ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

西洋文明は何処へ?

しかし、イスラーム系テロ、あるいはイスラミストによるテロ攻撃と共に生きることを覚悟しなければならない欧州とは、本当に陰鬱である。
あの状態が、明治維新以来、私達日本人が追いつけ追い越せと目標にしてきた欧州の姿なのか、と思うと落胆する。1980年代の学生時代には、まだ憧れの対象でもあり、英文学や独文学や仏文学などを原書で読める日が来るのを目標にしつつ、一生懸命に健気に外国語学習に励んでいたものだった。翻訳でもいいから、一通りは読んでおくのが、真っ当な社会人になるための基本教養だとも素直に思っていた。
今でも、私の世代以上で静かに暮らしている方達の中には、同じように考えている向きもあるだろうと思うが、表面的にはサブカルチャーや大衆文化の方が前面に出ているので、知らず知らずのうちに影響を受けてしまう恐れがある。
その中で、パイプス先生経由で知り合うことのできた方達は、メディア言論や文筆研究活動で、本当によく頑張っていらっしゃる。それは、私にとって圧倒されることであり、驚異的でもあるが、その一方で、雄弁な励ましであり、勇気づけでもある。
以下に登場されるハンナ・スチュワートさんは、ダグラス・マレイ氏(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20160726)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20160802)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20161018)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20161024)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20170123)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20170131)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20170316)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20170317)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20170318)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20170320)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20170325)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily2/20090218)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily2/20130309)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily2/20150108)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily2/20161208)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily2/20170201)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily2/20170322)が副所長を務めるヘンリー・ジャクソン協会(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20170316)のフェローで、昨年9月の欧州旅行(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20161007)でご一緒した方でもある。お話はしなかったが、ご活躍ぶりが嬉しい。
今年3月初旬に、1000ページほどの研究報告書『英国におけるイスラミスト・テロリズム』(http://henryjacksonsociety.org/wp-content/uploads/2017/03/Islamist-Terrorism-preview-1.pdf)を発行されたという。

https://www.youtube.com/watch?v=ytO62R3utF0


6 March 2017
BBC Sunday Politics covers Hannah Stuart's Islamist Terrorism, a groundbreaking new study by HJS

(転載終)
グラフによれば、2004年から急激にイスラーム絡みのテロ事件が増加したことがわかる。また、英国系パキスタン人の関与が最高である。ロンドン東部やバーミンガムなどは、ほぼムスリム都市になってしまっているようだ。また、改宗してムスリムないしはイスラミストになった場合、元の宗教はキリスト教が最高である。
燦然と輝いていた大英帝国のピーク時代、将来的に自国がこんな状況を招くことになるとは、恐らく優秀な英人官僚も予想していなかったのではないだろうか。
英領マラヤ時代の植民地官僚やキリスト教宣教師の論文や書籍などを読んでいた十年以上前、ムスリムが近代教育を通して西洋文化に触れれば、いずれはコーランより聖書の方が真実であることがわかるようになり、西洋文化に吸収統合されていくだろうという見立てがあったことを知った。
だが、現実には、殆どの場合、そのようになっていない。むしろ、1980年代以降は特に、西洋文明に触れれば触れるほど、逆にイスラームの優位性を主張し始める流れが強くなってきたのである。あるいは、キリスト教系学校に通うムスリムが増えても、「私達のイスラーム信仰を尊重してくれる」キリスト教の便宜面を利用するのみで、相変わらず、スカーフを被ってキリスト教系学校に出席するムスリム生徒も少なくない。クリスチャンの生徒は、結局のところ、キリスト教系学校において、静かに穏健に圧迫されていくのみなのである(http://d.hatena.ne.jp/itunalily2/20170325)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20170325)。
これは、クリスチャンの「善意」が間違ってムスリムに伝わっている証拠である。「宥和は効果なし」という強硬派の理由は、そこにある。
西洋に移住したムスリムの中には、棄教したり、キリスト教に改宗したりして、講演活動をしている事例もある。マレー人の中にも、香港やオーストラリアに移住して、教会などで講演し、活動用に寄付金を募っている人がいると聞いている。
その際、気をつけなければならないことは、その人々が、西洋文脈に迎合し過ぎて、あまりにも母国批判を強調する傾向にあることである(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20161110)。それは、彼ら彼女らが本当のイスラーム専門家や研究者ではないことに加え、もう出身国のムスリム共同体に戻れない運命を選んだからである。同時に、長年のムスリム移民の問題や難民の援助疲れでうんざりしている西洋人は、そのような元ムスリムの「証言」を聞いて喜び、助けようとするようだが、全体から見れば、残念ながらそれは小さな現象に過ぎず、気休め程度であろうと私は考えている(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20170320)。
もう一点、最新の映像をご覧いただきたい(http://itunalily.jp/wordpress/)。2017年3月26日付で、ウェストミンスター議事堂でのテロ事件が話題である。
ダグラスさんが頑張ってテレビの討論会で語っているのだが、疲れもあってのことであろう、最初の1分40秒辺りで、話しながら英国の将来を思い、つい涙ぐみそうになっているシーンがある。また、相変わらず、ムスリムが途中で口を挟むので(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20170320)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20170325)、9分20秒過ぎで「私の論点を終わらせて」と制止されている。
実は、昨年9月の欧州旅行の際、ベルリンでのことだったが、ホテルでの講演会の時、斜め前に座ったダグラスさんが、ふと振り向いて、ご自分からにこやかに握手してくださった(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20161018)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20161024)。その時、私が「英国の植民地政策は、それほど悪くはなかったんじゃないですか(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20080625)。英領マラヤ時代の方が、ムスリム・クリスチャン関係は、むしろ今よりも遥かに健全でした。どう思われますか」と話しかけたら、熱心そうに頷いてくださったが、時間切れと彼の主眼ではなかったらしく、話は中途で終わってしまった。
あれから半年経った今頃になって、実は私達はよく似た考えを持っていることが自分でも了解できたのだが、彼の仕事全体に対する私の準備不足と思考の時差が惜しまれる。英語力の問題というよりは、私の方が東西の文化差を意識し過ぎているからだろう。
2日前に、英国では大衆紙として有名な『サン』紙にまで、ダグラスさんは署名記事を書いた(http://d.hatena.ne.jp/itunalily2/20170327)。本来、左派の赤いロンドン元市長ケン・リビングストーン氏が、カラダーウィ師について知るのに『サン』紙を読んだと発言したことを、「『サン』だって」と揶揄していたのだが。

Spectatorhttps://blogs.spectator.co.uk/


Does Ken Livingstone really get his advice on Islamic theology from The Sun?Douglas Murray
23 February 2016


....it is fascinating (as I pointed out to him on the night) that the former Mayor of London should have been getting his advice on Islamic theology from The Sun (fine publication though it is).

(部分抜粋引用終)

https://twitter.com/douglaskmurray/status/697927606411399168


12 Feb 2016
One highlight was Ken Livingstone claiming he'd only praised and invited Sheikh Yusuf al-Qaradwi because he'd read about him in 'The Sun'.

(無断転載終)

それほどまでに、事態は緊迫しているのだろう。

PS:2017年3月25日付『デイリー・メイル』紙(http://www.dailymail.co.uk/news/article-4349624/)によれば、政府筋は、シリアから英国へ戻ってきたジハード者が400名いるにも関わらず、起訴されたのは54名のみだと明らかにした。