ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

防衛と「解放」と

https://www.gov.uk/government/news/uk-and-japan-strengthen-defence-ties.ja


「英国と日本の防衛協力の強化」
2017年1月26日


・英国と日本は、英国軍と自衛隊の防衛協力を強化する新しい協定に署名しました。


2017年1月26日、英国と日本は日・英物品役務相互提供協定(日英ACSA)へ署名をしました。今後、国連平和維持活動や人道的な国際救援活動などを含む様々な活動において、英国軍と自衛隊の連携が効率的に行われることが期待されます。


・本協定の策定は、航空自衛隊と英国空軍により昨年行われた初の日英戦闘機共同訓練の成功に続くもので、英国と日本の防衛協力のさらなる深化を象徴するものです。


・英国外務省で行われた署名式において、ボリス・ジョンソン英国外務大臣は、
英国にとってアジアで最も緊密な安全保障上のパートナーである日本と、国際安全保障、安定及び繁栄を促進するために協力していきます。また、ルールに基づく国際秩序を尊重する国家として、日英が力を合わせ、国際的および地域的な課題や脅威へ一緒に取り組んでいきます。」と述べました。


・マイケル・ファロン国務大臣は、
日本は英国にとって重要なパートナーであり、本協定の締結により、装備品、補給品及び役務等の相互提供により、作戦及び演習実施時の更なる連携が可能となります。英国が世界に目を向けている中、我々の友人である日本に寄り添い、利益と課題を共有していきます。本協定により国際的な脅威に立ち向かうことで、英国をより安全で確固なものとなることを期待します。」と本協定を歓迎しました。


・日本政府を代表し協定に書名した鶴岡公二駐英日本大使は、
法の支配及び民主主義といった基本的価値観を共有する密接なパートナーである英国との本協定の締結は、日本にとり安全保障及び防衛関係において重要な節目となります。日英両国は安全保障及び絶えず変化する世界情勢における国際的な課題に協力して取り組んでいきます。」と述べられました。


・日・英物品役務相互提供協定(日英ACSA)は、2016年1月の日英外務防衛閣僚会合(2+2)において、締結に向けた合意がなされました。この日英外務防衛閣僚会合(2+2)で日本は、2016年10月に英国空軍のタイフーン戦闘機を迎え入れ、米国以外の安全保障上のパートナーと共に歴史的な合同空軍演習を実施することにも合意しました。


日英の防衛安全保障協力は、ますます強化されています。英国と日本は今後も、特にミサイル技術の分野に焦点を当て、新しい防衛技術を開発し続けます


・2016年には、日英の第三国での協力が、東南アジアからアフリカへと発展しました。


・日本が2020オリンピック・パラリンピック競技大会主催の準備を進めるにあたり、日英のサイバーセキュリティーの分野での協力も発展しています。

(部分抜粋引用終)
上記の英国政府による発表は、アメリカ合衆国の『国益』誌の記事「アメリカ・日本・英国:中国に対抗する新たな三国同盟か?」(http://nationalinterest.org/feature/america-japan-the-uk-new-three-way-alliance-against-china-20019)に関連して、検索したものである。
歴史的にも現在的にも、英国と米国の緊密な関係は誰もが疑わないところであって、それに日本が軍事防衛協力に加えられることは、私としては大賛成。というよりも、選んでくださって嬉しい限り。
以前、鹿児島を旅行した時(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20150209)、海岸沿いで薩摩兵士と英国軍が戦った場所を見たが、後になって日英同盟が結ばれた経緯を思うと、感慨深いものがある。
独り善がりの狭い視野と知識不足から生じた「鬼畜米英」の愚を、もう二度と繰り返さないように!
それにしても、ますます「憲法九条をノーベル平和賞に」推す運動が、いかにトンチンカンで的外れであるかを思う(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20170427)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20170428)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20170505)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20170512)。日米同盟に関して「巻き込まれ不安」と「見捨てられ不安」というアンビバレントな心理が共存していると言われるが、日英軍事協力について、あまり声高に不満が聞こえないのは、何故なのだろうか?
協力する以上は、自国の防衛能力を高めると同時に、英国について、こちら側ももっと情報収集して、勉強を重ねなければならないのだ。その意味でも、ベストセラー作家の英国人であるダグラス・マレイさんの著述は、欧州が抱えるイスラーム問題と文化的アイデンティティの葛藤拮抗に関して学ぶのに、大変に役立つ情報源の一つであろう(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20170513)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20170515)。
もう一点、この1月の英国との取り決めに関して、2017年3月に国政モニターとして投書した以下の私見について、各大学や学会の諸賢者は、いかがお考えなのだろうか。

