ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

日本の文系大学の問題点

秋月瑛二氏が(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20160111)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20161129)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20180527)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20180528)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20180529)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20180616)、偶然にも昨日私が書いた内容(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20180708)と、部分的に連動するようなことを書いていらした。

以下に部分抜粋を。

http://akizukieiji.blog.jp/archives/1071581944.html


2018/07/08 10:00
1825/日本の教育・大学制度−池田信夫7/6ブログを契機に。


池田信夫の7/06ブログ掲載の資料によると、大学入学について「一般入試」、たぶん紙等での競争試験を受けて限定的な数の合格者が決定される方法、による入試方式での入学者数は、国立大学で83.1%、公立大学で71.6%、私立大学で47.9%らしい(2017年、旺文社調べとされる)。


・この「一般入試」以外は全て<裏口入学>というわけではないだろう。


・池田によると、「世界的にも一流大学は有力者や金持ちの子供が寄付金で入学するものというのが常識で、裏口入学は犯罪とは思われていない」。これはこれで興味深い、知見が豊かになる情報だ。


・一般入試以外に、池田の資料によると、公募制推薦入試、指定校制推薦入試、付属校・系列校推薦入試、AO入試、がある。


・現行法制上許容されている入学方法だと思われ、情実・コネ等を一切排除できないのかもしれないが、これらによる入学は「悪」ではないだろう。


池田信夫にクレームをつけるのが、今回の元来の趣旨ではない。そのあとの文章のかなり多くは、共感する。一文ずつ改行。


・「日本の(特に文系の)大学は、教育機関としての機能をほとんど果たしていないが、その取り柄は、すべての受験生が同じ条件で競争する大学入試によるシグナリングの客観性だった。非裁量的なペーパーテストが、労働者の質を示す情報生産機能を果たしていた。その点数が『人格』をあらわしている必要はない。


・一流大学の卒業生には天才はいなくても常識があり、退屈な受験勉強を長期間やる忍耐力がある。人格やコミュニケーション能力は面接でみるので、大学入試は学力(学習能力)だけをみればいいのだ」。


・「一流大学の卒業生には天才はいなくても常識があり」を除いて、ほとんど全く同感する。


・池田によると、これを文科省が「改革」しようとした。
 しかし、「入試が『人物本位』になり、面接のうまい学生が推薦で偏差値の高い私立大学に合格するようになった。彼らは人当たりがいいので営業には使えるが、学力がないので研究開発などのむずかしい仕事ができない」。一方、「国公立大学は裏口が少ないので人事の評価が高いが」、「私立文系の大部分はもはや学歴の意味をなさない」。


・この部分にはやや違和感がある。第一に、国立大学と私立大学の単純な二分があるように見える。たしかに、?では「大部分」とされているが。全私立大学と全国立大学について、このように簡単には言えないだろう。第二に、(ペーパー→)人物本位→人当たりよし→研究開発は困難、というのも、こう単純ではないだろう。


・かねて感じてきたのは、国公私立を問わず(これらによってあるいは傾向的な差違はあるかもしれないが)、池田信夫もかねてから指摘している「日本の大学」、「特に文系の」大学や学部のひどさだ。これは立ち入らないが、「文系」大学・学部の教師=教授たちがいかに生産されるかにもかかわる。50%近くの進学率となって、いまさら旧制高校的<教養教育>に郷愁を感じるのは時代錯誤だ。


・要するに、経済・経営・法学・歴史は<社会系>で、狭義の文学・哲学・外国語は<人文系>だ。


・<社会系>に問題がないわけでは全くないが、私が感じてきたのは、相対的には、狭義の文学・哲学・外国語という<人文系>の方がひどい、ということだ。日本での英文学、独文学、仏文学、ドイツ哲学、フランス哲学、あるいは英語学、ドイツ語学、フランス語学、等々々。


・唐突だが、現在のマス・メディア、出版系の企業、つまりは情報産業の(技術または経営の観点からではなく)表舞台に立っているのは、狭義の文学・哲学・外国語という<人文系>学部の出身者ではないか。


