんが四選されただけある。上に立つ人は、視野が広く、教養豊かで、的確な判断が下せるような高い知性と、しっかりした実務経験を持っていてもらわなければ困るのだ。
かくいう私も、暮らし始めて2ヶ月半だが、知り合いもいないのに、もう市内の10の行事に参加した。全部、ほぼ無料だったのが凄いところだ。
例えば、生け花展や書道展は勿論のこと(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20181103)、図書館の一階フロアで歯科検診も受けた。
この「図書館で歯科健診」という珍しい取り合わせがミソで、親子連れ等、老若男女が大勢詰めかけていた。というのは、一人一人の歯の隙間に楊枝を差し込んで採取した口内菌の状態を、顕微鏡パソコンで見られる仕組みだったからだ。
私の前にいた小学一二年ぐらいの子供の方が、私より虫歯菌が活発にたくさんウヨウヨしていたのは、我ながら(勝った!)とニンマリ。私は、年齢の割に虫歯菌や歯周病菌等、少なかったようだ(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20110124)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20171214)。
ただの歯科検診ではなく、検診にまつわる俳句や川柳まで募集していて、受賞者の作品が張り出されていた。ここが違うんだなぁ.....(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20181121)。
その後は、階を上がって図書館カードを作ってもらい、館内をぐるりと閲覧できた。恐らくは、主催者側としては、このドッキングを密かに狙っていたのではないだろうか?
他にもある。行基菩薩と呼ばれる天平時代の高僧が、昔、この辺りの大きな池、溝、橋、用水、寺等を公共福祉事業として開拓されたのだが、生誕1350年の今年を記念して、市が主催した「行基さん巡りツアー」に、早速、加わった。11月3日の午前中、徒歩で三時間も、手作り資料を片手に案内していただいた。お陰様で、新参者なのに市内の重要な地域をガイド付きで一周することができ、見落としがちな古く小さな石碑なども、丁寧に解説していただいた。
その日の午後には、「行基さん」ゆかりのお寺で専門家から講演を聴き、その約二週間後には、図書館で「行基さん」に関する勉強会に出席。講師は、大学院で歴史学を専攻されたという市役所の社会教育課長(女性)。その四日後には、埋蔵文化財センターで、「行基さん」展示を見学。
これら一連の行事に関するレポートを簡単に文章化して、11月末には市立図書館に提出した。
レポートそのものは至極単純だが、提出前に、行基菩薩にまつわる本を図書館で数冊調べて複写したり、大学図書館も含めて、近隣の所蔵図書リストをノート12ページ分取ったりして勉強したことは、言うまでもない。
行基菩薩に関しては、実は前に住んでいた所にも関わりがある神社やお寺があり、成立年代としてはそちらの方が古い。だが、それに関する勉強会や講演会について、20年以上暮らしていても、記憶する限り、広報で知らされたことがなかった。ちなみに、引越し前に隣町で行基菩薩に関するテーマで講演を聞いた時には、100名ほどの人々が集まり、盛況だった(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20181126)。
蛇足だが、こちらは広報新聞の文字が小さく、かつ情報量が圧倒的に多く、とても役に立つ。
長岡京市もそうだったが、前に住んでいた町の広報は、せっかく冊子になったのに、文字が大きくて平仮名が増え、読める箇所が極度に減り、残念だった。子育てと老人介護ばかりが前面に出ていて、せっかくエネルギー満ち溢れる、学び働く世代(二十代から五十代)への知的刺激や向上心が、行政によって押しつぶされているような感覚があった。
町長さんが、いくら若いからと言って、災害援助や運動会や交流会だけに力を注ぐようなことをしていてはいけない。上に立つ人が町民と一緒になって水平に行動していると、いざという時、ぐらついてしまう。
図書館と言えば、既に書いたように、こちらでは自動貸借機を使って、一度に30冊も三週間まで借りられる(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20181126)。しかも、他の人による予約がなければ、自宅のパソコンで延長操作も可能である。返却は、市内のあちこちにボックスがあるので、近場を探して簡単に返すことができる。(私など、図書館までは自転車で15分ほどだが、返却は歩いて5分だ。)