https://monitor.gov-online.go.jp/report/kokusei201703/detail.php?id=1375427


「半世紀前の軍事研究の拒否がなぜ今も継続するのか」


2017年3月25日付電子版『産経新聞』によれば、日本学術会議は、50年前に軍事目的の研究を拒否した方針を継承する声明を出したという。このため、「技術的な優越性を確保」して「抑止力強化」につなげるべく防衛省が創設した研究助成制度に対して応募を躊躇する研究者が増えており、学内研究者による応募を禁止した私立大学さえあるという。学問の自由が保証されるはずの大学は、基礎研究の重要性が最も尊ばれる場なのに、この措置は全く逆行している。現在の見通し不透明な世界情勢の中で、他の主要国が日本以上に軍事費を割り当てている現実を見れば、あまりにも盲目的ではないだろうか。しかも、軍事研究は、軍事以外の各分野にも応用可能で、社会の進展に役立つものである。現日本国憲法が必要最小限度を超えない自衛力しか保持できない条項を持つために、国際貢献にも制約がかかり、かえって国益を損なった事例もあったのだが。

(転載終)
ところで、昨日、内容を確認したかった本が中古で届いた。

https://twitter.com/ituna4011

『座談会 日本にとっての解放の神学とは』相馬 信夫 https://www.amazon.co.jp/dp/4805665041/ref=cm_sw_r_tw_dp_x_o7Sgzb3WDB7AP … via @amazonJP

(転載終)
「昭和61年」の出版で「定価980円」とあるので、当時としては安くはない本ではある。ところが、その内容が、今から考えると大変にお粗末というのか、序文ないしは導入程度で終わってしまっているのだ。
幸いなことに、当時は日本経済が好調で上向きだったこともあってか、日本では「解放の神学」は理解されず、あまり定着しないだろう、という見通しが、ある人によって語られている。
入手したきっかけは、故「相馬信夫」名古屋司教が共著の一人だからだ。相馬司教と言えば、子ども時代に地元新聞の夕刊コラムのような記事で、時々お名前を目にしていたので、良く覚えている。ちょうど私がカトリック系幼稚園に入った年に、司教として赴任されたのだった。あの頃は、「司教様」として敬愛の対象だっただろうが、今発言を読むと、思わず引き下がりそうになる。本書には、「1916年東京生まれ」で「東京大学天文学科卒」とあるのだが、当時ならば東京帝国大学だったのではないだろうか。そして、「1960年司祭叙階」とあるので、44歳の時に司祭になられたのだろうか。それまで、一度も結婚はなさらなかったのだろうか。また、「日本カトリック正義と平和協議会」の会長を長らく務められたようだ(p.13)。
ともかく、俗な表現を用いるならば、「突っ込みどころ満載」。付箋をあちこちに貼り、鉛筆で疑問符印をあちこちにつけて、簡単に読了してしまった。
但し、一つだけ、印象的だった相馬司教の発言を以下に部分抜粋する。

あるとき、当時東大の教授だったS氏を囲んで、韓国の経済問題、日韓条約について若い人たちと議論をしたんですね。日本は援助をやめて手を引くべきだとか、日本の経済援助をするから、ひどい朴・政権が続くんだ、ということを若者たちは言ったんです。そうしたらS氏がこうおっしゃったんです。「日本にとって韓国貿易は二%か三%である。しかし、それが切れたら韓国は一か月で崩壊しますよ」と。(pp.70-71)

(部分抜粋終)
....という経緯があったことを、今の韓国人はどの程度認識しているのだろうか。
本書の中で、当時の上智大学副学長だった故アンセルモ・マタイス神父は、こんな「問題発言」までしている。

経済的に豊かな国である日本の皆さんはアジアの貧しい国々、特に貧しい人々、(これは「現代のユダヤ」と言ってもいいでしょう)とかかわりをもたなければならないでしょう。(p.118)

(部分抜粋終)
「特に貧しい人々」が「現代のユダヤ人」だって?それは、反セム主義と呼ばれるものではないだろうか?
上智大学とは、カトリック系の優秀な大学だと見上げるような思いでいたのだが、「解放の神学」を唱導する立場の人々には、ちょっと仰天させられるような思想が含まれていたのだと(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20170512)、改めて古い本を見て感じたところである。
貧しい教会や貧しい人々については、必ずしも先進国や大企業の「搾取」「無関心」のせいではなく、当該地域の教育や為政者の政策問題でもあるのに、そこが語られていないのが、非常に気になる。