「文学・哲学・外国語」関係学部出身者こそが、戦後日本を奇妙なものにしてきて、きちんとした政策論・制度論をできにくくし、<精神論・観念論>的な論議を横溢させてきたように感じられる。


渡部昇一加地伸行、小川榮太觔、江崎道朗花田凱紀長谷川三千子。全て、歴史以外の文学部出身だろう(外国語学部を含める)。桑原聡を含む月刊正論の代々編集代表者、月刊WiLLの編集者の出身学部を知りたいものだ。


・<歴史学>は社会系学部として位置づけられず、<文学部>の中に多くは吸収されているために、その他の狭義の文学系等の悪い影響を受けているようだ。典型例は、歴史系だとかりにしても、平川祐弘。元々、この人は狭義の文学・哲学系かもしれないが。


・以下の者たちは、東京大学文学部仏文学科出身だ。大江健三郎 1935年生、鹿島茂 1949年生、内田樹 1950年生。<左翼系>メディア・雑誌の編集者にも、圧倒的に文学部出身者が多いように推察される。


・彼らは、教育公務員試験を除いて国・地方の公務員試験をほとんどは(たぶん)目指そうとはせず(司法試験はもちろん)、企業のトップ「戦士」にもなりたくない(または、企業の方が経済学部や法学部系を優先する)。かくして残るは<マスコミ>(放送・新聞のほか文藝春秋講談社等々を全て含む)だった、という人たちも多いのではないか。


・かなり単純化しているのは承知のうえだが、日本の<マス・メディア、出版系の企業、情報産業>はおかしくなっている


・法学・経済系は立派だ、などとは一言も言っていない。このことは、法学部出身官僚の劣悪化らしき様相を見ても感じられる。


・より大きな問題は、日本の大学制度、ひいては教育制度そのものだ。


・戦後にいろいろと変わってきた。例えば、1990年にあった諸銀行のうち、とくに都市銀行と言われたもののうち、今もなお名をとどめているのはきっとないのだろう。


・基本的な部分は変わっていない。種々の(大学入試制度も含む)「改革」がなされてきたが−ゆとり教育?、道徳の科目化?、小学校から英語?−根本的なところは変わっていないし、根本的なところから考え直そうという議論があることも、寡聞にして知らない。


・なぜか、それは戦後の<教育制度>または大学を含む<教育制度>によって「利益を受けた」と感じている者たちの方が多いからだと思われる。少なくとも、制度変更およびそのための議論に参画する者たちのほとんどは、戦後の<6・3・3・4制>と大学制度に「利益を受けた」と無意識にでも感じているからだと思われる。


・国立大学と私立大学の違いも、池田信夫も言及している「偏差値」や「ランク」も、今ある大学制度、ひいては戦後の教育制度・学校制度を前提にした話だ。


・既存の基本制度を超えて構想することのできる大人物は、日本にはいないのだろうか。

(部分抜粋引用終)

冒頭にある「世界的にも一流大学は有力者や金持ちの子供が寄付金で入学する」という話に関しては、「常識」かどうかは別としても、この寄付金入学のトピックは、「白熱教室」のサンデル教授の討論テーマの一つだったかと記憶する(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20101015)。
池田信夫氏の過去引用ブログは、こちらを(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20141225)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20160108)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20170310)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20180527)。
渡部昇一氏の過去引用ブログは、こちらを(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20141210)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20150327)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20150922)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20160203)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20170509)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20180414)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20180419)。
江崎道朗氏の過去引用ブログは、こちらを(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20160125)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20171204)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20171227)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20180414)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20180323)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20180527)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20180528)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20180616)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20180623)。
平川祐弘氏の過去引用ブログは、こちらを(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20160128)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20160724)。
大江健三郎氏は、こちらを(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/archive?word=%C2%E7%B9%BE%B7%F2%BB%B0%CF%BA)。
内田樹氏の過去引用ブログは、こちらを(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120425)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20141011)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20160229)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20171021)。
『月刊Will』については、過去ブログを(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20160624)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20160625)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20171021)。