ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

米国の価値観を巡る戦い

トランプ氏(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/archive?word=%A5%C8%A5%E9%A5%F3%A5%D7)選出後の米国の動向や世界への影響については、素人が安易に口にすべき問題ではないだろうが、一つだけ、さすがはビジネスマンだと思ったのは、選出されるや否や、さっさと仕事を始めていること。この素早さは、従来の専門的な政治家には見られなかった(というよりも、私自身が気づかなかったか、世間に見せていなかっただけなのか)という点でもある。
先週の東京の笹川平和財団によるムスリム民主主義者会合なる場でも(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20161125)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20161126)、ムスリム(というよりも、穏健派を装ったイスラミスト主導)は、一様にトランプ情勢を公に懸念していた。世界中で自分達がどのような扱いをされるか、心配だからだろう。
心配ばかりしていないで、ムスリムウンマ内部の問題分析をし、変化に備えることだ。
以下に、チャールズ・クラウトハマー氏が出て来るが(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140215)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140626)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140924)、この点では、ダニエル・パイプス先生と似た路線の論客でもある。過去の拙訳をどうぞ(http://ja.danielpipes.org/article/13142)(http://ja.danielpipes.org/article/14067)(http://ja.danielpipes.org/article/14510)。

〈『明日への選択平成28年12月号〉(http://www.seisaku-center.net/node/978


「米国における価値観をめぐる戦い」
2016年11月25日
日本政策研究センター代表 伊藤哲夫


・次期米国大統領となったトランプ氏をどう見るかについては、筆者には何か格別なことをいえるだけの材料があるわけではない。
・今後もしばらく続くと見られていた民主党支配が覆えり、八年ぶりに共和党が政治の主導権を握ることとなった、ということの意味だ。
・「保守派には、共和党が支配する今後の何年間かをいかに充実させるかについてよく考える責任がある」
 これは保守派コラムニストとして著名なチャールズ・クラウトハマー氏(氏は今回の選挙ではトランプ候補を支持しなかった)の言葉だが、トランプ氏を個人的にどう評価するかとは別に、保守派は今回の大統領選勝利の重大な意味を考えるべきであり、それを今後どう生かしていくべきかをよく考えるべきだ、というのだ。
・氏はいう。「この選挙は単に社会的・経済的分断だけでなく、左派と右派の間の思想的分断をめぐる戦いでもあった。今選挙の中で見落とされている最大の要因は、オバマ主義への深く、広範囲の、長期にわたる不満だ」(世界日報11・16)
・「オバマ主義」とは何か。氏はこれを「尊大なリベラリズムを推進しようとする手の込んだ政治的試み」と表現するが、例えば同性愛者の権利を過度に擁護しようとしたり、不法移民から国境を守るという国家として当然の義務に消極的であったり、宗教の社会的役割を否定したりしようとしてきた左派リベラル政治といってよい。クリントン候補はこの点において、「オバマ主義」の正統な継承者でもあった。
・米国では近年、同性愛者に対する差別撤廃どころか、逆に同性婚に反対するキリスト教徒が「差別主義者」のレッテルを張られ、職を解かれたり、裁判に訴えられて罰金を課されたりする等、不当な逆差別を受けるような事例が相次いできた。これに対して保守派は、それは憲法で保障された信教・言論の自由の否定に他ならず、その自由を守るべく、このところ声を上げてきたともいってよい。
・「最高裁の判事指名という問題もある。方向の定まらない現在の最高裁を、故アントニン・スカリア判事の後任に保守派判事を指名することで立て直す」(同前)
・クラウトハマー氏はこのようにも指摘するが、果たしてこの問題も含め、米国は今後どうなっていくのか。トランプ氏個人の評価とは別に、かかる価値観をめぐる戦いにも注目する必要があろう

(部分抜粋引用終)