つまるところ、図書館スタッフから、返却の催促をされる心理的負担が全くなく、細かいネチネチとした注意もなく、実に快適に図書館ライフを享受し、読書習慣が自然と身につく仕組みである。
これが可能なのは、まずは居住する市民の意識の高さと需要がある。
昔は、自分の努力次第で、暮らしの不便さは何とか克服できると思っていたが、こちらに来てみて、やはり環境は重要だと思った。
例えば、以前は日常の買い物にも往復一時間かかっていた。帰りの坂道が急勾配で、夏場には自転車を押して汗ダラダラ。(気分転換と足腰を鍛えるにはいい)と自分に言い聞かせていたが、それがいかに負荷をかけていたことか、今になって気づく。
バスの本数もどんどん減り、20年前にはあった各種のお店が次々と閉鎖されていった。つまり、高齢化に伴う人口減少である。
京都や大阪の中間に位置し、自然環境や史跡に恵まれているのだから、本来は、こんなはずではなかったのだ。新築だった頃、喜んで分譲を購入した人々は、恐らく「今後は地価が上がるから、今がお買い得」と説得されて決断したのだろうと想像される。
こちらは、10年前よりも人口が自然増も含めて上がっている。地価も、兵庫県内で唯一、下落なし。住みやすいと感じる市民の割合も85.4%と出ており、「元気印」ニコニコマークなのだ。
心配していた自然環境も、広大な公園がよく整備されており、歩けば近所に畑が結構残っている。山は遠くになってしまったが、朝は背広姿で自転車出勤する人々も多く、まずは健康志向と言えそうだ。
最も矛盾だと感じたのは、以前の町の福祉制度。
繰り返し書いてきたように、主人は結婚後一年で診断を下された特定疾患(指定難病)で、しかも進行性(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20160221)。町内には「お見舞金」制度があり、三十代の頃から毎月支給されていた。
進行性のために症状がどんどん進んで、高価だという薬も飲む量が増え、日常生活にも支障が出ているのは明らか。なのに、なぜか徐々に「お見舞金」が減額されていったのだった。引越し直前には、全額支給が片道のバス代相当までに減っていった。
勿論、その制度に依存して暮らしてきたわけではなく、特に支障があるわけではない。だが、完治に向かったので減額というならば理解できるものの、これから必要な経費が増えるばかりだというのに、逆行しているのだ。
しかも、毎年の書類の手続きは、年を追う毎にダラダラと不快な対応が目についた(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20180907)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20180910)。
引越し前後には、行政から「ここは福祉制度が充実しているけれど、兵庫県は厳しいから、今まで通りのサービスは期待できないですよ」と脅かされたが、豈図らんや、実はこちらの方が臨機応変、親切にテキパキ親身になってくださっている。
保健所でも、女性職員の咄嗟の機転で担当者とすぐに電話連絡がつき、「オフィスアワーを過ぎても、到着するまでドアを開けて待っています」と言ってくださった。指定難病のカードを大阪府から兵庫県に変更する手続きでは、「今日付で発行しますから」と、最大限、こちらの便宜を図っていただいた。
また、薬局が新しく決まった別の日に届け出をすると、本当に高価な薬代も「保険証を提示したなら、それは薬局に払い過ぎですよ」と、親切に教えてくださったのだ。
一昨日には、毎年恒例の献血のため(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20150121)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20180628)、住所変更を兼ねて、隣の市の献血ルームに初めて出かけた。きちんと病名や薬の細かなリストが分厚いファイルに列挙されていて、「念の為」と、過去の病歴や薬の使用例を詳しく調べていらした。それでいて、冷たい応対では全くない。
何というのか、大阪府は、よろず緩い割に、変なところで遅延や縛りをかけるような気がする。
全ては、上に立つ人の資質(才覚)と力量に依る。