ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

米大統領の対中政策

櫻井よしこ氏の最新コラムから(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/archive?word=yoshiko-sakurai.jp)。

https://yoshiko-sakurai.jp/2018/02/01/7249


2018.02.01 (木)
米大統領の対中政策を活用せよ」
週刊新潮』 2017年2月1日号
日本ルネッサンス 第788回


ドナルド・トランプ氏の大統領就任から丸1年が過ぎた。
・徹頭徹尾のトランプ批判には、いささか疲れる。ちなみに、アメリカでは「リベラル」という言葉は余りにも手垢のついた印象が強く、左の人々も、もはや自身を「リベラル」とは呼ばず、進歩主義者」(progressive)を自称することが多いそうだ。
保守的な「ウォール・ストリート・ジャーナル」(WSJ)から、進歩的な「ニューヨーク・タイムズ」(NYT)、「ワシントン・ポスト」(WP)までを読み較べると、左右関係なく、どのメディアもトランプ氏の性格分析や人物評価にかなりのスペースを割いているのが面白い。それだけトランプ氏の言動が予測し難いということだ


◎話題が突如、あらぬ方向に変わる。◎演説の最中に他の話題をさし挟んだり、聴衆の中に知人を見つければ呼びかけたりして一貫した話にならない。◎非常にあけすけに対象人物を侮辱する。◎説得されて考えを変えることもある。◎説得するにはトランプ氏の直感は正しいという大前提に立ち、実際には彼の考えとは正反対の助言をすると、その方向で考えを変えることもある。◎トランプ氏の指示を実行するのに時間をかけると、その間に考えが変わることもある。◎率直な助言には耳を傾ける。◎共和党の重鎮議員には国賓用の椅子を用意する。◎議員の子供にもエアフォースワンのロゴ入りチョコレートを与えるなど優しい。◎ゴルフコースで、どの木が枯れていて、どの木のどの枝を切るべきで、どの植物がどんな菌類に侵されているかなど、わかりにくいことを喋る
・トランプ氏が歴代大統領と較べて型破りであることは明確に伝わってくる。
・昨年12月にトランプ大統領が発表した「国家安全保障戦略」と、今年1月19日にジェームズ・マティス国防長官が発表した「国家防衛戦略」は明確な判断基準となる。「国家安全保障戦略」を現場の戦術に置き換えて説明したものが「国家防衛戦略」である。その内容は中国とロシアの脅威を言葉を尽くして強調するものだ。「中国はアメリカの戦略的競争相手で、彼らは南シナ海の軍事化を進めつつ、略奪的経済政策で周辺諸国を恫喝し続ける」「ロシアは国境を侵し、経済、外交、安全保障の問題で拒否権を用いて近隣諸国の利益を損ねる」。
・とりわけ中国への警戒心は強く、彼らは地球規模でアメリカの優位性を奪おうとしていると警告し、アメリカは打撃力を更に強める必要があると断じている。
・米国防総省は真の脅威は国際テロリスト勢力ではなく、北朝鮮の背後に控える中国だとして、中国に対してlethalな能力を持つべきだと言っているのである。オバマ政権とは何という違いであろうか。その現実認識は正しいのであり、日本にとっては歓迎すべきものだ
・トランプ政権の正式な戦略方針だ。これによって、アメリカは自動的に日本の側に立つなどとは到底言えないが、日米両国の戦略的基盤には、対中国という視点から共通項がしっかりでき上がったということだ。
WTO加盟から約20年、中国市場へのアクセスは未だに制限され、中国政府の介入は多岐にわたる。中国政府はアメリカ企業の最先端技術や知的財産の移転を強要する。中国政府は国家主導の経済体制を築いて、外国企業に不利な条件を課す。これらは悉くWTO加盟国には馴染みのない不適切な慣行である。このように厳しい非難を中国に浴びせたうえで、中露両国のWTO加盟をアメリカが支持したのは間違いだったと結論づけている。
・日本にとって大事なことは、トランプ氏の言葉ではなく、政権が打ち出す基本戦略を見て、中国に対する評価を共有することだ。具体的に問われるのは、「一帯一路」やアジアインフラ投資銀行(AIIB)へ参加するか否かということでもあろう。
・日本は、如何なる意味でも中国に加勢して、中国共産党主導の世界の構築に資するようなことをしてはならない
・トランプ政権の行動を見て、日本の国益に繋げていく判断が必要だ。トランプ氏の暴言などによって、アメリカへの信頼が失われつつあり、国際政治に空白が生じている。日本はアメリカと協力し、出来るだけその空白を埋めていくという発想を持つべきだろう。日本の価値観を打ち出すときでもある。

(部分抜粋引用終)
[参考]

http://ironna.jp/article/8818


米FBI、共和党幹部の「偏向」資料公開めぐりホワイトハウスに「深刻な懸念」
(FBI has 'grave concerns' about controversial Republican memo)
BBC
2018年2月1日


・米司法省と連邦捜査局(FBI)がドナルド・トランプ米大統領に反して偏っていると共和党幹部がまとめた資料をめぐり、公表に前向きなホワイトハウスに対してFBIは31日、メモの正確性が疑わしいため、公表について「深刻な懸念を抱いている」と、ホワイトハウスの方針に反対する異例の声明を出した。


・米下院情報委員会のデビン・ヌネズ委員長(共和党)のスタッフがまとめた長さ4ページのメモ(資料)には、司法省が外国諜報活動偵察法(FISA)にもとづく偵察活動権限を乱用し、大統領選のトランプ陣営関係者を不当に監視対象にしようとしたと書かれているという。


ホワイトハウスのサラ・サンダース報道官は翌31日、CNNに対して公表しない「可能性は常にある」と述べた。しかしホワイトハウスジョン・ケリー大統領首席補佐官は31日午前、フォックスニュース・ラジオに対して、「おそらくかなり近々、公表される。そうすれば世界中が読める」と話した。


・ケリー補佐官の発言から数時間後、FBIはホワイトハウスの姿勢に異を唱える異例の声明を発表。「資料からは、重要な複数の事実が除外されており、それによって資料の正確性が根本的な影響を受けていると、深刻な懸念を抱いている」とFBIは表明した。


・問題の資料を点検した複数の議員によると、大統領選のロシア疑惑に関するいわゆる「スティール文書」を根拠に、FBIがトランプ陣営関係者の盗聴監視許可をFISA手続きを通じて得ていたという。


・下院情報委の民主党議員たちは、ヌネズ・メモに対抗する内容の資料を公表させようと委員会に働きかけたものの、否決された。民主党はヌネズ・メモについて、極秘情報の中から都合のいい情報だけを選別してまとめたもので、国の安全保障を脅かしかねないと批判している。民主党はさらに、ヌネズ・メモは、FBIとロバート・ムラー特別検察官によるロシア疑惑捜査の信ぴょう性に傷をつけようとするものだと非難している。


・トランプ氏は昨年5月に当時のジェイムズ・コーミーFBI長官を解任した後、8月まで長官代行を務めたアンドリュー・マケイブ副長官に対して、2016年大統領選で誰に投票したのか問いただしたといわれている。大統領から、政治的に民主党偏向だと繰り返し非難されていたマケイブ副長官は29日に辞任した。3月に退任の予定だった。

(部分抜粋引用終)